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zoom RSS 海自の新型哨戒機、P-1の初期不良はあって当たり前か

<<   作成日時 : 2013/11/18 12:03   >>

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 さて海自の新型哨戒機P-1は開発時から色々とトラブルが多発しています。
 それを挙げて欠陥機、とする報道もありました。

 一般論では開発中、あるいは導入初期にトラブルが発生するのはよくある話であり、これをもって欠陥機だと断言するのは無知蒙昧の類です。
 オスプレイにしても同様なトラブルを挙げて、欠陥機扱いしたメディアは少なくありませんでした。

 ですが、初期不良は出て当たり前言えるのは、やるべき試験をやっていればの話です。

 P−1のエンジン試験は僅か数千時間に過ぎません。通常外国のメーカーは一桁多い時間を試験に掛けます。はっきり言えば手抜きをしていたわけです。

 本来独自のエンジン開発の経験が少ない我が国ですから、試験は費用を掛けてでも、より念入りに行うべきです。ところが逆に試験をはっしょっていたわけです。こんなことでまともな装備が開発できるか、普通疑問に思いますよね。
 
 入念な試験をを行わず、他国よりも一桁少ない試験時間でトラブルが発生した、というのは初期不良ではなく、「人災」です。


  我が国の場合、装備開発の基礎研究は元より、装備化にあたっての試作品の数が少なく、また試験内容も不十分です。

 そのような開発環境を無視し、P-1、C-2の開発は低予算で他国よりも優れた機体を開発できたと、日の丸を振って喜ぶのは、いささか幼稚というものでしょう。

 他国よりも経験が少なく、研究開発費も試験費用も少なく、市場で揉まれたことも実戦の戦火をくぐったこともなく、それでいて他国よりも優れた装備を開発できるのだ、と頭から信じるのは、日本人は優秀だからだ、という歪んだ選民意識でしかありません。ある種のカルトです。

 以前から例に出しているエビフライのように、P-1は優れた機体である、という結論がありきで、あらゆる情報をそれにそってコロモのように貼り付けているなものです。
 で、上手いエビフライだと口に入れているわけです。

 本当は中身はエビではなく、そこらドブで採ったアメリカザリガニであることを、まずは疑うべきです。

 繰り返しますが、初期不良だしょうがない、というのはやるべき努力、かけるべきカネを掛けて入念に開発し、試験をしたうえで許される話です。エンジン試験もチャラッと切り上げ、事故や故障を起こすのは人命軽視です。

 海自は生存性を重視したからといって、反対する石破長官(当時)を無理やり押し切ってP-1の開発を行いました。信頼性の高いエンジンの双発機と、信頼性の低いエンジンの4発機、どちらが生存性が高いのでしょうか。
 実際に石破氏は当時パイロットから信頼性の低い4発機よりも信頼性の高い双発機の方がいい、と聞いていたそうです。

 また防衛省は長年にわたってP-1、C-2の開発費は合わせて3400億円程度とアナウンスしてきましたが、それぞれの開発費を出さずに丼勘定もいいところです。しかもその間に開発費は上がってきました。

 2つの機体は共用部品が多く、開発費、運用コストが下がると自画自賛してきました。ですが、ぼくが報じたように実際には本来共用部品にするべきものが、それぞれ別個の開発になったケースが有ります。
 つまり当初防衛省が発表していた、共通部品のパーセンテージは大きく変わっているはずです。ところが防衛省は未だにそれを発表していません。

 先の大震災では防衛省が政策評価で自画自賛していたヘリ型UAVはただの一度も飛びませんでした。いくら弁護しようともこの事実は変わりません。これは国会でも防衛省が証言しています。
 であれば、P-1など他の装備はどうなのだ、と疑いたくなるのがまともな人間の感覚でしょう。

 

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陸上自衛隊の時代遅れな「最新型戦車」の量産に疑問〜1千億円の開発費と毎年10輛・150億円に効果はあるか@
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http://japan-indepth.jp/?p=1282
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http://japan-indepth.jp/?p=1011

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http://japan-indepth.jp/?p=941
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http://japan-indepth.jp/?p=950

大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い@|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(3)
http://japan-indepth.jp/?p=900

大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違いA|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(4)
http://japan-indepth.jp/?p=906

大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違いB|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(5)
http://japan-indepth.jp/?p=909

陸自の新兵器、機動戦闘車は無用の長物
http://japan-indepth.jp/?p=755

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html


機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza

陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(上)――不足する情報収集
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102300007.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(中)――参考になる英海兵隊
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102400005.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(下)――自衛隊はプロ集団の英海兵隊に学べ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102500005.html?iref=webronza

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コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
防衛産業の話ではありませんが、日本では全般的に試作品テストに十分な時間と費用をかけない傾向があるような気がします。
鉄道の分野でも、ヨーロッパでは試作車両を使ってかなり長期間のテストを行い、問題点を洗い出していますが、日本では、最近まで、その期間が短かったですね。JRになって、やっと長期テストを行う会社も出てきましたが‥

ところで、例のNHKが「防衛省が法人輸送用に大型装甲車の導入を決定」といったニュースを流していましたが、スズキ記者の取材でしょうかね?
ブリンデン
2013/11/18 15:52
何だか、安物買いの銭失い、貧すれば鈍する、ということわざを思い出しました。
防衛省は空母「信濃」の沈没から何も学んでいないことになってしまいます。
ひゃっはー
2013/11/18 18:26
全然関係ないようですが、実は根が同じかも知れない問題です。
建物の自家発電設備は、本番さながらに試すわけにもいかず、一般には業務時間外の全館停電時等に定期点検するだけの事が多いところ。国交省の北陸地方整備局はちゃんと試運転訓練やって有事に備えたんですが、霞が関や市ヶ谷はどうなんだろう。
http://si-r.plala.jp/dablg/index.php?e=4141
Ackin
2013/11/18 22:26
P1のエンジントラブルは、量産化改修のケアレスミス的な物が原因で、エンジン試験の長い短いは関係ない無いですよね。
チェックリストの不備というなら分かるんですが


> 実際に石破氏は当時パイロットから信頼性の低い4発機よりも信頼性の高い双発機の方がいい、と聞いていたそうです。
哨戒機についてそう言ってるなら、その人の見識を疑いますわ。
絶対にトラブらないエンジンという物は無いのに、低空飛行中に推力半分になったらという事を考えられ無いんですから。
まあ、単純に稼働率は倍に上がりますから、そういう事を言いたかったのかも知れませんが
融合炉
2013/11/19 05:11
私も、自分が持っている株の値段が下がった時に、頭の中でザリガニの「エビフライ」を作ってます。
ひゃっはー
2013/11/19 06:20
同じ海自でも艦艇部隊は、ステルス船体とか電気推進機関とか実績の少ないモノは徹底拒否してます(笑)
マリンロイヤル
2013/11/19 10:49
日本には高性能ジェットエンジンの実力が不足してます。また、潜在的能力があるという楽観論も同意しかねます。性能が同等だとしても、価格が高すぎれば互角にわたりあったとはいえません。日本の技術的優位を強調する人は、どうも費用対効果という言葉を正しく遣えていないと思います。さらに、ジェットエンジンの分野では、中国の猛追を注視すべきです。国内向けの小規模な開発プロジェクトの中で、しかも縮小型の試作エンジンで高性能だったと自慢しても意味がありません。中国は実機を購入して、実機を盗作して、実機を試作して何度も飛行試験を繰り返しているのです。中国とアメリカの技術レベルの差が20年に縮まった時、日本はどうやって領土やシーレーンを維持するのでしょう。

2013/11/19 17:53
お疲れ様です。
ワクチンや薬類なども同様ですが、
「悪い結果を出さない試験」
を、メーカーとそこに癒着した監督官庁は求めています。
ワクチンや薬類は海外でも同じように「悪い結果が出る直前」までの試験結果のみですね。

ま、本当の資本主義社会、ですからね今は。
民主主義なんか「形だけ」だし。
unimaro
2013/11/19 18:24
全く関係ないことで申し訳ないのですが、以前、清谷様は自衛隊の無線がつながらないのは、使っている周波数帯が軍用に適していないからだ、と言われていましたよね。では、昨年、総務省が大手通信会社に割り当てた700MHz帯と900MHz帯(プラチナバンド)と今CMに出ている800MHz帯は、軍用に適しているのでしょうか?それとも、軍用に適した周波数帯とはそれとは別なのでしょうか?
今週の週刊ポストに電波のことが書いてあって興味が湧いたので、質問させて頂きました。
ひゃっはー
2013/11/19 19:49
昔タクシーの運ちゃんをしていたときの、ある営業のボヤキです。原発に新開発のパッキンを薦めると「うちは長年この商品を使用し交換時期も把握しているている。そちらの海だか山だか分からんようなものは危なっかしくて使えない。」と言うようなことを言われたそうです。現場としては危なっかしくて今のP3Cでいいと思いますがね。
現場はどうなの。
2013/11/19 20:01
たしかに考えてみれば、国産装備品の開発費が、当初の予想を大幅に上まわった点を追求した記事を目にした事は、専門誌も含め、あまり見た記憶がない気がします。書かないのは全く興味が無いからなのか(記者クラブの皆さんの場合は、こちらでしょうね)、下手に書いて内局や各幕に睨まれたくないだけなのか。アメリカあたりなら、議会やGAOが問題視し開発自体をキャンセルさせるのでしょうけどね。
カッコ
2013/11/19 22:01
清谷さん、これどうすりゃ良いと思います?
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131119/dms1311190734004-n1.htm
融合炉
2013/11/19 23:24
おはようございます、チャイカです。
「あ」様の御意見ですが、中国は、航空エンジンにとどまらず、合法、グレーゾーン、非合法手段を交えながら、各種の技術開発等を行っているのは、その通りです。

ただし、御指摘の米中間の技術レベルが20年に縮まった時、日本はどうやってシーレーンや領土を守るですが、アメリカにとって、日本は太平洋上の重要な拠点であり、これを喪失することは、グアムやハワイのみ為らず、西海岸が丸裸になる事を意味します。

アメリカは、この地域に於いて現状変化を極端に嫌っており、日本を切り捨てる可能性は低いのでは無いでしょうか?

また、最悪、日本単独で事に当たらなくてはならない場合でも、「徹底抗戦」する覚悟と決意があれば、絶対勝負に勝てなくても、負けない事が出来るかも知れません。

なぜなら、装備は重要ですが、所詮、戦いは人間が行うものです。また、中国の国力は巨大ですが、彼らは国内に深刻な火種を抱え、周辺諸国とは、悉く対立もしくは、相互不信の関係にあります。
核問題等では、北ですら、北京の言いなりではなく、残された友好国はパキスタンぐらいでしょう。

その為、日本一国に投入できる持ち駒は限られているからです。
如何でしょうか?

最後に、私が再三に渡り、述べていますが、技術は自分で試行錯誤しなければ、身につかないし、国内にお金も落ちません。
ブログ主様並びに諸先輩方にお伺いしたいのですが、日本の国産装備等について、問題が有るのはあるのは事実ですが、たまには、肯定的意見もないのでしょうか?
どこの国でも、このような問題はありますし、
それに国民の一人としては、国産装備等を大切にしたいからです。
チャイカ
2013/11/20 06:52
予算が要るちうことですかね。
エンジンは作れるようになって貰わないと。
ぽー
2013/11/20 09:38
チャイカ様にお答えします。米中の技術レベルについては、例えば中国のボトルネックであるジェットエンジン技術の欠陥が概ね解消することを想像してみてください。また、原潜の信頼性や水上艦艇との連携能力が及第点に達したと想像してみてください。


装備に関する各国の問題ですが、どこの国でも無駄遣いはあります。ただし通常、先進国ではまず戦略があり、装備はこれを具現化するという前提があります。すなわち、装備は確実に機能させる代償としてコストが上昇してしまうのです。日本では戦略構築力が弱かったり、清谷氏が指摘する無用な秘密主義によって単なる無駄遣いに歯止めをかけにくいわけです。よって日本では、装備が必ずしも機能しなくても許容されてしまいます。

2013/11/21 09:18
自衛隊の装備品がコストパフォーマンスに優れているとは言いきれないと思います。
予算の配分にしても試験開発に予算をかければ税金の無駄遣いと叩かれるので難しい問題とも思います。
縦割り行政の弊害とも思えます。
実戦で要求する性能と装備品開発で要求する性能、承認する側とに問題があるのではないでしょうか?
ノン
2013/11/23 13:02
お邪魔します。
 日航がボーイングからエアバスに替えた事を批判する人達は、むしろ「P1なんか作るな。ボーイングP8を買え。」と言うべきではないかと思いました。少なくとも機体やエンジンを一から作ったP1よりもB737を叩き台にしたP8の方が信頼性は高いでしょうし、機体が最新・最先端でなければならないという理由も乏しいでしょうから。
ブロガー(志望)
2013/11/24 08:48
低速、低空飛行を行うさいにエンジンを幾つか止める必要があるそうなんですが
双発じゃ怖いですよね
ナンダカナー
2013/11/29 00:34

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