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zoom RSS 機動戦闘車よりも普通科の火力と防御力のアップが先じゃないかな

<<   作成日時 : 2013/10/16 15:26   >>

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 さて機動戦闘車ですが、その主たる用途は島嶼防衛とゲリコマ対策における普通科に対する直接火力支援とされています。
 ですが、この両方とも火力戦闘車は向いていません。

 C-2による空輸なんぞ、机上の空論です。この辺りは月末発売の次号のコンバットマガジンの連載に書きました。


 普通科に対する火力支援よりもむしろ、普通科自身の火力向上に予算を使うべきでしょう。普通科は諸外国の歩兵に比べて火力が著しく貧弱です。

 陸自の普通科は世界で唯一7.62ミリ機銃をやめてしまったので、下車歩兵の機銃は5.56ミリのミニミだけです。

 しかも軽装甲機動車を装備した部隊は戦闘時には全員下車で、火器も積んでいないので、装甲車から火力支援も受けられません。96式ならば12.7ミリ機銃や40ミリ擲弾銃の支援も受けられるのですが、96式を装備した部隊はごく僅かです。
 
 携行型の40ミリグレネードランチャーもありません。あるのは近年採用されたライフルグレネード。21世紀になってこんなものを装備してどうなるのでしょうか。

 英軍や南アなどは60ミリ迫撃砲を使用していますが、これもありません。例外は特殊作戦群と、来年度から西部方面普通科連隊用のものだけです。


 ドイツは歩兵分隊に12.7ミリライフルを配備しています。これは狙撃用ではなくて、火力支援用です。建物や陣地に対する攻撃などにも使います。
 
 総じて普通科の火力は途上国レベルあるいはそれ以下です。
 なんでこんな明白な現実を世間の皆さんが問題化しないのか不思議です。
 
 加えていればゲリコマ対処を真剣に考えるのであれば、防弾ベストやヘルメットの充実も必要でしょう。セラミックプレートが装着できる新型の配備は遅々として進んでいません。防弾ベストは耐用年数があるから、このままではいつまでたっても全員に行き渡らないでしょう。

 ヘルメットも旧式で重すぎるし、被弾時のダメージも大きいままです。米軍などではライナーではなく、クッション性の高いパッドを貼り付けるタイプに変わっています。フランス軍のフェラン・システムも同様なシステムを採用しています。

 また双眼鏡と暗視装置、コンパスなどを組み合わせた指揮官用のターゲット・ロケーターも必要でしょう。海自は護衛艦用にタレスのソフィーを200セット調達していますが、これが1台概ね1千万円です。普通科の小隊長と分隊長には必要です。

 更にライフル、機銃用の光学照準器、暗視装置、更には個人用無線機なども必要です。

 先進国どころか中進国でも普通に装備されている、こういう物を調達せずに戦車でもできる大口径砲による火力支援に多額の予算を使うべきか、一考の余地はあると思いますが。

 

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コメント(17件)

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キヨタニ様

いつも問題提起、ありがとうございます。一連の装備に関する問題は、自衛隊というより、政治の問題という気がします。政府が陸上自衛隊をどのように運用するのかという戦略がないため、場当たり的になっているのではないでしょうか。
しかし、キヨタニ様のご指摘を見ていると、根本的に、「自衛隊は災害派遣だけで、戦争をしない組織」という基本的な考え方があるようにも見えますが、どうなのでしょうか。
素人考えて申し訳ございません。
ブリンデン
2013/10/16 16:07
7.62mmのミニミってありましたっけ?
ゆう
2013/10/16 16:16
好意的に解釈すると、機動戦闘車は「三号突撃砲E型」なのですね。なるほど。
すると、三突は砲兵科が運用していたことを考慮すると、キドセンは特科部隊に配備されて帳簿上は戦車の扱いは受けないのかな?
ひゃっはー
2013/10/16 16:52
お疲れ様です。
、、なんか、、今中近東で日本が絶賛活躍中の西欧系のテロリストたちの方がいい装備してるのではないすか?

というか、「何を前提に装備を決めているのか?」が気になりますねぇ、、当然オプション装備なんかも多種多様にあるのでしょうけど、、、
(すみません、本当にど素人なもんで)
unimaro
2013/10/16 19:40
先日は確かに少々失礼な文を書いたと認めます。済みません。

本文に未だ面白いの問題提示をしていますね。文句が有ると言えば:
C4I系はともかく、保護系と重武器系はどうでしょう?小隊に60ミリを配備すると、迫撃砲自体も軽くではないし、弾丸も重い、間接照準に手間を掛かる。さらに、小隊に中機関銃を戻す、班に対物ライフルとグレネードランチャを与える。あ、中隊にAGSと重機関銃は必要ですが?

最後に個人の保護装備…動けるが、それ?

重火力、重保護を重視すると確かに兵士が死なない。だが、代償としてに動き難くの成り、ゲリコマ相手ならこれで逃れてしまうの恐れが有ります。相手の歩行機動力が上だと、例えヘリや装甲車が有っても必ずカバー出来ると限らないのは今まで対ゲリラ戦の戦訓だと思います。

米国、ドイツ、ロシア等は飽くまで外国、悪くでも国内の辺境地でゲリラと戦っているに過ぎないので、逃れでもある意味構いません。ゲリラ襲撃しても死ぬのは他人。だから、取り敢えず自国兵士を守ろ。敵に逃れでも追及されないでしょうが自国軍人を死なせるなら人道的はともかく、世論的に悪い。だが、日本は国内でやるので、そうは行かない。例え自衛隊員の大量犠牲に成ってもゲリコマの早期掃討は優先しなければ成りませんの場合も多いでしょう。

今のままでは確かに拙いと思うですが、この辺にもバランスが必要と思います。清谷氏を意見をご拝見します。
香港からの客人
2013/10/16 20:46
>存在します。

>小隊に60ミリを配備すると、迫撃砲自体も軽くではないし

軽いから西方連隊やSFで採用となったわけです。60ミリといっても通常の81ミリの縮小型以外に、マンドウタイプが存在し、陸自のは後者です。これを車載にしていいでしょう。

保護装備…動けるが、それ?
それをいうと、防弾ベストやヘルメット自体も必要ないと、なります。ただ現在のシステムはかなり重たくなっていることも事実です。ですが、軽装甲機動車すら満足に行き渡っていない現状個人の防御を高くすることは意義があると思います。
キヨタニ
2013/10/16 23:35
普通科の火力強化に大賛成。やるなら、砲迫の強化でしょう60〜120mmまでキッチリ揃えた方がいい。96装輪に120迫を搭載して砲弾はGPS誘導砲弾の方が、機動戦闘車よりマシだと思います。
マリンロイヤル
2013/10/16 23:36
>香港からの客人さん
>60ミリ迫撃砲
射手の育成に凄く労力が要りそうですね
まともな照準器を用意できなさそうです、これで81迫の砲手を引っ張ってくるようでは本末転倒ですし

>最後に個人の保護装備…動けるが、それ?
一度体験的にセラミック入り防弾チョッキを着させてもらったことが有りますが、体力にはそれなりに自信があっても着たまま激しい行動は厳しいなと思いました。
ゆう
2013/10/16 23:43
お、書き込んだ直後にキヨタニ先生の書き込みが

上でも書きましたが、セラミック板入り防弾チョッキはちょっと厳しいです。普通科以外に支給されている拳銃弾・弾片防護用のチョッキなら、まあそれほど不自由なく動けます。(ちなみに身長170cm体重75kgぐらいです)もし機会があれば体験されると宜しいのではないでしょうか?
ちなみに現行のヘルメットはそう重く感じません。
しかしこれで普通科はかるがると動けるよと言われると悔しいところです笑
ゆう
2013/10/16 23:53
陸自の普通科は世界で唯一7.62mm機銃を止めてしまったので
下車歩兵の機銃は7.62mmのミニミだけです。
〉そんなのあるのか?
〉〉存在します
あるならいいじゃないか?
名無し
2013/10/17 09:33
>下車歩兵の機銃は7.62mmのミニミ
本文で上記のように書いていましたが、
下車歩兵の機銃は5.56mmのミニミの間違いでした。
訂正します。ただ、ミニミニには7.62ミリ型も存在します。ですが、自衛隊では導入していません。
キヨタニ
2013/10/17 12:14
イラク派遣部隊用のセラミック入りチョッキを持たされたことがありますが、
あんなの着込んで走るなんて無理。すぐにへばっちまう。
自衛隊というか軍隊の防弾対策は基本身を隠すか、タコツボですよ。
セラミック入りチョッキを使うのは身を隠せない状況、
例えば車に乗っている時とか歩哨で立っている時などです。
きらきら星
2013/10/17 12:41
キヨタニ様

>戦車でもできる大口径砲による火力支援に多額の予算を使うべきか、

その肝心の戦車が大幅削減の憂き目にあっているので、その穴埋めに105oの機動砲を装備するという一面も大きいですよね?
しばらくは主力となる90式は、本州や島嶼部では使いにくいし、10式の調達は進まない。でも74式はどんどん用廃されていく。
ならば、10式とのハイローミックスであっても、使える砲システムを整備する意義はあると思います。けん引式の火砲を導入するよりマシではないでしょうか?

もちろん、普通科に足りない装備が山ほどあるのは事実ですが、それとは別の話だと思うのですが。
全部隊に装備する予算がないからこそ、即応部隊としての西普連や空挺には、それなりの装備を優先的に持たせているんだと思います。

陸自において実戦部隊はごく一部。それが現実じゃないでしょうか?
PAN
2013/10/17 14:29
 三八式歩兵銃の口径で自動小銃を作り、機関銃も口径を統一して小銃手の火力をあげるといいんじゃないでしょうか。でも、NATO制式出ないといろいろ困るでしょうね。そうなるとFNMAGのような機関銃を担いで歩ける人がどれくらいいるのかってことになりそうですけどどうなんでしょう?
とん
2013/10/17 15:53
確かに陸自の個人装備品についてのご指摘はその通りで、貧弱そのもの。
数も種類も、全然足りない。
これは陸自の一番悪いところですよね。
まあ戦争になる予定もないし、島国で、本土に攻め込まれた経験が無いから平和ボケしているのでしょう。
まあ優先順位というのがあって、重装備を優先するのはわかるのですが、極端すぎますね。
軍事オタク
2013/10/17 16:40
ゲリコマといえども、補給が続かなければ立ち枯れするだけですし、朝鮮半島マレー半島では全て鎮圧されてます。完全に島である日本国内では、あまり心配いらないのではないか。兵士の防御については、ヘスコ防壁みたいな簡単に防御陣地を造れる工兵機材の開発導入をするべきで、災害救助にも使えて一石二鳥でしょう。
マリンロイヤル
2013/10/18 04:48
陸自は重迫の大量配備(明らかに諸外国よりも多い)によって7.62mmの不足を補えると判断したのでは無いかな?と考えているのですが…
用途がまるで違いますけど陸自の思考回路なら…
FOX-4
2013/10/28 11:39

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