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zoom RSS イスラエルのような軍事国家は儲かる?

<<   作成日時 : 2013/10/03 19:56   >>

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櫻井よしこ氏が理事長を務める公益財団法人国家基本問題研究所のHPに以下のような提言が掲載されています。

アベノミクスに欠落する軍事研究開発
ロナルド モース / 国基研客員研究員・元麗澤大学教授 ロナルド・モース
http://jinf.jp/weekly/archives/11089

 「安全保障・防衛関係に多くを投資する国は、相対的に強く、経済も繁栄することを歴史は示している。今日、その最たる例はイスラエルである」

日本が経済を活性化し、国土の安全を確保する唯一の道は、防衛関連の研究開発に本腰を入れることだ。たとえ日本が今、防衛予算を2倍にしても、一目置かれる効果的な軍事力を確立するのに10年かかるだろう。


あれま、という感じです。軍事費を使かえば使うほど国家が儲かるなら誰も苦労はしません。
その辺のネトウヨと同じレベルの発言です。
先軍政治の北朝鮮や末期のソ連が豊かな国だったでしょうか。

確かにイスラエルの工業や産業は軍事産業からのスピンオフした技術が多いことは確かです。ですがそれだけで国が栄えるほど儲かるものではありません。

イスラエルはアメリカから巨額の経済・軍事援助を毎年受けています。

米(建国以来,多額の有償無償経済援助を実施。対エジプト平和条約締結後の1981年以降は全額無償援助となり,1985年以降は経済援助12億ドル,軍事援助18億ドル)。イスラエルの提案を踏まえ,1999年より,米の経済援助は毎年1.2億ドルずつ減額され10年間でゼロにすることとされている。(但し,その半額は軍事援助の増額分として振り分けられる。)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/israel/data.html#04

仮に現在の米からの軍事援助を24億ドル、約2400億円としましょう。イスラエルの人口は約800万人です。日本の人口を約1億2千万人とすると約15倍です。
仮に我が国が米国から人口あたり同額の軍事援助を受けているとなると、3兆6千億円ほどになります。これだけイスラエルの国家経済、国家予算は下駄を履いていることになります。

つまり外国から軍事費や経済援助を受けています。これは非常に稀有な例であり、我が国はそのような利益を享受しておりません。むしろ思いやり予算まで払っています。在日米軍関する予算を換算すれば先の3兆6千億円は我が国の国防予算に近い数字になるでしょう。

また北朝鮮もそのような利益を受けていません。つまりイスラエルと他の軍事大国を同列に論じるのは極めて乱暴かつ粗雑です。

それからイスラエルの最大の輸出品はダイヤモンドです。

イスラエルの主要産業は鉱工業(情報通信、ハイテク、医療・光学機器、ダイヤモンド加工、化学製品、繊維等。金融・サービス業)であり、主要輸出品目は輸出ダイヤモンド、医療精密機器、化学製品、電子部品等と外務省HPにあります。しかも輸出相手国の項目ではダイヤを除く統計しか載っていません。
つまりダイヤは稼ぎ頭ということになります。

 かつての同盟国だった南アフリカはダイヤの産地として有名ですが、南アはユダヤ人が多く、そのコネクションもありイスラエルに産出したダイヤを送り、研磨してきました。こういう歴史があります。兵器産業とそのスピンアウトだけで食っているわけではありません。

 しかもイスラエルのユダヤ人には兵役があります(アラブ系にはありません)。男子3年,女子19-24ヶ月、更に予備役あり、兵役後も訓練があります。つまり若者は長年にわたって生産活動に従事できません。また消費活動も極めて限定されます。

 果たして、そんな国がそれほど景気がよろしいでしょうか。実際にイスラエルはそんなに景気もよろしくないし、住みやすい国であるとも言えません。ウチもイスラエルの会社取引はありますが、そんなこと彼らはいいませんよ。

 先述のように軍事技術のスピンオフ技術が情報や先端技術に生かされていることは事実ですが、軍事にリソースを掛けて失っているものを多いのが現実です。


 ロシアもそれなりの軍事大国ですが、経済も国家予算も石油や天然ガスなどの地下資源でなんとか回っています。これがなければ今頃は大変でしょうや。

 またフランスも軍事大国認識されていますが、GNPで60年代に我が国で抜かれても、分不相応な核武装やアフリカなどへの旧植民地への介入のため、またかつてはNATOからも離れて軍事に多額の費用を掛けてきました。
 兵器産業はそれなりに輸出もしておりますが、主要輸出産品はブランド物やらワインなどの食品です。我が国が数少ない貿易赤字国がブランド物の産出国であるフランスやイタリアです。失業率も高いままです。

 対して我が国は戦後防衛費を極小化し、世界第二位の経済大国になりました。なんだかんだいっても、現状でも世界で有数の裕福な国で、外貨の準備高も極めて多い。外国からカネを借りる必要のない国です。貧富の差も少ないし、治安もいい。

 
 軍事費を増やせば国が栄える、乗数効果が低い軍事に多額の費用をかければ国が栄えるなどと信じているとすれば、その人物の見識は実社会も経済の実体も理解できない、2ちゃんあたりに巣食っている程度の悪い軍オタレベル程度です。
 我が国の首相も防衛相もそのような発言をしておりましたが、それほど防衛費を増やしてはおりません。まだ首相はリアリストだということです。

 無論この論文は筆者に一義的な責任があるのでしょうが、このような人物のこのような論文を掲載することは公益財団法人国家基本問題研究所の見識を疑わざるを得ません。


朝日新聞に以下の記事を掲載しております。
「武器輸出」は中小企業から
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013100200005.html?iref=webronza


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
お疲れ様です!
モースさん、ちょっと検索したらいろいろ出てきます。いい加減ですねw学生相手がちょうどいい程度のようです。月間日本12年10月号にも寄稿して、ウエブで一部読めました。
まぁ、アメリカ人ですからこんなもんですね。
同じ白人・英語の英国人と、なぜ天地まで(大げさw)ほど違うんですかねぇ?
unimaro
2013/10/03 22:02
周辺がみんな敵のイスラエルはともかく軍事にあまり手を抜けなくなってる先進諸国は日本にとっては反面教師ですよね
第9
2013/10/04 05:42
軍事技術研究にしろ民間の技術研究にしろ、マネージメントがダメなら結果は出ないでしょう。例えば、ステルス戦闘機は第五世代機と呼ばれますが、じゃあ第六世代はどんな戦闘機なのか、空自の幹部が方向を示したり出来るとは思えません。米軍の後追いで精いっぱいです。そんなところにカネ突っ込んでも何も成果は出ません。自衛隊も日本の民間企業も弱いのは、トップのマネージメント能力です。
マリンロイヤル
2013/10/04 16:49
桜井さんも清谷氏の言う事は百も知っていると思いますよ。ただ、少しでも軍事費を高めて防衛力を高めたいという思いから、どの国民も(マスコミも含めて)ある程度はムードに乗るという事からスパイスを掛けているように思います。清谷氏がかねてから言うように防衛庁も、もっと資金運用や開発に関し、有効配分や優先順位を考えよと云う事には私も同様に思いますが、桜井さんの存在も日本にとっては大きな防衛力になる人材と思っています。
おいせさん
2013/10/05 23:20
お邪魔します。
 宇宙技術やコンピューター・インターネット技術が軍事(利用)をバックに発展してきたという側面もあります。民間は(短期の)利益に繋がらない事はやり難いでしょうし、大学とかは金額も多くなく、かつ基礎的な事が中心で実用まではやらない事も少なくないでしょうから。軍事でも目先の兵力だけに固執すれば国力を消耗するだけで終わるのではないでしょうか。「中長期的視野に基づく、単なる現在の延長ではない技術開発」をどうやってやるかが問題だと思います。コンコルドやスペースシャトルのように後が続かなかった技術も少なくないですから。
ブロガー(志望)
2013/10/06 09:02
追加です。
「軍事費を使かえば使うほど国家が儲かる」というのは「軍事なんかに金を使うのは無駄」に対する言い返しかも知れませんが、「相手の土俵に乗っている」という時点で敗北必至と思われます。「軍事なんかに金を使うのは無駄」の根底にあるのはそれこそ「安全と水はタダ」の発想かも知れませんので、そこを突くべきではないかと。
ブロガー(志望)
2013/10/08 22:41
ブロガー(志望)様へ
「軍事なんかに金を使うのは無駄」というのは真実でしょう。その無駄な事に金をつぎ込める国のことを大国と称するのです。
ひゃっはー
2013/10/10 10:39
イスラエル 大好き
孫悟空
2015/03/08 11:12

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