清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 記者クラブ依存防衛省広報の限界「ベールを脱いだ防衛産業 「国を守る」いすゞ・日鋼の思い」  

<<   作成日時 : 2013/08/08 17:43   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 44 / トラックバック 0 / コメント 6

ベールを脱いだ防衛産業 「国を守る」いすゞ・日鋼の思い
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO58169280W3A800C1000000/

先日、防衛省の記者クラブに該当記事の見学ツアーの案内が貼られていましたが、ぼくが知った時にはすでに申し込みが締め切られていました。

この手のツアーを企画することは良いことです。

が、所詮記者クラブ限定なんですよね。専門誌の記者やフリーランスの記者は入れない。
なんで防衛省が特定の民間メディアの団体だけを特別扱いするんでしょうかねえ。
まあ、防衛省側としては統制が効くから便利なんでしょうけど。

基本新聞やテレビはこの手の記事は大して載らないし、載ってもスペースが限られているし、視聴者や読者の幅も広いので、最大公約数的な記事になります。つまり詳しいことは書けません。

また記者は兵器の専門知識はさほどないし、兵器工場を見学した記者は更に少ないでしょう。自分の引き出しに外国の同様の製品やその工場や運用者を取材した経験もない。
ですから防衛省やメーカー側の主張をそのまま聞いて書いちゃうわけです。

マスコミはカネも兵隊もいるわけですから、タトラやヒュンダイ、ルノー・トラック・ディフェンスなどのメーカーの工場を海外支局に取材させて記事を書けばもっと面白い記事が書けるでしょう。ですが読者や視聴者はそこまで求めません。

また記者クラブの記者は政治部か社会部の記者ですが、防衛産業は「産業」ですから経済部の記者のマターでもあります。ところが新聞もテレビも縦割りですから防衛担当と経済部の記者が共同で記事を書くことはほとんどありません。

専門誌(といってもマニア誌)ならばより多くの紙面をさけるし、より深堀りした記事を書くことができます。ところがこういうところに記事を書くフリーランスに人間は排除されているわけです。
国内だけで取材をしていると兵器や装備の工場を取材することは殆ど出来ません。また海外の工場との比較もできませんから、専門誌の書き手の質の向上という面からも専門のジャーナリストや評論家が防衛産業の工場の取材から排除されていることは問題です。

まあ、防衛省としては防衛省の情報公開は進んでいます、防衛産業は儲かっていないけど頑張っています、という浪花節を宣伝できればいいのでしょう。

そんなに儲かっていないならば、ゴルフばかりしている天下りを受け入れるなよ、というような話は記者クラブの記者は書きません。

記者クラブだけを優遇して記事を書かせれば、お望みの記事はでてくるでしょう。
間違ってもキヨタニの記事は書かれないだろうと。

実際防衛産業が頑張っていないとはいいませんし、経営が厳しいことも事実でしょう。が、少なくともプライム企業は相応の利益をとっているでしょう。原価に相応の利益を載せています。ぼくは重工各社の現場の社員からこういう証言を多く得ています。パーツを作っている下請けにも因果を含ませていることも多々あるそうです。

そもそも10年も20年も儲からないけど高い技術を維持していますというは本当でしょうか。
利益が出ないということは研究開発費も、設備投資もできないということです。つまり技術革新も生産効率の向上も、品質の向上も難しいはずです。

儲けは出ませんが、お国のために頑張っていますというのは、一般読者や愛国的軍オタ諸氏の琴線には触れるでしょうが、現状の問題の解決や改善にはまったく寄与しません。

トラックや火器などは同じ分野で住み分けが行われており、複数の企業が存在しますが、互いに競合することなく縄張りを守って来ました。ところが防衛費が右肩下がりになると、一定規模の商売が難しくなっています。
実質民間市場(警察や自治体など含む)の売上がゼロで、防衛省需要に頼っているヘリ産業は機体メーカーが3社、エンジンメーカーが二社も存在します。

ならば事業統合なども考慮すべきですが、官民ともにこれには不熱心で、造船を除けばほとんど実現していません。

現状にしがみつきたい、現状維持をしてほしいというのがメーカーの本音でしょう。ですが、それはいずれジリ貧になり、事業が消滅します。消滅するものに補助金的な割高なカネをかけて延命することは「防衛産業の振興」にはなりません。

新しい企業の参入も必要です。既存の企業が100万円で作っていたものを、20万円でできる企業もあるでしょう。
ところが、防衛省は新規参入を阻んでいます。防衛省と付き合うと、くうだらない、煩雑な手続き多くとても大変です。コストも掛かります。いい年した大人が、はんこをもらうだけのために、市ヶ谷にいったり十条に行ったりしかければなりません。不効率の極みです。

結局農業と同じです。農業政策は日本の農業を守りたいのではなく、既存の農家と農協の利権を守りたいだけです。ですからどんなに農業が衰退しても、企業の農業参入を認めません。防衛産業もこれと同じです。


現状を正しく認識するためには、記者クラブだけではなく、フリーランスや外国の記者、経済誌、学者などにもこの手の取材の門戸を開き、より多彩な視点から、より多くの報道が行われることによって、読者に豊富な情報を提供することが不可欠です。

きちんとした情報がない状態では議論は盛り上がらないし、神学論争になります。
となると、防衛省は常に正しい、日本の兵器は優秀だ、輸入品は排除しろ、という根拠なきファナティックな意見が横行するようになります(現実なっているんですが)。


政府、自衛隊装備品の輸出検討 「三原則」緩和で陸自車両など
http://kiyotani.at.webry.info/201308/article_4.html



画像
提供:海上自衛隊

朝日新聞のWEBRONAに以下の記事を掲載しました。
22DDHは護衛艦=駆逐艦か?(上)――実態は「ヘリ空母」
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013080100004.html?iref=webronza
22DDHは護衛艦=駆逐艦か?(下)――なし崩し的な拡大解釈
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013080200008.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 44
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
驚いた 驚いた
かわいい かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
ガダルカナル島で日本軍に勝った米軍が、日本軍にとって武器とは単なるアクセサリーにすぎない、日本軍は優秀な武器を使って敵に勝つことを潔しとしない、と報告書に書いてました。この指摘は今でも通用する部分があると思います。つまり、「日本軍」は優秀な武器を使用して、額に汗水垂らさずに楽して効率的に敵に勝つことを卑怯だと思ってるのではないのでしょうか?それが、装備が明らかに貧弱でも何の対策も打たずに現状を放置する一因になっているように思えます。知り合いが、陸上自衛隊じゃなくて陸上部自衛隊だ、と揶揄してました。
ひゃっはー
2013/08/09 14:38
 いえ、日本軍には自分の武器が米軍より劣っているという自覚が、サイパンで負けるまでありませんでした。服部卓四郎がサイパン陥落後、海軍参謀に「日本軍の武器が悪いことが、本当によく分かった。でも、今からでは間に合わない」と語っていましたから。
英知の人・エイチマン
2013/08/09 23:25
自衛官の天下り禁止。OBの市ヶ谷出入り禁止。なんで許されてんのかね?
バブルス
2013/08/10 01:32
天下った人の中には、一生懸命仕事をしている人もいます。ただ、問題は天下りを受け入れてやるから、その分の費用を納品の価格に上乗せさせろ、という行為が大手を振ってまかり通っていることです。
ひゃっはー
2013/08/10 15:58
OBの天下りを受け入れてくれたから、その分の費用を納品の価格に上乗せしてあげよう。現役の天下りを受け入れてもらうために費用を納品の価格に上乗せしてあげよう。という行為が大手を振ってまかり通っていることが問題
バブルス
2013/08/10 20:59
「わが国は、資源や食料の多くを輸入に頼っており、海上交通路はわが国の生命線である。海上交通の安全確保のための作戦は、わが国の継戦能力と生存基盤を確保するのみならず、米軍来援のための基盤という観点からも重要である。----」などと、海上自衛隊は、創設時代から主張しているが、米海軍には、最初から「誇大妄想・身の程知らず」と笑われて諭されてもきた。ところが「猿真似軍艦ごっこ程度」の海自には、笑われても、諭されても分かるはずもない。その後、冷戦たけなわのころ(米軍も海自の軍艦ごっこを笑ってみているわけにいかなくなった)、米軍の指導・要請・圧力で「千海里航路帯」とか「通峡阻止」などの構想が政治主導で導入されたわけだが、米軍にしてみれば、「日本列島・日本列島を繋ぐシーレーンを守ったらどうなんだ」という至極常識的な話のはずなのだが、海自の幹部は、これが理解できない。元はそれなりに有った「国を守ってきた米軍借与で始まった地方隊」の哨戒艦艇も、いまやミサイル艇が6隻という有様だ。「輸入を守る」と称して、国を守らずに「自称護衛艦隊」という「猿真似軍艦ごっこ」を守っている。困ったもんだ。
猿の艦隊
2013/08/17 14:45

コメントする help

ニックネーム
本 文
記者クラブ依存防衛省広報の限界「ベールを脱いだ防衛産業 「国を守る」いすゞ・日鋼の思い」   清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる