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zoom RSS 谷本真由美@May_Roma の妄想 その7

<<   作成日時 : 2013/07/11 12:17   >>

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  谷本真由美さんの『日本が世界一「貧しい」国である件について』に対する分析と批評です。


日本が世界一「貧しい」国である件について
祥伝社
2013-03-27
谷本真由美(@May_Roma)

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谷本真由美さんのツイッター
https://twitter.com/May_Roma
谷本真由美さんのブログ
http://eigotoranoana.blog57.fc2.com/

 谷本さんは海外の人事評価についても書いています。
 「専門性のある人の実績は『与えられた目標に対してどのくらいできたか』と評価します」 (P92)
 「『自分の専門知識や経験を活かして、会社と約束した目標を達成すること』になるので、指名力や目標に間に合うように仕事をこなせば,残業する必要も、無駄なイベントに参加する必要もないわけです。 (P93)
 さらに、
 『人柄がいい』とか『協調性がある』と言った『曖昧で主観的な評価』は目標になりませんから、仕事の成果物で評価されてもらうことが可能になります。結果さえ出せばいいのですから、大変公平な評価方法だと言えるのではないでしょうか。 (P93〜94)

 さて、お説の通り日本のサラリーマンが一般に専門性が低いというのは事実でしょう。ですがこれまたアングロサクソン的な方式が優れているかというと、そうとも言えません。両方元も一長一短があるからです。
  
 まず専門家になる前は誰でもシロウトですから、それを誰が教育するのか、ということです。よくMBAをとったにーちゃん、ねーちゃんが「専門家」として採用されますが、果たして実務経験のない彼らは専門家でしょうか。
 おフランスも同様です。グランゼコール(大学よりも上位のエリート学校)を出た経験もない若いのが、いきなり部長クラスとかになってあれこれやりますから、当然現場は知りません。
そのグランゼゴール出のエリートか政官経済界を独占・回遊しています。結果は現在のフランスの経済がどうなっているかを見れば明らかでしょう。


 そもそも完全に公平な評価なんてできません。例えば新規製品のプロモーションが巧くいかなかったとしましょう。その責任は広告のディレクションなのか、コピーライトなのか、アートディレクションなのか、あるいは、新製品のパッケージだったのか、キャンペーンの時期が悪かったか、広告掲載媒体チョイスが悪かったか、の100パーセント分析はできません。

 日本企業ならばチーム全体で責任をとろうとなりますが(それでも得てして部門ごとに責任のなすりあいになりますが)、アングロサクソン方式だと自己の評価を守るために、個人レベルで非難合戦になります。
 またボスも管理能力を問われるので、責任回避のために部下をスケープゴードにして首を切ったりする場合も少なくありません。

 
 しかもアングロサクソン系ではボスは絶対なので、皆おべんちゃらを言ったりごまをすったりする必要があります。「奥様は魔女」でダーリンが上役を自宅に招いた入りしていましたが、家族総出で上役やその奥方(あるいは旦那)のご機嫌を取り結ぶ必要があります。

 谷本さんのお説のとおりならば、そんなことは一切無く仕事をさえしていればいいはずなのですが。まあ上司がみんなMr.スポックであればそうなりますが、実際にはMr.スポックはおりません。
 「プラダを着た悪魔」という映画がありましたが、アレに近い話は結構聞きます。
 また、欧州某防衛大手企業では社長が替わったら、業績が悪くなかったのに役員総入れ替え、各国の支社長総入れ替えという事例も近年ありました。
ということがありました。
 

 皆が皆、そうではありせんが、国内の外資系企業でもその傾向があります。日本語ができない支社長に英語だけはできる無能な人間が取り入って、有能な人間が冷遇、首を切られるという話も非常に多いです。
 ですから足の引っ張り合いも多々あります。

 このようなために、一般に外国の企業では皆責任逃れに熱心です。自分の非を認めると、評価が下がるからです。ですからミスを仕入れ先とか、客にまで押しつけます。殆どやくざのいいかがりみなたいなウルトラCクラスムチャクチャな論理を展開し、客に責任を押しつけようとします。日本人から見ると犯罪的なレベルのことも多々あります。


 実際に商売をするとこれがよく分かります。ですからぼくは海外の取引先の社長には必ず会って直接話ができるようにしています。可能であれば年に何度かは会って食事をしたりするようにしています。日本の会社では必要ないコストです。
 

 アングロサクソン的な方式は個人レベルでみると効率的に見えますが、組織としては効率が悪いことは多々あります。

 また組織としてノウハウや経験が蓄積されたり、伝承されないという欠点もあります。

 英国の特殊部隊SASはチーム内に、無線、火器、爆薬、医療、狙撃など専門のメンバーで構成されていますが、彼らは互いに専門スキルを学び合います。それは任務では助け合いが必要だし、他のメンバーのできること、できないことを把握することも必要だし、一人のメンバーが死傷しても誰からが肩代わりして任務を遂行するためです。

 谷本さんのお説が正しいのであればSASもアングロサクソン的な「能力主義」を導入しいているはずです。また米国含めた大抵の特殊部隊は同様に訓練を行っています。


 因みに成果主義を導入した日本企業は大抵業績が悪くなっています。

 また米国の自動車産業界がハイブリッドに乗り遅れた理由は、エンジンの職工たちはエンジンが担当であり、制度的にモーターを扱えなったことが一因です。欧米の工場でロボット導入が遅れたのも同様の理由です。つまり新しい事態に柔軟に対応できないという欠点もあります。


 無論日本企業も現状でいいわけでは無く、他社に移っても仕事ができるようなスキルを個人個人がもっと磨くスキームは必要です。

 ですが、アングロサクソン方式を「この世の楽園、青い鳥」のごとく、完璧なシステムだと吹聴するのは事実を見誤っています。

 
 谷本さんはこの後(P97〜98)で、近年リーマンショックでインターンの採用がなくなり、経験を積めないので就職がでない若者が増えているといっています。新卒は「経験」がないからです。
 「イギリスの場合、リーマンショック後の大不況で、今や大卒新卒の約50パーセントが卒業3ヶ月以内に就職できません」(P98)
で、インターンシップを有料で斡旋する企業もでており、
 「お金のない学生や、自分を売り込めない学生は、無休の仕事(注:インターン)にすらありつけないのです」(P99)

 このようなアングロサクソン的方式の欠点は先に述べた本論で述べるべきではないでしょうか。またこのようなことを紹介してもアングロサクソン的な方式が宜しいというのでしょうか。



以下の記事を朝日深部のWEBRONZA+に寄稿しております。

空自のF−35は中国が導入するSu−35に対抗できるか(上)
――ロシアが売却する事情とは?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013070400007.html?iref=webronza
空自のF−35は中国が導入するSu−35に対抗できるか(中)――日本が不利な理由
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013071000011.html?iref=webronza

東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(1)――墜落を恐れた?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013061900007.html
東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(2)――省内の食い違い
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013062000004.html
東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(3)――難しい新規参入
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013062700005.html?iref=webronza 
東日本大震災で防衛省の無人機はなぜ飛ばなかったか(4)――「我が国固有の環境」とは何か
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013070100008.html?iref=webronza

 
 






 

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
今回のエントリーは、近年になく続きますね(例のK重のエントリーでもここまで続かなかったような気がしますが)。谷口真由美さんの著書によほど腹を据えかねた‥という感じでしょうか。
ブリンデン
2013/07/11 16:36
お疲れ様でっす!
いやー谷本痔史も「とっても今の日本人♪」ですが、なんか同レベルの凄いのを見てしまい、、穢れが付いたような気がするので、こちらに移させていただきます♪(=えんがちょ
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20130710-02/1.htm
自称だかなんだか知りませんが、軍事ジャーナリスト 黒井文太郎という人をご存知ですか?
ブログもあるのですが、、まぁ、、にちゃんロムっているほうがよほど信憑性のある情報にぶち当たるかなぁ?と。
「朝日」って、こんな程度なのですか?
unimaro
2013/07/11 17:22
お邪魔します。

>またこのようなことを紹介してもアングロサクソン的な方式が宜しいというのでしょうか。

 人は分かりあえない場合、

1.相手を「無知」だと思う。
2.相手を「馬鹿」だと思う。
3.相手の「悪意」を疑う。

だそうです。ですから「イギリスの"悪口"を言って何が楽しいのか」「イギリスに何か恨みでもあるのか」といった事を言いだすかも知れません。
ブロガー(志望)
2013/07/11 23:04

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