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zoom RSS アブダビ写真日記2013その5 スーダンがIDEXデビュー、兵器輸出にのりだすも中国の影が

<<   作成日時 : 2013/02/22 03:09   >>

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 さて、今回のIDEXでぼくが最も注目したのはスーダン政府の出展でした。
 
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 スーダンでは中国が兵器を生産しており、これが国民の弾圧に使用されていることはよく知られています。
 スーダン製の兵器は即ち、殆ど中国製と言っていいと思います。今回展示されたのは小火器やロケット弾などのプリミティブなものだけではなく、車両、戦車、無線機、先進歩兵システム、サーマルイメージャー、シミュレーター、航空機にまで及んでいました。
 少なくとも主要コンポーネントは中国製あるいは中国が仕入れた外国製でしょう。

 UAEにしろ、ヨルダンにしろ外国企業と組んで兵器産業を興す場合、この手の見本市の会場にはテクニカルなことやマーケティングがわかる「お雇い外人」がいるものです。ところがスーダンのブースには中国人が全くおりません。
これはかなり不自然です。無理やり中国の臭いを消しているとしか思えません。

 恐らく、中国はアフリカや中東での輸出、特に紛争地域や独裁国家に対する輸出の隠れ蓑としてスーダンを使うつもりではないでしょうか。「ウチは関係ありません。アレはスーダンが勝手にやっているんです。我々の手は天使の羽のように真っ白です」とかいうつもりじゃないでしょうかね。

 しかも今回スーダンのブースはかなり大きかったのですが、デビューにしては大きすぎます。これも不自然です。
中国政府が出展料を出している可能性もあるでしょう。 

 今後つてを頼って調査をしてみようと思います。

 さて、今回日本のメディアでは朝日新聞とNHKが来ていました。日本人の専門記者はぼくだけでした。
 スーダンの件もぼくが取材に来ていなかったら日本で報道されることはなかったでしょう。
 ぼくの知る限り、防衛省からも外務省からも誰も来ていません。アブダビの日本大使館もノーマークでしょう。大抵外交官は「野蛮」な軍事見本市なんぞには顔を出しませんから。

 こんなことで我が国の政府にしろメディアにしろ、軍事情報の収集は大丈夫でしょうかね?


 アフリカや中東の防衛駐在官を増やしも無駄です。
 防衛駐在官は外務省に出向している「外交官」であり大使・領事の子分です。
 で、外務省のエライ人達も大使様・領事様は基本「マロは軍事は嫌でおじゃる」と人達ですから、防衛駐在官にまともな活動をさせるとか、予算をつけるとか防衛省に情報を送らせるとかさせません。

 防衛省には直接報告させないし(本当は数年前からできることになっているのですが)、国内外の出張はさせないし、武官の参加するイベントは夫人同伴も多いのですが夫人同伴のための予算もでません。
 しかも政治家や防衛省からエライ人が来る場合、運転手兼、ガイド代わりに使われることも多々あります。
 某次官なんぞは、小遣い稼ぎのネタのためにあまつさえ防衛駐在官にカネを貸してくれと頼んだりしたそうです。やれやれ。

 防衛駐在官を増やしても大使館で新聞の切り抜きをする人間が増えるだけです。
 情報収集の強化にはなりません。

 やるのであれば、防衛駐在官は外務省から防衛省に移管し、予算(無論領収書のいらない予算含む)も人間も10倍ぐらい増やすべきです。人員は駐在防衛官だけではなく、ジュニア・オフィサーや曹クラス、現地採用者でチームを作るべきです。また軍事技術を専門に収集する、技術に明るい人間も必要です。

 せめて近所の国でやってる見本市に出張できるような体制が必要だと思います。

 まあせっかく情報を収集しても、それを活用できる政治家がどのくらいいるかも問題ですけどね。

 情報はオーダー、収集、分析というプロセスを繰り返すわけですが、政治家や防衛省の上層部にどのような情報を集めてこいという明確なオーダーがなければ、まともな情報収集はできないし、良い情報が上がってきてもブタに真珠、となります。

 上記のような変革は日本版NSC(National Security Council:国家安全保障会議)を作るよりも遙かに簡単でしょう。
 
 まあ、防衛大臣が単に防衛駐在官を増やしたいといっているようでは、無理でしょうけどね。
軍服を着た「新聞の切り抜き要人」を増やしてどうするんでしょうかね?

 我が国は諜報組織はないし、諜報活動はできません。ならば防衛駐在官や見本市やコンファレンスなどの海外視察を積極的に使うべきでなんですがねえ。

 まあ、実際に現状を変えることには苦労がつきものです。その苦労を厭い、「憲法改正」と壊れたテープレコーダーのように繰り返している方が楽だし、程度の低い「愛国者」から支持もされるんでしょうけどね。
 どうせその内またペルーの大使公邸人質事件や先のアルジェリアの事件のようなことがまた起こるでしょう。
 


 朝日新聞WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。

防衛省・自衛隊の存在感はどこに?――中東最大の軍事見本市を取材して
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013022100021.html

軍事情報軽視の日本政府と防衛駐在官の構造的問題
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013012500007.html

政治的思惑による自衛官の急増は国防力の低下を招く
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013020600004.html

防衛費増額400億円はまやかし、実際は「大軍拡」だ(上)――防衛費増で景気は良くなる?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013021300007.html

防衛費増額400億円はまやかし、実際は「大軍拡」だ(下)――危うい後年度負担
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013021800009.html

 



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内 容 ニックネーム/日時
中西輝政氏とか八木秀次氏みたいな保守系文化人て保守系雑誌で「日本人よ立ち上がれ」とか「日本人よ毅然としろ」とか「憲法改正しろ」とか壊れた録音盤みたいに叫ぶだけですよね。彼らの文章は、戦前・戦中の日本の軍人の文章みたいな抽象論や精神論ばっかりで具体的にどうやって「立ち上がって」「毅然としたら」いいのかさっぱり見えてこない。八木氏なんてスマップだったと思いますが、流行歌の歌詞にまで「引きこもりニートの若者の自己肯定・自画自賛」なんていちゃもんをつけていました。暇なんですねぇ。他に何かすることないんですか?中西氏にしろ八木氏にしろ国公立大学の教授で、抽象的な精神論みたいな内容空虚な文章を書き殴って印税や原稿料もらえるんだからいいご身分ですね。私が死ぬほど嫌いな劣悪格差社会本で荒稼ぎしている偽善者連中とどこが違うんだろう…
きるすてん
2013/02/23 07:28
お邪魔します。
 戦場で兵士が敵兵士を撃ち殺しても「交戦権の行使」であり、個々の兵士が責任を問われる事はありません(軍規または戦時国際法に抵触しない限り)。兵士でない人間が人を打ち殺せば、その責任は裁判によって決められます。自衛隊員が侵略軍の兵士を撃ち殺し、侵略国が日本国憲法の交戦権の否定を根拠に自衛隊員を殺人罪で告発するといった事態が起こった場合、それを退ける根拠は何なのでしょうか(外国でなくある特定の日本人がそれを行う可能性もあり)。また日本国憲法の交戦権の否定を根拠に自衛隊員が戦時国際法の保護(捕虜等)を受けられない可能性があります(ゲリラやテロリストとして扱われる?)。これでは「侵略国の兵士は自衛隊員を殺し放題だが自衛隊員は傷付けることも許されない」といった事態も起こり得ます。この問題は憲法の改正以外では解決できないのではないでしょうか。
ブロガー(志望)
2013/02/23 22:01
スーダンの兵器の件はなかなか興味深いですね。
余計な話を書き加えなければ、全体として良記事だったのに残念です。事実は事実だけを独立して記事にした方が説得力があると思います。
十里須加狸
2013/02/24 07:06
起きてからもなにもしないんで困ったものですが・・・
いぜん、なにかの事件のときに、外務省や政府がなにもわからなくて右往左往していたのに、商社はしっかり把握していたということがありました。
どうも、日本は江戸時代以前から、民間人の方が情報収集能力は長けているようで・・・・
(=^・・^=)
2013/02/24 08:23
お疲れ様です
1)日露以前のように親密な武官交流が他国とできたらよいのに(世界の中での日本のレベルもわかる)、予算が取れない
2)官僚利権:なんでもいいから予算を増やし、自分達のぽっぽに分捕る
3)主要な者を米国などに送り、むこうのアレにナニさせ、良い工作員に育てる
4)それらの複合
5)単なる護衛もしくは盾として、外務省からオファがあった
6)他

なんかではないですよね?
駐在武官の話が出てきた理由ってw
unimaro
2013/03/02 10:16

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