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zoom RSS 陸自の火砲を減らして、海自の護衛艦の火砲を増強するという考え方

<<   作成日時 : 2012/12/11 12:44   >>

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 陸幕は来年度も「火力戦闘車」なる、簡易型自走榴弾砲開発の予算を要求しています。
 とろこが島嶼防衛用の特科システムの導入や研究には全く不熱心です。

 単に牽引式榴弾砲FH-70が古くなったから新しい玩具が欲しいというわけですが、限られた予算は有効に使うべきです。だいたいFH-70なんて砲身は殆ど使っていないのでピッカピカ。最大射程で射撃訓練を始めたのは数年前から、それもヤキマの演習場に少数を持ち込んで、です。
 耐用年数が過ぎたなんで、インチキをいわれてもこまります。へたっているのは足回りだけで、3千万円ほどのオーバーホールで延命は可能です。


 本来「火力戦闘車」は様々要素を考慮して仕様を決めるべきですが、何に基礎研究もせず、特科の意見も聞かず、初めから99式自走砲の砲と、重装輪回収車の車体を組み合わせることが決まっています。

 まるで官製談合で問題になったUH-X同様、はじめから結論ありきの開発です。
 やっぱりUH-Xも陸幕の将軍方が関与していた官製談合だったんじゃないですかねえ。


 「火力戦闘車」はどう考えも対ソ連用の本土決戦装備です。こんなものを開発・調達していれば、本来必要な島嶼防衛やネットワーク化の予算が喰われてしまいます。

 いっそのこと、陸自の特科予算を大きく削って、砲を充実させた新らしい水上戦闘艦でも開発した方がいいんじゃないでしょうかね。

  運用にもよるでしょうか、近年では射程が100キロを超える射程を有し、精密誘導も可能なものが出てきています。例えば一隻に2〜3門の砲を搭載し、観測用のヘリないしはUAVを搭載した、2000〜3000トンぐらいの小ぶりの艦で、高級なSW(対潜水艦)とか対艦ミサイルなどは搭載しない。場合によっては一定の水陸両用部隊を収容して、彼らを揚陸させるための舟艇を搭載するなどもあり、でしょう。
 臨検用の部隊を載せればパトロール用にも使用できるでしょう。対して維持コストがバカ高く、役に立たないミサイル艇を全部退役させるべきです。


 このような艦は占領された島嶼、あるいはその周辺の島嶼に155ミリ榴弾砲を展開させるにのに比べて以下の利点があります。

 1)射程が圧倒的に長い。
 2)発射速度が速く、陸の榴弾砲と比較した場合、短時間でより多くの鉄量を投射できる。
 3)陸の榴弾砲が、揚陸場所を制限されるが、海の上から射撃が可能であり、自由度が高い。
 4)揚陸の支援にも有用
 5)揚陸した直後の敵に対して速やかに、かつ連続的な攻撃を加えることができる。
 6)揚陸した特科部隊には弾薬や食料、燃料を常に補給しなければならないが、その必要がない。
 7)陸自の特科を大幅にリストラできる。
 8)艦隊の防空用にも使える。イージス艦で射撃統制すれば尚更。

 その他、色々ありますが、これに加えて既存の艦艇の砲の長射程化も行うべきです。ですが、少ない護衛艦を島嶼の攻撃あるいは攻略に拘束するのは制海権の維持を考えると不利です。ですからこのような専用の艦をつくるべきです。
 予算は使いもしない「火力戦闘車」なんぞをつくろうとしている、当事者意識のない陸自の予算を削って使えば宜しいでしょう。陸自の火砲は200門もあればいいじゃないでしょうか。MLRSもいまのまま、装軌式では島嶼防衛にあまり役にたちません。
 島嶼防衛用には装甲化・自走砲化した120ミリ迫撃砲で十分じゃないでしょうか。大抵南西諸島では射程は8キロもあれば十分です。あとは少数のM777があればいい。
 本土用にはFH-70を延命化して仕様を続けければ宜しい。100門を残すとしても、オーバーホールは30億円、火力戦闘車の開発予算の1/3で済みます。しかも残った砲はすべてスペアパーツ用や戦略予備として備蓄しておけば、維持時もかなり安く上がります。


 はなから戦争する気が無い人達に、冗費を使わせる余裕は我が国にはありません。
 何しろ、陸幕は自衛官は負傷しても血が出ない、あるいは戦争しても出血するような怪我はしないと思っているんですから。




UH-Xに関係している可能性があるエライ人達
画像

 



 朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
【次期輸送機XC−2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(上)】――緊急性はあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012112000007.html?iref=webronza

次期輸送機XC−2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(中)】――急ぐべきは偵察システム
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012120500005.html?iref=webronza

次期輸送機XC−2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(下)】――航空輸送力へのマイナス
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012121000005.html?iref=webronza


もう一つのUH−X疑惑――空自次期救難機を巡る疑問(上)(2012/10/29)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012103100007.html

もう一つのUH−X疑惑――空自次期救難機を巡る疑問(下)(2012/11/01)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012102600008.html









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コメント(17件)

内 容 ニックネーム/日時
大和以来の巨艦巨砲主義が抜けてないのが多いようで、懲りてないんですな。
侵略する気がないんだから、陸自は最小限に。
おっしゃるように、護衛艦の高速化と火砲の増強および、オスプレイあたりの導入でしょうか。
具体的に目立たないから、オーバーホールなどはやりたがらないんでしょうな。
(=^・・^=)
2012/12/11 13:40
上の人は大和型よりあとに戦艦を設計して建造した国は全部アホと言いたいのだろうか

FH-70は牽引砲とは思えない値段だけど国産じゃないし
砲身は定期的に交換してるんだから劣化するまでつっけぱなしの方がマズイような

2012/12/12 05:31
アブサロン級みたいですが
AGS3基なら普通に1万t越えますね。
2000tクラスなら荒天で横転しますね。
なんというか
2012/12/12 08:47
>砲身は定期的に交換してる

はあ、そのような事実はありませんけどね。
あるならばソースをどうぞ。
思いこみでは
2012/12/12 12:13
フリーダム・インディペンデンスは2000-3000tクラスですが、荒天で横転するものなのですか?
蛸杉
2012/12/12 14:50
>砲身は定期的に交換してる

で、ソースは?
おいおい
2012/12/12 17:39
蛸杉さん
LCSは155mm砲塔を搭載できませんよ。
仮に搭載したら横転確実ですが。
要するに2-3000tではなく1万tクラス
の船体規模が必要なんですよ。
ズムウォルト級は15000tですが
それでも155mm2門しか搭載してません。
なんというか
2012/12/12 18:15
素人にはよく分かりません。自民党の石破さんに政権とったら防衛大臣になるように薦めレクチャーしてください。
石破さんに頼め
2012/12/12 18:19
>横転確実です

で、根拠は?
で?
2012/12/12 19:26
2000-3000t級の船で、(155mm砲はしりませんが)127mm砲を搭載した例は沢山ありますよ。転覆はしません。ルポ級は満載2500tで 127mm砲を搭載していますし、第2次大戦の駆逐艦は満載2000t級で127mm砲を2-5門積んでいます。フランスのA69級通報艦は、満載1200tで100mm砲を搭載しています。


155mm砲を搭載した場合にどうなるかは分かりませんが、ドイツ軍は満載5700tの船に155mm砲を搭載したことがあります。LCSに155mm砲を搭載する場合、搭載できるだけの強度の土台があるかどうか、また、155mm砲の重量が船の安定性の計算に入っているかが重要になります。もとからそうデザインすれば余裕で耐える。ただ、その意味では、今のLCSに155mm砲を搭載したら、、、いや、BAeのMk45なら大丈夫じゃないですかね、軽いし。

参考まで
ドナルド
2012/12/13 00:26
>155mm砲を搭載した場合

2000〜3000トンといっても海自の艦は基準排水量はもっと多い。それにLCSみたいなトリマラン
ならより安定しするんじゃないの。技本でもアメリカと共同でトリマランの開発するようだし。それとも満載排水量3500トンクラスのトリマランが155ミリ砲搭載して転覆した実例ってあるのかな?
トリマラン
2012/12/13 11:05
〉ドナルド
127mmでは火力不足です。
AGSなら十分な性能あります。
対空射撃できませんがね。
LCSにAGSのシステム入らないような。
いずれにしろLCSに艦砲レベルを
2〜3門積むスペースはありません。
〉トリマラン
要はLCSにズムウォルト級以上の
砲火力を加えるのだ。
どう考えても無理だな。
それと改装ではなく新造だあるよ。
127mmだが装備過剰で横転ならあるよ。
なる
2012/12/13 14:01
あまり実戦を想定した装備にしたら、周辺諸国に日本は本気で戦争を始める気なのかと誤解を生みます。基盤的防衛力に徹するべきです。自衛隊は適当に存在すればよいのです。真剣に戦争を想定しないでください。怖いです
大輔
2012/12/14 21:25
火力戦闘車については思うところがありますけれど
個人的にはこの記事にあるような護衛艦の建造も現実性が薄いように感じます。排水量3000tというのは多分基準排水量のことを仰っているのでしょうけど、いくら誘導弾を使うといっても、プラットフォームの安定性が命中精度に影響しないとは言い切れないでしょう。また、海上の気象によって効果が減じる可能性は無いのでしょうか。
また、UAVやヘリを運用するとのことですが、ヘリを運用した場合にはUAVに比較して多用途性に優れるものの、船体規模が計画通りのサイズに納まることは考えにくいです。あと、実際に島嶼防衛に従事することになった場合には当然このフネにあれを撃ってくれ、これを撃ってくれという要求が大量に来るわけですよね。現代戦が消耗戦にならないとしても、弾薬や燃料など、結局陸に揚げる分と同じようなレベルの兵站支援を必要としたりはしないでしょうか。また、予算の制約が厳しい中でこういった単独用途にしか使えないようなフネを作るくらいなら(単艦ではミサイルや航空機からの自衛すらできないわけですよね)、いっそ既存の5インチ砲用の弾薬を新調するだけにとどめておいたほうが、わざわざこの種のフネを調達するよりコストパフォーマンスはいい(もちろん、155mmと同等の性能が得られないことはなるさんのコメントにあるとおり承知しておりますが)ということになると思います。
ふきのとう
2012/12/15 03:15
5インチ/127mm速射砲は陸の15砲に較べて威力で劣るという、御意見がありましたが。弾重量的には同等で威力的には遜色ありません。むしろ発射速度や弾庫には平均1000発程度は搭載している艦艇が多いことも考えるとやはり艦砲は有効な武器と考えられます。

また76mmでも長射程誘導砲弾が開発されて来ましたので馬鹿に出来ないモノになりつつあります。

エンリステッド
2012/12/19 01:46
>>大輔
軍拡を推し進めてる中華のほうが怖いぜよ。
ミサイル発射した北もな。
K
2012/12/19 22:46
> 島嶼防衛用には装甲化・自走砲化した120ミリ迫撃砲で十分じゃないでしょうか

120ミリ迫撃砲は、96式ではなく、直射もできるAMOSがよいでしょう。
155ミリ砲は各方面隊に10両もあればよいでしょう。

>2000〜3000トンぐらいの小ぶりの艦

日本列島の防衛は最大級で、満載2000トン程度で十分でしょう。他に満載300トン程度、満載60トン程度、満載20トン程度の哨戒艇や輸送艇が必要でしょう。
読者
2013/01/13 21:33

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