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zoom RSS 公共事業とインフレは景気を悪化させる。

<<   作成日時 : 2012/12/25 12:27   >>

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 自民党の安倍総裁はインフレ、円安、公共事業のばらまきをすれば景気はよくなると主張しています。
 同様な主張をする経済学者やエコミスト、相場師の類もおります。本当でしょうか。

 結論からいうと、それはありません。デフレなのは需要が減少し、対して供給が過剰な状態だからです。ものやサービスの価値よりもお金の価値が高い状態なわけです。
 
 国民は漠然と行く末に不安を持っています。いくら国が借金しても個人の家計と違って平気だ、日本はギリシャとは違うといっても、1000兆円を越える借金は尋常ではない、庶民はそう考えます。
 また将来は大増税になり、社会保障は削られるだろう、医療費の自己負担は増え、年金は減らされるだろう。
 そのように考えます。当然将来に備えてお金を貯め込みます。
 
 政治家や学者がいくら理屈を捏ねようが、庶民はそう考えます。ですから消費は冷え込みます。
 
 繰り返しますが、現状供給が多く、需要が少ない状態なわけです。
 ですから、デフレを解消するのは無理にしろ、緩和するためには需要を拡大するしかない。それには消費者の将来の不安を取り除くことが必要です。

 即ち、国の借金を減らすことが必要です。

 病は気から、といいますが、経済も気からです。
 人間の営みですから当然です。ですが現在の経済学では「気持ち」とか「心理」は数値化できないものを嫌います。つまり現実を自分たちの都合のいいモデルに、併せて解釈しようとします。ですからいつもトンチンカンなことを主張するわけです。

 でも株式だってそうでしょう。業績のいい、将来性のある企業の株が上がるとは限りません。何であの優良企業の株があがらなくて、あんな怪しげな、あるいは危ない企業の株があがるの、というは良くある話です。なんとなくテーマや思惑、アホな政治家の発言で株価が上下するわけです。株式相場だって理性や合理性だけで動いているわじゃありません。

 ところが不思議なことに株屋のアナリストやシンクタンクやらは消費者の心理や相場の心理など数値化できない現実を切り捨てて、自分たちの都合のいい理屈に、無理やり現実を当てはめて理詰めで経済を説明しようとします。

 それはレポートや論文が書けないからです。官民問わず、アナリストや学者はレポートや論文を書くのが仕事です。ところが曖昧な「気分」とか「感情」は数値化できず、詳細な分析もできません。
 ぼくは彼らのことを墓守と呼んでいますが、彼らに現在のこと将来のことがわかるわけがありません。
 ですが、メディアは「権威ある」アナリストや学者にコメントさせて、自社の記事を権威つけします。しかも悲観論が受けますから悲観論ばかりをかきます。
 ですから、円高=不況 デフレ=不況というステレオタイプの情報が浸透してしまっているわけです。で、これが消費者を余計にネガティブにして、更に消費を冷やして景気を悪くしています。

   
 公共事業をばらまいても需要は拡大しません。現在の我が国では土建業に従事している人間は少数派です。また波及効果のすくない公共事業をいくらやっても経済の拡大にはつながりません。

 それは防衛予算を増やして兵器を買いまくれば、防衛産業が儲かって景気が良くなるという主張と同じです。
 兵器が自衛隊に配備されても何ら経済的な価値を生むわけでもなく、経済的な波及効果が生まれるわけでもありあせん。 

 単なる財政支出で景気がよくなるならば、国民皆で穴掘り、それを埋めて国がそれに対して10万円ぐらいの日当を払えば景気がよくなることになります。

 客がかなり少ないであろう整備新幹線、ぼくは空気運搬列車と呼んでおりますが、これなんぞ経済波及効果が見込めないだけではなく、その後も赤字を垂れ流すでしょうから経済的にはマイナスです。特に近年はLCCが国内に入ってきていますから、LCCと競合も始まりますから尚更です。
 
 例えばかつてのドバイのような状況であれば、公共事業で景気が良くなります。
 40年ほど前までドバイは単なる漁村しかも、寒村でした。隣のアブダビみたいに石油が大量に湧いてくるわけでもない。ですがそこで空港、港湾、倉庫を整備してきました。これらは相互作用で需要を生みだしました。
 
 これによってドバイは中東に於けるシンガポールのような地位を築いたわけです。もともと国民が少なかったので、これら施設の従業員が増え、彼らが消費をします。
 また世界中からビジネスマンや買い物目当ての観光客が来ますからホテルの需要も増えます。一流ブランドのブティックも増えます。国営のエミレーツ航空も世界有数の航空会社になりました。
 
 
 ドバイの国内需要は大きく拡大しました。こういう国では公共投資を1すれば、5とか10のリターンがあります。
 ですが、同様なことは我が国では起こりません。

 先のトンネル事故で既存インフラの補修が注目されていますが、これは是非とも必要ですが、既に存在しているインフラの維持、現状の維持のための義務的な投資ですから、経済波及効果は見込めません。耐震対策も同様です。

 これを経済効果があるように宣伝するのは羊頭狗肉です。

 国の借金を減らすにはこれらの費用を捻出するために、土建屋と芋掘り代議士だけが儲かるような、不要不急の公共事業、全国横並びの公共事業は止めるべきです。また国有財産や自治体の財産を売り払って、借金の元金を圧縮しようとか、公務員(特に地方公務員)の退職金、年金、給与を大幅に下げようという話にはなりません。

 会社でいえば、利益の二倍の支出が続いている状態にもかかわらず、人件費を減らし、不要な資産を売り、支出を減らし、借金の元本を減らすということをやろうとしません。それは大変な抵抗を生むからです。それよりも借金を増やしてばらまく方が圧倒的に楽ですし、頭も使いません。

 更に言えば、経済波及効果を目的に公共事業を行うならば田舎の公共事業は全部止めて、東京や大阪などのインフラ整備に金を使うべきです。例えば羽田空港の拡大です。

 田舎の狸や狐しか通らないようなところに立派な道路をつくっても完成後も維持費ばかりが、かかり(つまりは財政支出だけが増え)、景気は益々悪化します。
 極論を言えば、地方切り捨てこそが経済対策には効果があります。

 これは中小企業への融資も同じです。例えば売り上げが恒常的に低く、つぶれそうなラーメン屋にいくら融資をしても、その融資は給料やら家賃、借金の支払いで消えてしまいます。

 対して支店を増やしているラーメン屋に貸すのであれば、出店のペースを促進できるので、雇用や税収も増えます。
 つまり、儲かっている会社に金を貸した方が、景気は良くなります。

 
 別に弱者を切り捨てろ、というつもりはありませんが現実を直視すべきです。
 その上でどのような政策をとるべきかを議論すべきです。 



 

自民党 安倍総裁の経済観を疑う 自民党には投票せず
http://kiyotani.at.webry.info/201211/article_9.html

新幹線よりも既存インフラの維持を 
http://kiyotani.at.webry.info/201212/article_3.html

円安、インフレで景気は良くならない。
http://kiyotani.at.webry.info/201212/article_5.html

安倍不況が始まる
http://kiyotani.at.webry.info/201212/article_9.html

 

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需要拡大は「シャブ中総理」にはできない
 これまで、何度かデフレの緩和には需要の拡大、マーケットの拡大しかないと述べてきました。  また公共事業のばらまきではそれは達成できないと述べてきました。    公共事業は我が国のような成熟国家では波及効果は極めて限定されています。  なのに政府は借金を増やして公共事業を行います。まるでチャブ中患者のようです。そのときだけは瞬間的にGDPは膨らむでしょうが借金だけがの残り、身体はぼろぼろ。    今の我が国はまさにその状態なのですが、安倍総裁はシャブ中体質らしく、まだ公共事業と... ...続きを見る
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2012/12/27 00:22

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
そこまで言いますか>別に弱者を切り捨てろ、というつもりはありません「が」
先生、自分が独立して起業に成功した「勝ち組」、強者だからって、少し調子こいてませんか
自助自立とかほざいてる安倍自民党でも、そこまでは言いませんよ

そこまで言うなら、いっそ領有権を放棄して中国あたりに売り飛ばしたらどうです>田舎の狸や狐しか通らないようなところ
我々地方自治体への補助金がなくなれば、先生方都会の人たちは税負担が減って大喜びでしょうよ
ただし、東京以外の日本全土が全部中国かロシアかアメリカの領土になっても、文句は言わないでくださいね
明日はどっちだ、そもそも明日はあるのか
2012/12/25 20:58
この間からの記事もそうですが、「アベノミク
ス」を批判するならこういう自分の実感中心の、
それも金融政策も財政政策もごっちゃにした議
論ではなくもう少し現実の経済のメカニズムに
沿った緻密な議論をしてはどうですか。まあそ
んなことができないから、自分の狭い見聞、そ
れも印象論に頼ったことしか言えないのでしょ
うが。ただその「印象」に外国を挙げてそうで
ない「印象」を与えようとしているだけでしょう。
「床屋政談」ならぬ「床屋経済談」なのでしょ
うが、まあこういう自分が素人と自覚していな
い素人の議論は本当に自信満々に上から目線で
主張するものですね。
分からないことは沈黙するという智恵の無い人
間の言うことは、引いては「専門」についてさ
えも疑問が抱かれるようになりますよ?
周平
2012/12/26 10:22
公共事業と円高で景気浮揚…間違いじゃないですけど。
ただし、日本の製造業が国際的競争力が残っていて、海外でメイド イン ジャパンが売れればの話。
国の歳出の半分は、人件費ですので、そこのスリム化は必須うですが、問題はどこを削るか!
福利厚生費を削ると、意外と公務員個々の抵抗を受けにくいと思いますが、実は、その領域こそが官公庁の利権の巣窟だったりして…j

理論の実践と検証の繰り返す事で成立するのが社会科学の宿命ですので、経済学と実体経済が違うのは当然です。あれこれ頭の中で考えて政策として行動したって、結局イレギュラーが発生して、思いもかけない結果になったりするのです。だから学問として成立するわけですが
みけねこ
2012/12/26 21:17
>周平

さぞやご高名なエコノミストなのでしょう。
是非匿名ではなく、本名と肩書きを出していたただいてご高説をたまわれれば幸いです。

まあ、ご自身の主張こそ抽象的かつ印象しか
批判しかないように感じるのは気のせいでしょうかね。
キヨタニ
2012/12/26 21:24
>従来の「文化」

土建屋と百姓に金をばらまいて票を買う。
そのような麗しい文化を金をかけろと。
HAL
2012/12/27 09:17

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