清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS PX/CXに官製談合はなかったか?

<<   作成日時 : 2012/10/02 19:39   >>

ナイス ブログ気持玉 50 / トラックバック 0 / コメント 6

 さて、防衛省・陸幕は佐官クラスの首を差し出してUH-X官製談合に幕を引こうとしているようです。
 やったのは現場だ、上層部、組織的な関与はないのだ、ということでしょう。

 技本の開発官にも、陸幕の装備部長も、航空機課長も陸幕長も知らなかったと。


 いやあ、さすが栄光ある帝国陸海軍の末裔だけありますね。
 若者に特攻(自殺)を強要したり、BC級戦犯で処刑されても自分たちはしっかり生き延びたかつての陸海軍の将星を見習ってらっしゃる。


 それが事実ならば件の幹部らは上官を無視し、独断専行を行ったことになります。それは即ち防衛省・自衛隊では部下を統制できていない、上層部は無能、あるいは組織上に大きな欠陥がある、ということになりますけど。


 さて、UH-Xの件を見るに、CX(現XC-2)・PX(現P-1)開発に関しても「官製談合」があったのではないでしょうか。

 両機を同時開発するならば、ライセンスも含めて外国製を排除することが可能です。

 PX/CX開発決定当時、飛行艇US-2、ボーイングの777などの開発が重なることは分かり切っており、現場で設計者・技術者が足りなくなることもこれまた分かり切っていました。

 当時からぼくは、日本の設計陣の陣容でこのようは大型プロジェクトを平行するのは無理だと、反対していました。そして、実際両機ともに開発は大幅に遅れ、性能も予定されたところまで行っていません。価格も開発費も大幅に高騰しました。
 

 確かに航空機は開発が難航したり、困難にぶつかることはよくあります。ですから不具合が起きること自体を問題とはしません。
 ですが、事前にシロウトでもわかるようなリスクに目をつぶってプロジェクトを推進した人達の責任は非常に重いと思います。

 例えるならば交通事故は誰でも起こす可能性があります。ですが、当日疲労困憊し、飲酒でもし、整備不良の車を運転すれば、事故の可能性は非常に高まります。事故をおこして、誰も事故を起こす可能性があるのだと開き直っても通らない話です。

 また同時に開発を行うことにより、将来の若手の設計者が大型機を設計する機会が失われました。今後川崎重工では大型機設計のノウハウはとぎれることになります。当時のエライ人達は、自分たちの在任中の仕事さえ確保できればよかったのではないでしょうか。

 またP-1用のエンジンXF7-10も問題です。

 XF7-10は単に国産エンジンの開発プログラムとして、PXとは何の関係もないプロジェクトとして開発に先んじて開発が行われました。ですが、これがPX用ということは子供にもわかる話です。

 このクラスのエンジンにしたのは国内技術ではこれ以上大きいエンジンだと、開発が難しかったこと。それとそのクラスだと他国の候補があったからでしょう。実際現在XF7-10と同じカテゴリーのエンジンは殆ど存在しません。
 
 PXが4発なのは低位で1〜2発のエンジンを止めて哨戒するというもっともらしい話があり、未だに専門紙でもそのような紹介がされていますが、ぼくが既に確認したとおり、その事実はありません。
 
 昔ならともかく、現在はエンジンの信頼性も高まり、双発でも充分な生存性が確保されています。それ故、自衛隊よりも遙かに人的損失に敏感な米軍ですらP-8は双発にしました。
 それでも確かに4発の方が生存性は高いでしょうが、そのために専用のエンジンを開発し、非常に高い開発費・維持費を支払うのは現実的ではない、そのように米軍は判断したのでしょう。
 でなければ米海軍のP-8も4発になっていたはずです。

 本来XF7-10の開発費はPXの開発費に含めるべきでした。ところが、これは別だ、としてPXの開発費を見かけだけでも安く収めたかったのではないでしょうか。

 XF7-10開発は全くの無駄金です。
IHIはこのエンジンも、あるいは国産エンジンを内外の民間旅客機用に販売していくつもりもありません。仮に輸出が出来てもこのカテゴリーのエンジンの買い手は殆どいません。

 ですからこれが持続的な国産エンジン開発や商業化にはつながりません。
 つまり我が国の国産エンジンは防衛需要に寄生するしかありません。ビジネスとういう根も幹も葉ない花のようなものです。

 産業として自立するつもりもない企業をいつまでも防衛費で喰わせていくという無駄はそろそろやめる時期です。いや、既に出来なくなりつつあります。


 ついでにいえば、UH-Xが黒ならば、空自のUH−X(時期救難ヘリ)、FX(次期戦闘機)、陸自の火力戦闘車も非常に黒という可能性が濃厚です。






朝日新聞、WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。

【UH−X官製談合疑惑と日本のヘリメーカーの病巣(1)】 国営企業的体質?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090700002.html

【UH−X官製談合疑惑と日本のヘリメーカーの病巣(2)】 問われる調達計画
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012091000008.html?iref=webronza

【UH−X官製談合疑惑と日本のヘリメーカーの病巣(3)】 単価は妥当か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012091300014.html


清谷信一.【UH−X官製談合疑惑と日本のヘリメーカーの病巣(最終回)】 防衛省は意識変革を
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012091400007.html?iref=webronza

【国産哨戒機P−1の開発は中止すべきだ(1)】 高すぎるコスト
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090400012.html

【国産哨戒機P−1の開発は中止すべきだ(2)】 安価なP−3C近代化
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090500007.html

【国産哨戒機P−1の開発は中止すべきだ(3)】 システムの開発力に疑問
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012092500014.html?iref=webronza


さて防衛調達問題を知るためにいかがでしょうか。


防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 (中公新書ラクレ)
中央公論新社
清谷 信一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 (中公新書ラクレ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



国防の死角
PHP研究所
清谷 信一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 国防の死角 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




  関連記事
川崎重工 UH-X官製談合疑惑 技本の存在意義はありや?
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_9.html

川崎重工 UH-X官製談合疑惑 防衛省、来年度予算でUH-X予算要求を断念
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_8.html

川崎重工 UH-X官製談合疑惑 川崎OH−1は名機か
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_7.html

UH-X 談合疑惑 ニート・ヘリメーカー、川崎重工が日本のヘリ産業を潰す日
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_6.html

川崎重工 UH-X官製談合疑惑と報道機関の姿勢について
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_4.html

陸自のUHX
http://kiyotani.at.webry.info/201202/article_1.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、 長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その8
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_3.html

川崎重工の品格 UH-X官製談合疑惑
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_2.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その6 XC-2
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_20.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その5
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_19.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その4
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_18.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その3 MCH-101
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_17.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その2 UH-X
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_15.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その1
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do

川崎重工広報部の見識
http://kiyotani.at.webry.info/201206/article_2.html

川崎重工、橋梁部門から撤退検討
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do

陸自UH-Xが日本のヘリ産業を潰す
http://kiyotani.at.webry.info/201008/article_21.html

C―2の重量超過問題と空自の隠蔽体質について
http://kiyotani.at.webry.info/201103/article_6.html

【ファンボロー航空ショー3】日本の航空機メーカーは商売をする気があるのか?
http://kiyotani.at.webry.info/201007/article_9.html









 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 50
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
黒というならば証拠を出せでなければ妄想で片付けられる。
くま
2012/10/02 22:42
P-8はRQ-4と併用では?
何が必要で何が正しいとか10年後の未来がどのように変わっているか想像つきますか?
ノン
2012/10/14 10:36
P-8が双発になったのは、737という既存の機体をベースにしたからで、双発とする以外の選択肢は無かったというのがより正確な所では。

昔ならともかく、現在はエンジンの信頼性も高まり、双発でも充分な生存性が確保されています。それ故、自衛隊よりも遙かに人的損失に敏感な米軍ですらP-8は双発にしました。
ぽち
2012/10/15 09:12
 1段落目はその通り。2段落目も「それ故、」までは正しいです。
 それだけ理解出来ていれば「旅客機」と「哨戒機」の任務(あるいは「運用方法」)の違いについて考察できれば、及第点ですね。その上で、F7エンジンの独特の特徴などをお調べになると面白いかも知れません。
簡単な質問の名無し
2012/10/17 00:05
P-8とP-1は運用構想が異なる。
P-8は低空に下りない。よってMADの搭載を断念した。(今、米海軍はその代替手段を必死で模索している。) 
P-1は雲底下へ降下しての不審船舶の目視確認やMADによる対潜位置局限を行うために4発を選択した。(高度500ftで激しい機動している際にエンジンが止まったらどうなるか?) 
どちらの運用構想が正しいのかは、今後、各々が長期間運用しないと結論は出ない。
juggler
2012/10/18 12:07
センセーのサイトにはお世話になってますw
だからどんなに都合が悪くても削除しないでくださいね。
まともな人の反論を読むために
2012/11/13 23:47

コメントする help

ニックネーム
本 文
PX/CXに官製談合はなかったか? 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる