清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS UH-X談合疑惑そもそも論

<<   作成日時 : 2012/09/08 08:27   >>

ナイス ブログ気持玉 15 / トラックバック 0 / コメント 9

 .防衛省ヘリ談合 川重が“代理作成”か 仕様書で受注有利に
 http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120907/cpb1209071500005-n1.htm 

 防衛省側が作成して業者側に示す「仕様書」の作成に、川崎重工業(神戸市)側が関与していた疑いがあることが6日、関係者の話で分かった。仕様書作成に関与すれば受注に向けた審査を圧倒的優位に進めることが可能で、防衛省側は川崎重工が有利になるよう取りはからったとみられる。


 なんでこんなことで騒ぐんでしょうかね。

 防衛省の装備調達で、本命業者が仕様書を書いてるなんで、業界では常識、公然の秘密です。
 実際メーカーの方で、開発しながら仕様書書いたり、本来官側が書くべき各種レポート書いていたと証言する人間を何人も知っています。
 
 何を今更、てな話です。

 既に過去ぼくが指摘してきたように防衛省の調達担当部署の人員は列国に比べて一桁少ない陣容です。それでまともな調達ができるはずないじゃないですか。

 ですが仕様書が書けないということは、本当は自分たちが何を欲しいかと把握していないということです。
 つまり防衛省には当事者能力がない。 

 仕様書を含めて本来官側がやるべき仕事はメーカーや商社がやっているわけです。当然その分のフィーは料金に上乗せされています。
 
 当然ながら仕様書を書く本命が競争入札でも一番有利に決まっています。競合他社が不利な項目をつけたり、自社に有利な数値をいれたりできるわけですから。ハッキリ言ってインチキ賭博場のようなものです。
 このような状態で競争入札が機能していると信じるならば随分と人がいい、とういことになります。

 しかも防衛省は入札後に値段を下げろとか要求してきます。これではまるでヤクザです。
 入札の意味をわかっていません。


 ですから心ある若手の佐官や尉官たちは仕様書を書けるような教育システムや人員の増強が必要だと主張しています。
 ところが将官やぼくらの世代のバブル一佐たちは、そんなん業者にやらればいいじゃない、という旧態以前の発想から抜けだせません。


 初めから結論ありき、仕様書を業者に書かたのがお縄になる理由ならば、防衛省は千人単位で逮捕者をだすんじゃないでしょうか。

 空自のUH-X(次期救難機)だって、結構怪しいと思いますよ。これもさんざん記事に書きましたが。
 どう見ても、三菱重工に有利ですもの。
 しかもライフ・サイクル・コストの計算も結構怪しいです。
 
 東京地検の旦那方、空自のUH−Xの仕様書を入手してみると面白いですよ。

 また先の陸自の練習ヘリの調達もそうです。川重案だけエンジンを官給にするという下駄を履かせていました。これは川重と陸幕の間で値段で揉めて、ダークホースのエンストロームが取っちゃったんで、「未遂」におわりましたが。

 それからFXもそうです。誰がどう見ても評価項目がF-35に有利な内容でした。価格を見てもそうでしょう。今度の単価が約150億円で、1.5倍。組立関連の初度費が1000億円以上、これは来年度分で、もっと膨らむでしょう。今後F-35はソフトの改修などもありますから単価も更に上がるでしょう。それはわかった上で、現実を無視した価格で評価したわけです。

 さてUH-Xですが、これまた何度も書いていますが、そもそも計画が杜撰、空想的と3年間も内局からダメ出しを受けてきたわけです。
 まあ、陸幕装備部といえば、英語も読めない人間がウィキペディアあたりを参考にしてぼくの本の正誤表をつくり、これに抗議すると正誤箇所が百数十箇所から3箇所に減らす(そのうち2箇所は国交省との見解の相違)なんてことを平気でやるところですから。

 この正誤表、恐らくは永田町のセンセイ方へのご説明用でしょうが、随分とセンセイ方も舐められたもんです。他のもウィキペディアを多用したご説明用資料が出回っている可能性がありまぜ。
 本来こんなインチキな仕事を許していた装備部長は切腹もんだと思いますけど、順調にご出世なさっているのではないでしょうか。


 陸幕はあれこれ数字を作って内局を説得したわけですが(しかし、どうやって25億円のOH-1をベースに12億でUH-X作るんでしょうか)、インチキ臭いといってもそれなりの数字を出してきたので、内局も折れざるを得なかった。多分のOH-1ベースの川重案で持って数字を作ったのと違いますか。

 まあ何れにしても司法の場であれこれと明らかになるのでしょうけども。

 
 ハッキリ言って防衛省の装備調達はインチキだらけ、無駄遣いのオンパレードです。ぜひとも国会でメスを入れて欲しいものです。まあ、あんまり期待しておりませんが。

 とはいっても、何もしないよりはマシ、とおもっておるので今回もメディアの取材には協力しているわけです。
 
 一回の取材で大抵2時間ほど背景から説明します。内容はぼくが足とコネを使って苦労して集めて分析した情報です。我が国では「記者クラブ」という優秀なシステムがあるので、我々フリーランスの人間は防衛省の記者会見で質問するどころか、記者会見にすら参加できません。また防衛省が出す各種のリリースの入手にも苦労します。当然ながら、防衛省がやるブリーフィングや勉強会などにも参加できません。
  まあ、いうならばヘレン・ケラーのような状態で取材をやっているわけです。それでも記者クラブ会員諸氏が、報じなかった初度費の件やら、先の震災で陸自のUAVが一度も飛ばなかったことなどをスクープしたりしております。

 で、この手の大抵コメントは数千円から1万円程度です。お代がでないことも多々あります。割の合う話じゃありません。しかも土日の休みまで削ってです。銭金のことを考えたら取材はお断りしたいところです。
 
 因みに以前某国のコンサルはぼくの話に1時間あたり500ドル払いました。彼らはそれだけの価値を認めたわけです。だからといって時間500ドル払えといは言いませんが。

 これもお国のためのボランティアと思って諦観をもってやっていますが、せめてぼくが話した情報を有効に使って欲しいものです。



朝日新聞、WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。
【国産哨戒機P−1の開発は中止すべきだ(1)】 高すぎるコスト
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090400012.html

【国産哨戒機P−1の開発は中止すべきだ(2)】 安価なP−3C近代化
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090500007.html

さて防衛調達問題を知るためにいかがでしょうか。


防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 (中公新書ラクレ)
中央公論新社
清谷 信一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 (中公新書ラクレ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



国防の死角
PHP研究所
清谷 信一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 国防の死角 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




  関連記事

川崎重工 UH-X官製談合疑惑と報道機関の姿勢について
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_4.html

陸自のUHX
http://kiyotani.at.webry.info/201202/article_1.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、 長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その8
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_3.html

川崎重工の品格 UH-X官製談合疑惑
http://kiyotani.at.webry.info/201209/article_2.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その6 XC-2
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_20.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その5
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_19.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その4
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_18.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その3 MCH-101
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_17.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その2 UH-X
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_15.html

川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その1
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do

川崎重工広報部の見識
http://kiyotani.at.webry.info/201206/article_2.html

川崎重工、橋梁部門から撤退検討
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do

陸自UH-Xが日本のヘリ産業を潰す
http://kiyotani.at.webry.info/201008/article_21.html

C―2の重量超過問題と空自の隠蔽体質について
http://kiyotani.at.webry.info/201103/article_6.html

【ファンボロー航空ショー3】日本の航空機メーカーは商売をする気があるのか?
http://kiyotani.at.webry.info/201007/article_9.html


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 15
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
面白い 面白い
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
川崎重工のヘリコプター組立工場が地元にあるので、この難局を何とか乗り切って欲しいです。
なお、私は川崎重工とは縁もゆかりも無い者ですが、郷土愛から応援しています。
おだまき
2012/09/08 18:15
各務原市の為に「がんばれ川崎!」この難局を何とか乗り切るんだ。
おだまき
2012/09/08 18:26
開発が中止になって、
輸入機なり、ラ国なり、BKミリタライズなり、とにかく早く数が揃えられる方向に転換してくれるように願ってます。
実家静岡なんで東海地震とか起きたときに、数が足りないじゃ、お話になりません。
軍用機の純国は数が揃った試しがないですし、そもそも、このクラスの多用途ヘリは、「飛ぶ能力」が、いい線いってる民間機が存在してるわけで、一国がゼロからの開発に金かける意味がわかりません。それより、陸自は60後継機に精力注ぐべきだと思います。
ロック
2012/09/09 02:57
川重のコンプライアンス教育が空しい。
トライ
2012/09/09 12:26
清谷氏の暴挙
http://himajin.cocolog-enshu.com/club/2012/09/post-e67b.html?cid=72948012#comment-72948012

香ばしいですよ。
こんなブログが。
2012/09/09 12:47
仕様書を業者が書いているのは、防衛省だけではない。特に最新技術が含まれると。
もっと現実を踏まえた入札制度にしなければ。
K
2012/09/09 15:38
>こんなブログが。

論評に値しないですね。
キヨタニ
2012/09/09 15:55
結果として地検の捜査の後乗りという構図になってしまいましたが、元を正せば一連の防衛産業の不正に目を光らせていたキヨタニ先生の大勝利ですね。
勝手ながら、これからもキヨタニ先生の正義を貫く姿・ジャーナリストとしての精神をを尊崇させていただきます。これからも頑張って下さい!!
quatre-vingt-deux
2012/09/10 00:04
残念ながら、おっしゃる通りです。
本来ならば、要求すべき性能を決めて、それに対して、各社から提案を受けて、相手方の選定をすべきですが…。
そんな能力なんて、自衛隊にはありませんからね。
プライムにおんぶにだっこ状態。
なんとかしてほしいですね。
秘密
2012/09/11 23:47

コメントする help

ニックネーム
本 文
UH-X談合疑惑そもそも論 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる