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zoom RSS 優先順位がつけられない、君塚陸幕長

<<   作成日時 : 2012/08/20 09:42   >>

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  さて、もうすぐ防衛省の来年度予算の概算要求案が出ます。

 で、陸幕はあいも変わらず牽引155ミリ榴弾砲FH-70の後継となる簡易型自走榴弾砲、火力戦闘車の開発予算を要求するようです。

 無理やり重たい車体を流用した火力戦闘車は、空輸にしても船で運ぶにしても大変で、島嶼防衛には寄与しません。

 特科のアセットであればそんなものよりも、軽量155ミリ榴弾砲、120ミリ自走迫撃砲(陸自では普通科が運用していますが砲兵が運用している国は少なくありません)、精密誘導砲弾、砲兵用の最新の観測装置、ネットワークシステム、とかの装備化を優先させるべきです。

 特に精密誘導砲弾を採用すれば島嶼防衛の際に兵站を小さくできます。また、人口の7割が都市部に集中している我が国固有の環境(これ自衛隊が国産兵器の開発をする時の常套句ですが)を鑑みれば、対ゲリラ・コマンドウ戦でも有用です。

 中共ですら装備しているこのような装備を陸自が全く持っていないというのは問題です。
 陸自の特科の装備は旧式で先進国の軍隊とはいえません。
 

 陸幕には優先順位という概念が存在しないようです。

 予算不足で、訓練費すら大幅に削ろうかという時に、大金かけてこんな不要不急なものを調達しようとするセンスがわかりません。

 既に前大綱の時代から島嶼防衛は謳われていましたが、陸幕は水陸両用部隊の編成すら遅々として進んでいません。おまけに、海空との島嶼防衛に向けた統合作戦の具体案もありません。
 海空自と話がつかなければ、兵力投射手段が確保できませんから、いくら部隊の編制を考えても机上の空論です。自衛隊全体の予算の中から、水陸両用部隊や新規の揚陸艦や輸送機、その他の装備や部隊の予算も捻出しなければなりません。

 FH-70は砲身の寿命は十分にあります。なんせ陸自は殆ど実弾射撃をしませんから。
 またヘタってきた駆動系は一門あたり3千万円もあればオーバーホールできます。しかも火砲の総数を減らしている最中ですから、余剰となったFH-70はパーツ取りに使えます。
 更に砲弾や装薬を99式と統一すれば弾薬の調達コストも、兵站負担も軽減できます。
 
 どうしてもFH-70の後継が欲しいならば、フランス製のカエサルでも買えばいいでしょう。今年の5月に陸幕、技本、内局の合同チームが現地調査をして性能、運用面で極めて優秀だと結果をだしています。
 おまけに調達コストは火力戦闘車より一桁安くなるでしょう。

 日本製鋼所の仕事が確保したいならば、M777当たりを導入し、オフセットで砲身などの生産を要求すればいいだけの話です。政府だって武器禁輸の方向に舵をきっているわけですから。

 自走砲ならば簡易型155ミリ自走榴弾砲よりも120ミリ自走迫撃砲を優先すべきです。
 島嶼防衛に限っていえば、ウィーゼル自走120ミリ迫撃砲なども宜しいでしょう。軽量でヘリでの輸送が可能で、前進観測車、指揮通信車などもファミリー化・ネットワーク化されています。お値段は一輛あたり1億円程度ということですので、3個中隊分でも火力戦闘車の開発費、約100億円以内で調達できるでしょう。
 
画像


 

 繰り返しますが、島嶼防衛の強化は現状最も重要かつ、迅速に強化すべきです。
 ともかく優先順位の高いものから早く導入し、戦力化すべきです。
 

 必要性も緊急性も低い装備を優先させるのであれば、陸幕には時間の観念も、危機意識も、想像力も、経済観念も欠如していると言わざるるを得ません。


 人民解放軍は自衛隊の十分な防御体制が整うまで、悪さを待ってくれるという確証でもあるのでしょうか。

 率直に申し上げて、陸幕は実戦を想定していないのではないでしょうか。こんなことだから、同盟国の米国から尖閣?俺達は関係ない、というような態度を取られるのではないでしょうか。



  そもそも自走榴弾砲に「火力戦闘車」なんて、残念なネーミング。ネーミングのセンスも問題です。


WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
有料ですが、一部は無料で閲覧できます。

火力戦闘車の開発は必要か(1)――重すぎる重量(2012/05/08)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012050700004.html
火力戦闘車の開発は必要か(2)――優先すべき島嶼防衛
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012050900013.html
火力戦闘車の開発は必要か(3)――費用対効果と優先順位
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012051500010.html
火力戦闘車の開発は必要か(最終回)――自衛隊の弱体化?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012051600007
 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
FH−70の後継に自走砲、これは悪くないと思うんですがね。
でもFH−70がやっていた仕事を代替するのに迫撃砲をってのは無理がありませんか?
99式自走砲の増産とかで対応すれば良いようにも思えますが・・・・(コスト高そう)

まあ、そのお金を周辺機材の強化に充てろっていうのには賛成ですけどね。
八王子の白豚
2012/08/20 23:36
北のミサイル防衛は明らかに統合軍事訓練だったが・・・

2012/08/21 11:13
無人偵察機の検索から来ました。一通り読ませていただきました。その上でこのトラックにコメントさせていただきます(最新のはちょっと私は良くわからないので)。
今までのものを増やすな、新しいものを買えというのはご主張の要旨かと思いますが、日本の組織というのは新しいものに予算をつけるのがとても苦手です。下と上がはっきりしている世相なので上に注文を付けるのが難しい。その上で、自衛隊には更なる制限が付きまといます。地球市民の皆様方からのクレームですね。オスプレイ騒動は当然ご存知かと思いますが、平和を愛するあまり他国の手先になってることに気付かずなんにでも反対と唱えるキ○ガイな人たちがこの国は他国よりもたくさんいます。それらを説得し画期的な装備の導入を図るのは陸自の責任ではないですよ。政府とマスコミが国民に説明し納得を得て初めて導入できるもののはずです。少なくとも米国、欧州はそうですよね。ま、その政府もマスコミも反自衛隊で固まっていますので今すぐには無理でしょう。だから、以前の計画通りの導入、以前の機材の老朽化による更新の予算申請がなされるわけです。他のエントリでも装備の改造やら刷新にご意見を出されていますが、それらも上記の特殊性を無視されているようで気になりました。当然意見を出されることは大事ですし改善もなされるべきだと思いますが、まず手前に立ちはだかる邪魔者が存在するのに、それに気づかれていないのではないかと思われる内容が多かったため私もご意見させていただこうと思った次第。
 
2012/08/26 12:40
パッシブ暗視装置のついていない74式戦車が、いまだに陸自の主力戦車だからね。周辺諸国にこんな国ないでしょ。そもそも有事を考えたことがない。周辺諸国の軍事情勢も知らない。頭の弱い武器オタク、自作オタク。それが陸上自衛隊。
お笑い自衛隊
2012/08/26 14:32

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