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zoom RSS 【参謀本部がウィキペディアをネタに他人を批判】自衛隊、特に陸幕装備部の情報開示で欠けているもの

<<   作成日時 : 2012/05/25 12:32   >>

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 自衛隊の新装備取材に関していつも困るのが、各幕僚監部の事実上の取材拒否です。

 予算が付く前は、「まだ予算が付いていませんから」と、防衛部など幕僚監部の組織は取材を拒否し、予算が付いて開発が始まると、今度は「開発は技本がやっていますから」と拒否です。

 でも技本が運用や導入の背景を説明してくれるわけではありません。その装備を要求している主体は彼らです。が、彼らは「それは技本が関与していません」といいます。
 
 このため開発中の装備に関する開発構想や運用、配備の予定などに関しては取材が難しくなります。

 いつもこんな感じです。である程度開発が進んでから情報を小出しにするわけです。

 ですから、海自のPX(次期哨戒機)は低空では4発のエンジンの内2発を止めて哨戒を行う、といったガセネタが専門誌でも延々と述べられたりするわけです。
 
 装備開発に「外野の雑音」を入れたくないのでしょうが、それは換言すれば外部、スポンサーたる納税者を無視することであり、民主国家の軍隊としては失格です。
 恐らくはメディアが騒いでも後の祭りになるぐらいのところまで、つまり開発が不可逆的なところまで進んで、いくら批判されても「安全」になってから形だけ情報を出そうとしているからではないでしょうか。
 これでは批判に耐えられないような胡乱な研究開発、装備化を画策していることがバレないようにしていると「邪推」されても仕方ありません。

 本来ある程度計画の構想が固まった段階で(機密に触れない程度で)メディアや納税者に計画概要、運用構想などを知らせるべきです。

 それがないから、国会でも事前にその装備の是非、あるいは計画の方向性などの関する議論も盛り上がりません。 概算要求が出て僅か数ヶ月で国会で審査なんかできるはずがありません。
 だから毎年概算要求がほぼそのまま通ってしまう。まあ、国会で秘密会議ができないことにも問題がありますが。

 
 繰り返しますが、これは民主国家の「軍隊」としては極めて異常で、むしろ独裁国家や社会主義国に広報の姿勢が似ています。
 問題は政治の問題でもあります。政治がもっと公開しろといえばできるはずです。

 実は先日陸幕広報室を通して●●●に関して、装備部に取材を申し込みました。とこrが、陸幕広報室からは、内局の然るべき部署を取材してくれと、ハンドリングが内局広報課に移りました。

 でも●●●は陸幕が主導してきたプロジェクトで、内局から3年間もだめ出しを受けたのに、意地で通したという敬意もあります。それだけ強い思いがあるはずなのに、取材を事実上拒否したわけです。
 
  拙著「国防の死角」でも書きましたが、実は以前陸幕装備部は拙著「防衛破綻」に関する正誤表なるものを作成していました。ぼくはその一部を入手したのですが、百項目以上ある正誤表の「正」の内、入手部分だけでもかなり、粗雑な誤認が見られました。
 その中にはぼくの見る限り、ウィキペディアあるいはそれを引用した2ちゃんねるあたりを参照としたとしか思えないものありました。
 いうまでもありませんが、大学のレポートでもウィキペディアの引用は認められません。装備部のレポートは大学生以下ということになります。

 せめて欧米の軍事誌を定期購読していれば間違えないような間違いも多々ありました。ジェーンズなどのデータベースでも使っていればこのような初歩的なミスは起こさないはずです。
 装備部では全部ではないでしょうが、レポートを作成する際に外部のデータベースも、自前でつくったデータベースも使用しないで、そこいらの程度の悪い軍オタと同じように、文献も調べずにネットでタダの情報を拾ってきて書いたことになります。

 また軍事用語を「これは自衛隊用語ではない」という理由で「誤」にしていた箇所もありました。例えばFCSを「火器統制装置」と呼ぼうが、「火器管制装置」と呼ぼうがどちらでも構いません。
 これが防衛省内部のレポートならそれもありでしょうが、世間で流通している書籍です。余りにも思考が内向きです。まさに「自閉隊」です。
 それとも自衛隊では米軍の大佐も一佐と呼ぶんでしょうか。米海軍の駆逐艦を護衛艦と呼ぶんでしょうか。


  一介のフリーのジャーナリストの本と「陸軍参謀本部」の「スペシャリスト」が作成したレポートを比べれば、普通「権威ある」後者を信じるでしょう。

 で、ぼくは陸幕広報課を通して抗議をしました。そして全文を提示するように頼みました。確か対応したのは広報室の貴島康二2佐(当時)だったと記憶しています(貴島康二2佐も迷惑だったことでしょうに)。
 当初、広報室からは全文の提供が可能と説明を受けていました。ところが広報室にいってみると、提供できないといいます。そこで口頭で正誤表の項目を見直したところ、「誤」が三箇所に減っていました。ぼくのみることろ、その内二箇所は単に国交省との見解の相違のように思えました。

  このレポートは内部資料とのこですが、秘扱いではありませんでした。にもかかわらず提供が拒否され、あまつさえぼくの質問に対する回答は書面でと要求したにも関わらず、口頭でした。
 本来役所はこういう場合、書面で回答すべきなのですが、余程証拠を残したくなかったのでしょう。
 
 また、当然このレポートの作成者、その監督者の官姓名についても教えてくれませんでした。

 この件ではぼくは真摯に対応してもらえば、外部に公表するつもりはありませんでした。あまりに恥ずかしいですからさすがに黙っていようと思っていました。ところがあくまで隠そうとしたので、拙著にしてこの事実を公開しました。
 

 このような姑息な態度は危機管理上もっともやってはいけないことです。
 真面目な話、装備部長の管理能力の問題にも関わってきます。当時の装備部長はこの件を知っていたのでしょうか。知っていてこのような態度をとったとしたのであれば非常に残念です。


 今回の「取材拒否」の背景にはこの件があったのではないでしょうか。

 
 まさか、装備の開発や調査を同じレベルで行っているとは思いませんが。



 このような情報開示の状態の改善は役所にはあまり自浄が期待できません。
 ですから政治主導で行うべきです。


 民主党政権は防衛省記者クラブの改革も謳っておりましたがこれも頓挫し、ヤルヤル詐欺だといわれても仕方ない状態です。これが我が国の文民統制、情報開示レベルの現実です。
 



当面コメントはすべて承認制にします。 
 いくら注意しても、社会性を欠い独善的なコメントが無くならないためです。

 それほどご自身がたいそうな見識と情報をお持ちならば、自分のブログでもたちあげればいいと思うのですが、この手の人達はそれはしません。
 アマチュアでも優れた見識や分析を披露しているブログは多々あります。
 
 ところが、上記のような輩はそのような手間のかかる努力や、自らリスクを負って自説を世に問うことをせず、匿名に隠れて他人にブログに粘着し嫌がらせをすることで、矮小な自尊心と肥大した自己認知欲求を晴らしたいようです。

 ぼくはそのような輩にお付き合いする暇も、気持ちもありません。

 無論間違いの指摘、まともな質問などには今後とも真摯に答えていきたいと思っています。







 WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
有料ですが、一部は無料で閲覧できます。

火力戦闘車の開発は必要か(1)――重すぎる重量(2012/05/08)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012050700004.html
火力戦闘車の開発は必要か(2)――優先すべき島嶼防衛
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012050900013.html
火力戦闘車の開発は必要か(3)――費用対効果と優先順位
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012051500010.html
火力戦闘車の開発は必要か(最終回)――自衛隊の弱体化?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012051600007.html


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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
陸幕ってこんなに低レベルなんですね なんかがっかりしました
防衛省の構造改革が必要ですね
みのもん
2012/05/25 14:44

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