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zoom RSS 自衛官は国内戦闘で大怪我をしないらしい

<<   作成日時 : 2012/04/14 21:56   >>

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 平成24年度の防衛省予算では個人携行救急品の整備で、5.2万人分(7億円)が認められました。
 
 このような装備を調達されたことは一歩前進です。

 ですが、例によって問題があります。全般的に諸外国のものに比べると内容がプアです。
 
 しかも国内用と国外用(PKO用)があり、後者には止血剤などがはいっていますが、前者にはそのようなものが入っておらず、より貧弱な内容となっております。

 自衛隊は海外任務では大怪我をする可能性があるが、国内ではゲリラ・コマンドウ対処にしても島嶼防衛にしても、現場の隊員が止血剤を必要とするような大怪我はしない、そのように認識していることになります。

 率直に申し上げて平和ぼけです。

 これは自衛隊の衛生部隊が医師法など通常の法律に律されているからです。
 ですから、衛生兵にあたる、救護陸曹にしても医官の指示がなければ、注射や投薬もできません。手術なんてもってのほかです。
 これは「軍隊」としては異常です。

 実戦で自衛隊は米軍やNATO軍と同じような戦いをすれば、まともな治療を受けることが出来ないので、死亡率は何倍も高くなるでしょう。同様に切断しなくて済む手足を失う隊員の率も多くなるでしょう。数倍どころか一桁多くなる可能性もあるでしょう。

 「人命は地球より重い」とかつて我が国の宰相は仰いましたが、その中に自衛官は含まれていないようです。

 この現状を早急に改善する必要がありますが、自衛隊上層部に内局にもその意識は低いようです。
 どうせ、実戦なんか起こりっこない、そう思っているからでしょう。東日本大震災では山ほど教訓があったはずですが、「上手くいった」ことになっているので真剣に反省をしていません。

 このような実戦に向けて動く気がない組織的原因の一つは内局の衛生のエライ人達が厚労省から出向組で、彼らは「平時の医療」しか知らず、軍の医療に対する知識や認識が欠如しているからです。
 
 厚労省からの出向はそろそろやめる時期に来ているのではないでしょうか。
 
 結局一回戦争して、多大な犠牲者を出さないと目が覚めないのかもしれません。

 
 軍オタやら愛国者には当局の公式見解だけを信じ、自衛隊や防衛省は常に正しい、世界の先端を行っているというある種、信仰に近い認識をもっている方々が少なからずおられますが、このように真面目に実戦を想定していない組織が、まともな装備開発や調達を行えるでしょうか。
 戦車や戦闘機だけを揃えば、あるいは防衛予算さえ増やせば国防を全うできると思うのは、宗教の類です。

  少なくとも報道関係者や政治家は防衛省の「大本営」発表を疑ってみるだけの見識が必要です。

 本来ここで紹介したような情報は防衛省が公開してしかるべき情報です。防衛省の過剰な情報隠しが国防に関する議論のベースとなる知識の欠乏を招き、議論の低調化、神学論争化、を招いています。



 朝日新聞のWEBRONZA+
に以下の記事を寄稿しました。

防衛産業は情報公開を(上)――メディアも国民も無関心
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012032700008.html

防衛産業は情報公開を(中)―― 拡大する経営リスク
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012040300011.html

防衛産業は情報公開を(下)―― 非効率な装備調達
2012年04月10日
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012040900007.html?iref=webronza



自衛隊は3・11の「戦訓」を活かせるか(上)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012031000001.html

自衛隊は3・11の「戦訓」を活かせるか(下)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012031000002.html?iref=webronza



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コメント(19件)

内 容 ニックネーム/日時
これは救急救命士が医師の指示がなければ気道確保、薬剤投与ができないのと同じ問題です。
医師の権限を侵すことへの(日本医師会)の拒否反応が原因なのだから、根本的解決は国会で審議しないとどうにもならないでしょな
ねこ
2012/04/15 08:26
厚労省は平時の医療についても知識がないのでは? と思う節は多々あります。軍隊と同様に医療も平時には「有事」に備えてある程度の「ムダ」を作っておかないといざというときに対応できなくなります。急な病気の流行や災害の発生に備えて設備・人員・予算の余裕を作っておかないといけないわけです。しかし現実には平時の医療ですら対応が難しいほど状況は逼迫してきています。今回の災害でも救えたはずなのに亡くなられた人はおそらく多くいたのではないでしょうか。また、相変わらずのインフルエンザワクチンの不足だとかポリオ不活化ワクチンへの対応の遅れと薬害発生などを見ていてもそのあたり厚労省も真剣に反省しているようには思えません。そんな連中が防衛省に出向してきたらどうなるか…とどうしても考えてしまいます。
SNK22
2012/04/15 09:42
いい加減、ご自分への反対意見を〇〇原理主義・〇〇マンセー・〇〇信者という言葉で片付けるのは、やめたらいかがですか?
2chで清谷氏を批判するスレッドを見て来ましたが、国産マンセー・自衛隊(防衛省)マンセーの人などごくごく一部。大多数は『国産マンセーはよくないが、清谷の輸入マンセーだってよくない』という意見でした。アパッチに対する批判などでは清谷氏と同意見の人も多くいましたし、『清谷だから』と安直に批判しようとした人を他の人が諫める場面もありました。
私も自衛隊・防衛省の言うことが全て正しいなんて思ってませんが、逆に全て『大本営発表』の一言で片付けるのもどうかと思います。
ガメラ2
2012/04/15 13:06
キヨタニ様のご意見はもっともだと思いますが、そもそも「自衛官は国内戦闘で大怪我をしないらしい」と決めたのは歴代の政府ではないでしょうか。

とすれば、貧すべき対象は政党、政治家ということになると思います。

実際、今回、石垣島にPAC3が展開した際、警備の自衛官が小銃を持っていることに対して極左の沖縄マスゴミは批判的な記事を載せています。

こういったおかしな左巻連中の批判がのさばる中、自衛隊が単独で国内での戦闘を想定した政策を立案することは難しいと思うのですが。

実際問題、歴代の防衛大臣(防衛庁長官)で、国内有事の際の政策を提言した人物はいるのでしょうかね。
ブリンデン
2012/04/15 16:23
既得権益でしょう。裁判にしても本人、一等親の親族と弁護士しか関わる事ができないように弁護士法で定められているように。医師会も自分らの縄張りを荒らされたくないんでしょうな。
要は
2012/04/15 19:23
日本の組織は民間だろうが官公庁だろうが同じ傾向を持っている。
末端組織に行動上のしわ寄せが集中し、逆に中央部にはいつもお気楽ムードが蔓延する。w
中央からの指示は浮世離れとなり、末端からの連絡に対しての対策は現場の声は無視。達成率が悪く、うまくいってない部門の声も無視。従って問題の解決は無く、現場は消耗しつくして競輪などでいうスタミナが売り切れ落伍する。w

第二次大戦で東南アジアの日本軍がボロボロになったのも同じ事。現場にすべてを押し付ける傾向は今も同じ。

米式最新装備の蒋介石軍がビルマを目指して進撃を開始した時も、支那軍が装備の劣る日本軍の戦線をなかなか突破できなかったのは、日本軍に撤退の許可が出ず激しく消耗してもただただ陣地に居座り続けたからと言われている。

これらの傾向はいわゆる「民族の宿痾」のような気がします。
POPPO
2012/04/15 19:40
〉ガメラ2さん

正論だと思います。


〉撤退の許可が出ずただただ居座り続けたから

初耳ですな。
出典は?
通りすがり
2012/04/15 20:05
今回予算が付いたのは、震災のおかげでしょうね。
個人携行救急品があれば被災者をもっと救えたとか言って、財政当局を説得したのでしょう。
K
2012/04/15 20:24
>ガメラ2
2chネラーキモイな ニックネーム変えても清谷さんからは自演ばれる事を頭に入れとけよ
そもそも有名人のブログにわざわざアンチスレに何が書いてあったか報告するとか常識無いぞ
みのもん
2012/04/15 23:34
〉みのもんさん
私は自分が2ちゃんねらーでないことを証明できないので、そう言われるとどうしようもないです。単に『こう言ってる人もいた』と紹介しただけのつもりだったのですが……非常識でしたか、すみません。
恥ずかしながら私、ネット環境のない家で育ちまして、ケータイを手にしたのは、ケータイでネットに触れるようになったのも
ガメラ2
2012/04/16 00:36
↑のコメの後半は間違って投稿ボタン押しちゃって支離滅裂になっちゃってるので忘れてください。
ともかくネット社会に触れるようになったのは最近です
ガメラ2
2012/04/16 00:46
石破さんが長官の時代に有事法ができ、それで野戦病院が有事につかえるようになりました。
それまで装備はあっても、野戦病院はつかえませんでした。そんな状態でまともに実戦を考えて、備えていると信じるのは楽観論を通り越しています。

政治家にそのような意識を持った人間が極めて少ない、それは国民が無関心だからです。ですからぼくは嫌われることを承知で耳の痛いことを書いているわけです。

自衛隊最強、もし問題があるならば予算を増やさない財務省や政治が悪いのだというような主張は聞いていて楽しいでしょうが、現状を放置して予算だけ増やしても国防は全うできません。

ところが震災以降、自衛隊礼賛ばかりの報道が目につきます。それはそれで否定はしませんが、一方で深刻な問題点があった報道が殆どありません。ですからぼくはそこを執拗に報道しているわけです。

因みにぼくは2ちゃんやwikiを論拠に議論をするひとは基本的に相手にしません。人生の無駄です。

キヨタニ
2012/04/16 00:57
米軍の衛生兵ならどこまで治療できるの?
法的に
民間人
2012/04/16 05:18
出典などと大げさな。w

まぁ、古山高麗男氏の「断作戦」「龍陵会戦」「フーコン戦記」の三部作などを読めば分かるのでは。
POPPO
2012/04/16 10:01
訂正
古山高麗男氏→古山高麗雄氏

失礼しました。
POPPO
2012/04/16 10:03
単に『こういう意見もあった』という例の1つとして2ちゃんねるの意見を紹介しただけのつもりだったのですが、これも『2ちゃんやwikiを論拠に議論をする』に該当するんですか……。
別に他のコメントされている方々は自衛隊最強などとは遠まわしにも言ってないと思います。どうしてそう決めつけるんです?
ガメラ2
2012/04/16 20:01
そうだよねえ。〜最強論とか〜無謬論とか〜無用論とかぶつ連中や〇〇原理主義・〇〇マンセー・〇〇信者って2chの軍事板とかでは特に滅茶苦茶馬鹿にされてサンドバッグにされるのがオチだし。

2012/04/17 09:30
止血剤までセットにして、意味があるのに残念ですね。そーいえば、装輪戦車って平原がひろがる外国ならわかるけど
日本で横隊に展開できないので根本的におかしいですよね。ニーズは誰が出したんだろ。削るばかりの財務、会計は、どうせ、そこまで説明しなかったやつがわるいとかいうのでしょうが。
通りすがりです
2012/05/01 21:08
陸自の装輪装甲車は水陸両用機能がないですが、その理由を聞いてあっけにとられました。
実際に試験とか、まったくやっていない。

財務の方が余程幕よりもまともなことをいっていますよ。機動戦闘車にしてもUH-Xにしても酷いものです。
キヨタニ
2012/05/02 15:11

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