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zoom RSS 防衛費増額は全てを癒す魔法の杖か?

<<   作成日時 : 2012/03/07 23:58   >>

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 中国の軍事費増大がまたぞろ話題になっています。大石英司氏のブログでも以下のトピックが紹介されおりました。
http://eiji.txt-nifty.com/

※ 中国共産党の敵は国内に…国防上回る公安予算
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120305-OYT1T01084.htm?from=main3
*中国の国防費 日本も防衛予算の増強を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120306/plc12030603520004-n1.htm



 「日本だけが10年連続で防衛費を減少させているのは異様である。野田佳彦政権は中国に一層の透明性を求めるだけでなく、日米同盟の強化を進め、脅威の増大に自らの備えを急ぐべきだ」(上記産経の記事より)

 他国の何倍も高い兵器を調達し続けている「我が軍」も相当異常だとおもいますが、産経はそうは考えないんでしょうか。

 防衛予算を増やせば、すべてが解決するかのような幻想を振りまくのが、昨今の保守派の主流というのが泣けてきます。
 100円のカップラーメンに500円を払って平気な人たちのお小遣いを2倍にすれば100円のカップラーメンに1000円を払うようになるだけです。
 
 穴の開いたバケツでいくら水をくんでも無駄です。

 拙著「国防の死角」でも書きましたが、3・11後の災害派遣では、陸自の無線が足りず、通じず、混線しまくりという事実がありました。これが自然災害だからよかったようなものの、戦争だったら自衛隊はボロ負けでしょう。

 無線機も足りないのに、既存戦車の改良で済むのにわざわざ、大金かけて時代遅れの新型戦車を調達する人たちにいくらお金を渡しても無駄だと思います。

 無線が通じない理由のひとつは周波数帯にあるのですが、総務省に対して働きかけをしているようでもない。これなんぞ金がかかる話ではありせん。それはやらずに周波数帯の問題があから外国製品は導入できませんと。割高な国産無線機を導入したりしています。
 また某幕はあろうことか、サンプルとして預かった外国製無線機を国内メーカーに渡して、パクるためにバサさせてたりしてます。これなぞ一歩間違えれば犯罪行為なんですが。


 「我が軍」は新型戦車だけを揃えれば、無線も通じず、ISRアセットもなく、空自の航空支援期待できず(FACすら存在しない)、歩兵戦闘車も殆ど無く、装甲車の防御レベルはNATOのレベル1程度、戦車のロジは3重で、戦略備蓄の燃料もなくって戦争に勝てると思っているらしいです。

 これで戦争に勝てるんでしょうか。ぼくは非常に疑問だと思います。

 
 まさに以前からぼくが指摘してきたことが、今回の震災で露呈したのですが、市ヶ谷がそれを本気で教訓としてない。
 また産経新聞を始め、多くのメディアはこのような負の教訓を見ること無く、「兵隊さんは頑張りました!」的な美談ばかりを垂れ流すから国民が現実を知らずに、自衛隊バンザイ・モードになっています。

 ですが、このような「無敵皇軍」的な報道が、問題の解決を遅らせて、現場の隊員たちにムダな苦労を強いているわけですが、そのような認識がメディアにはありません。
 ですが、こういう記事ばかり書く方が、売れます。しかし、それでジャーナリズムを名乗るは如何なものでしょうか。

 島嶼防衛だって、以前から掛け声だけはあったわけですが、つい最近までまともに研究もされて来ませんでした。昨年の富士学校の発表会の島嶼防衛に関する研究発表も、防衛装備工業会が作ったレポートのカーボンコピーのような代物で、まともに島嶼防衛なんぞ研究すらしていない状態です。

 防衛省の公式見解を疑いもせずに垂れ流して、「無敵皇軍」を宣伝するのは、かつての観念左翼と大同小異であり、そろそろやめたほうが国益のためではないでしょうか。

 軍事費を増やせば勝てるなら、ソ連が冷戦でまけていませんって。

 歳出削減もろくにしないのに、増税を主張する財務省や野田政権と同じです。


 中国が軍事を増やしても別にあしたにでも日本征服を企むわけではないでしょう。ショッカーじゃないんだし。
 
 仮に企んでもそのような実力はありません。クズのような空母を何隻も建造してくれて、軍事をドブにすててくれるならばありがたいことではありませんか。また冒頭にあるように中国は膨大な公安予算をつきこんでいますし、人民解放軍だって外の敵だけではなく、国内の敵にも備えないといけません。
 人民解放軍の実力を冷静に見る必要があります。地上軍の多くは、治安用に各地に貼り付ける必要がありますし、瀋陽などの一部の部隊を除いて近代化は極めて限定的です。
 また、ロシアと同じく、国防がどこかで横流しされたり、着服されたりしていることもかなり多いようです。

 さらに言えば、中国の経済はかなり悪化してます。お得意様であるEUへの輸出は激減していますし、欧米の金融機関が中国から資金を引き上げていますから。政府が外貨準備を取り崩して、民間企業の貿易の決済にあてています。

 中国の軍拡を気にするんだったら、中国から大きく遅れをとっている無人機の導入にでも力をいれたらどうでしょうか。この10年ほど、自衛隊のUAV導入、開発は中国にすら大きく遅れをとっています。使いもしない10式なんぞを調達してる金があれば、UAVやUGVの拡充の方がよほど、重要だと思いますが、市ヶ谷の偉い人達はそうは考えてこなかったようです。ですから、3・11の災害派遣では自衛隊のUAVは全く飛ばず、UGVは影も形もありませんでした。

 そこで、ボーイングのスキャンイーグルや。iロボットのパッボットを慌てて補正予算で導入しました。ところがこれらは双日が代理店なんですが、主契約社はそれぞれ三菱重工と、日立です。このため、輸入コストは約1.2倍は高くなります。恐らくはライセンス化を考えているんでしょうが、調達数もわからないのにメーカーを主契約とする必要はなかったでしょうに。


 防衛費を増やすよりもインドのODAを増やす方がよほど効率がいいのではないでしょうか。インドのインフラ整備にODAを使えば我が国の産業界にも大きなメリットが生まれます。つまり、投資が回収できます。それで企業が儲かれれば、税収も増えます。

 防衛予算は単に予算を消費するだけで、経済的な波及効果はありません。防衛予算の大幅な増加は、ただでさえ厳しい財政状態を悪化させるだけです。
 それは長期的には我が国を弱体させることになります。

 インドへのODAを増やせば、インド政府は浮いた金を軍備拡張に回せます。
 それで中国と軍拡競争をやってくれれば万々歳です。またODAで整備された鉄道や道路、橋梁、港湾、空港を戦時に利用できます。ですから間接的にインドの軍事力の強化にもつながります。
 
 
 
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コメント(8件)

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一兆円ぐらいは武器輸出で稼がなければいけない。これを防衛費に上乗せすれば良い。
これが稼げないような技術では、防衛費は現状維持だね。
むむ〜
2012/03/08 06:00
あのさ、兵隊一人の年俸を考えたこと在る?
中国の10倍だよ。
物価が高いのと生活水準の違いだ。
当然、武器も10倍だろう。

家電も情報家電、半導体メモリー等安い海外品で賄って自国企業を潰している。その結果、大手企業も辛うじて生きている状況だ。

安い武器が欲しければ北朝鮮から輸入すればよい。
むむ〜
2012/03/08 06:06
アメリカ兵も、自費で高性能無線を買って使っているのが、大勢いるという。自衛隊だけの問題ではない。
それに、大型装備と違って、緊急調達で十分間に合うのではないか?
K
2012/03/08 06:09
直接調達を可能にするには、調達部門の人員を大幅に増やす必要がある。
民間商社より安く調達できるかは、微妙だろう。
K
2012/03/08 06:23
「新・世界の戦闘機・攻撃機カタログ」読みました。この分野も1冊できちんとまとまった本は現在は他にあまりないようですね。
ちょっと一般人向けとはいえないのとパソコン原稿のせいかまだ若干誤字がみられますが、ひたすら性能を追求するアメリカに対してヨーロッパ各国はいろいろな工夫をしていることがわかりますね。
この本を読んでいてちょっと思ったのですが、昨今のアメリカ以外からの兵器導入や10式戦車不要論に対して異常なほどヒステリックな意見が噴出するのは本音は自国の「軍隊」にカッコ悪い兵器を使わせるなという感情のせいではないでしょうか。戦車でも、90式戦車がいまいちカッコよくないから多少鋭角デザインでカッコよく見える10式戦車にしてくれといった感情が働いているのでは。ユーロファイターのデルタ翼も日本のマニアには違和感からくる拒絶感が先に立っているのではないでしょうか。ただ、そんなものは慣れの問題であって、F-4ファントムが登場当時いかにボロクソに言われていたかを思えば全く無意味だとは思うのですが。
昨今のいくら考えても意味のわからないあまりに感情的なアメリカ製兵器や国産ライセンス礼賛、導入だけあって運用・インフラ整備無視の状況と本当の「戦力」を全く考えようともしない態度の根底にはそうした感情があるのでは? と思ってしまいました。
SNK22
2012/03/08 08:02
筆者氏の主張にも一理あります。
陸自のヘリ調達の迷走や89式小銃のスローな配備、正面装備以外の装備品整備など、もう少し何とかなるだろうと思う節は多々あります。
ただ、我が国が装備の研究・調達に掛ける資金があまりに少ないのは事実ですから、2000〜3000億円程度の増額は不可欠にも思います。

10式戦車云々に関しては、これは陸自の正解でしょう。
陸自の戦車は他国の同等品と比べてさんざんボロクソ言われて(その半分位は根拠が誤っている批判のための批判でしたが)きたものの、世界トップクラスの性能品を自前調達可能になっているのは、海自の護衛艦とも併せて着実な開発努力のお陰ではないでしょうか?
空自のF-X騒動を見ていると、安易な海外頼りの落とし穴の深さが解ると思います。
もっぷ
2012/03/08 21:17
”防衛費増額は全てを癒す魔法の杖か?” 

バカ言っちゃいけません。数ある手段の内の一つにしか過ぎませんよ。

>SNK22氏
>昨今のアメリカ以外からの兵器導入や10式戦車不要論に対して異常なほどヒステリックな意見が噴出するのは本音は自国の「軍隊」にカッコ悪い兵器を使わせるなという感情のせいではないでしょうか。
>昨今のいくら考えても意味のわからないあまりに感情的なアメリカ製兵器や国産ライセンス礼賛

違うんじゃない? そんな手合いは2ちゃんの軍事板の片隅ぐらいにしか生息してないし、該当スレで持論を開陳しても滅茶苦茶バカにされてフルぼっこにされるか完全にスルーされるかのどっちかだし。
あー後週刊オブイェクトでもバカにされるか。昨今のいくら考えても意味のわからないあまりに感情的なアメリカ製兵器や国産ライセンス礼賛者とやらは当然バカにされてしかるべきだろうしw

後、タイフーンに関してはそもそもF−Xにおける位置付けがこんなもんでしたから。

F-15FX…現物が存在しない
F-15SE…やっぱり現物が存在しない
ラファール…毎度毎度の当て馬扱いに嫌気が差したので最初からダッソーのやる気がなかった
タイフーントラ3B…どうして現物が存在しないんだ? 日本からの採用を受けて初めてカエサルレーダー搭載機の開発に乗り出せるという泥縄ぶり
スパホ…大型化改修前提……つまり無い……現物がどこにも無いんだ……
F-35…初期作戦能力獲得への道程は高く険しい……

そりゃどうせ有料デバッガーをやらにゃならんのならタイフーンよりF−35という結論にもなりますって。
ちなみに自分はタイフーンのデザインは大いに気に入っているけどそれとこれとは別だよねという立場ですが。
さて、どうだろうね?
2012/03/09 00:41
軍事評論家とは思えない、お粗末な意見のオンパレードですね。
プロイセンの騎士
2012/03/19 15:10

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