清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 日本から逃げる「フランフラン」

<<   作成日時 : 2012/02/26 22:37   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 8

「フランフラン」のバルス、香港に本社移転
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E0E1E295878DE0E1E2E0E0E2E3E08698E2E2E2E2
 雑貨店「フランフラン」を運営するバルスは4月、香港に本社を移転する。中国本土を中心とする今後のアジア出店に備えるのが狙い。5年後に日本と海外の売上高を逆転させる計画で、“香港企業”としてグローバル展開を加速する。

「フランフラン」はオシャレな雑貨屋さんですが、今後こういう企業が増えるでしょう。米国の法人税引きさげをしますから、高いのは日本だけ。

 経営者からみれば現在の4割というのは如何にも高すぎます。特に中小企業には高すぎます。大企業だけはあれこれ控除があって実質的な税率は安い。銀行なんかあれだけ儲けて、殆ど法人税を払っていません。

 中小企業ほど税金が高い。だから中小企業はあれこれ頭を絞って保険に入ったり、いろいろの支出を経費で落とそうとします。

仮に法人税が2割になればそんな姑息なことをしなくて済むでしょう。2割は無理だとしても、3割に下がれば気持ちよく法人税を払いたくなる経営者は増えるのではないでしょうか。

 国はこれまでどうせ日本の企業は逃げないからと高を括っていんでしょうが、これからは大変でしょう。「フランフラン」のような事業形態は実は海外の方儲かる可能性が大です。

 法人税だけではなく、出店その他のコストがバカ高いからです。

 大手ショッピングモールではテナントは数年分の出店費をデポジットとして取られます。その間そのお金は使えません。しかも高い家賃を払っている上に売上からガバッと3割は取られます。ですから、テナントはそんなに儲からないし、従業員の給料も低いままです。
 で、利益をあげたら罰金のような率の法人税を召し上げられます。

 雑貨の多くは外国製です。中国、ベトナム、タイ、欧米などから輸入されますが、輸入にかかる手数料や倉庫料も諸外国よりバカ高い。しかも我が国はシンガポールや韓国とちがって港や空港、税関が週7日24時間あいているわけでもありません。非常に不便です。

 金曜日に便が到着した場合、通関が切れて荷物が届くのは早くて月曜日、通常火曜日か水曜日、5〜6日かかります。これはファッション関連産業では大きなネックです。どうせ公務員があまっているなら税関だけでも週七日開けるべきです。


 しかも国内マーケットでは若者は減っていきます。

 これらのことを考えれば、外国に出店した方が国内出店の数分の一のコストで、何倍、あるいは一桁違う資本回転が可能でしょう。誰が見ても外国出店が有利です。

 日本で一店出店するコストで、海外では5点も10店も出店でき、利幅も多く取れます。バカ高い保証金を払う必要もないので、その分実質的なキャッシュフローも増えし、勿論人件費も安い。
 誰が考えても海外進出の方が魅力的でしょう。


 ただ、日本というブランドは売りですから、開発拠点とある程度の店舗は日本の残す必要があります。ですから、日本の店は外国に対する広告宣伝費、つまりはコストという認識をされるでしょう。
 最低限の出店でいい。田舎の美容院のチェーンが原宿でヘアサロンを出すようなもんです。

 多分にユニクロあたりもこういう考えではないでしょうか。

 中進国でも中間層が増え、可処分所得も増えています。現在のところ、アジア近隣諸国や欧米への出店が多いでしょうが、今後中近東が大きなマーケットになるでしょう。

 その中でトルコはもっと注目されるでしょう。
 イスラム教徒が多いが世俗主義で、ショーケースにビキニの水着を飾っても問題ないし、EUと同じビジネス習慣です。アラブのような剣呑な商習慣の違いもない。
 それでいて28歳下の若年層は人口の半分、勤勉で新しもの好きな国民性で、サブプライムの打撃も少ない。アラブや北アフリカ進出への橋頭堡としても利用できます。
 実際進出している日本企業は増える傾向にあります。



 不思議なことに「経済の専門家」がこういう観点で産業空洞化を語ることは殆どありません。
 彼らは税率や産業政策、統計などマクロな紋切型の話を語るだけです。 

 統計や偉い欧米の学者先生の孫引きで、商売がうまく行けばぼくら商人は苦労しません。


WEBRONZA+に『防衛費における「初度費」はなぜ大切か(上)』
を寄稿しました。
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012021400007.html
同じく『防衛費における「初度費」はなぜ大切か(下)』
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012021700018.html
を寄稿しております。



【新刊のご案内】
拙著「防衛の死角」(PHP刊)が発売になりました配本が17日ですから、20日ぐらいから書店に並ぶと思います。因みに新宿の紀伊国屋書店では17日に店頭にならんでおりました。



国防の死角
PHP研究所
清谷 信一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 国防の死角 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル





【告知】
画像

林信吾と共著の仮想戦記「真・大東亜戦争」シリーズが電子版が販売中です。
現在第一巻のみ定価450円→0円  なんと完全無料です
http://itunes.apple.com/jp/app//id480083237?ls=1&mt=8





 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス
面白い
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷センセ、日本の税制では中小企業の法人税率は最大30%、規模が小さければさらに18%まで引き下げられます。つまり、中小企業に関してはこの記事で言うようなことはほぼ実現されています。また、経済産業省の調査によると、税制は海外移転の主な理由になっていません。
これらの点についてどのようにお考えでしょうか?
KEI
2012/02/26 23:42
「否かの美容院」は「田舎の美容院」の変換間違いですか。
ちと、気になったもので、、。
気を悪くされたら、お許しを、、。
通りすがり
2012/02/27 07:24
>「否かの美容院」
訂正しました。ご指摘ありがとうございます。
キヨタニ
2012/02/27 11:33
法人税は地方税併せて概ね40パーセントです。
>規模が小さければさらに18%
これは売上が800万円以下のみで、今年度末で終わります。

キヨタニ
2012/02/27 16:31
ああなるほど、実効税率のほうでしたか。補足ありがとうございます。
KEI
2012/02/29 00:31
追加すると、税金などが海外投資の主な理由になっていないという根拠はこちらになります。

経済産業省 海外事業活動基本調査
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result/result_40/pdf/h2c420mj.pdf

これを見る限り、海外展開を行う主な理由は常に現地にニーズがあることになっており、逆に安価な労働力などは理由としては減っていますね。
KEI
2012/02/29 01:11
遅くなりましたが、「国防の死角」やっと読み終えました。以前から清谷さんが繰り返し指摘されていたことが震災で悪い形で露呈していますね。そして「保守論壇の劣化」や「民主党・社民党化する自民党」は日々本当によく感じさせられています。結局、こういう人たちは今日のような立場に置かれる事態(ある意味での「有事」とも言える)を全く想像できていなかったんでしょうね。
ユーロファイターの不採用や10式戦車の導入も経緯を読んでいて本当に「残念」な感が強いです。結局、本当の意味での「有事」に対する想像力が働いていないということでしょうから。
最近も某サイトで10式戦車についての海外の反応という記事がありましたが、それに対して異常なほど多くのコメントが書き込まれていました。どうしてそこだけそうなるのか。そんなに批判すら許したくない人たちが多いのかと勘ぐらざるを得ない不自然さを感じました。
SNK22
2012/03/01 07:09
感想ありがとうございます。
戦車にしても戦闘機にしても、システムの一部として考えること無く、あたかもそれだけで国防が全うできるかのうな幻想が蔓延しているのは困ったものだと思うのですが、ネットだけならともかく論壇やら市ヶ谷、永田町などでも同様なのに危機感を感じています。
キヨタニ
2012/03/01 13:48

コメントする help

ニックネーム
本 文
日本から逃げる「フランフラン」 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる