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zoom RSS F-35とFX調達

<<   作成日時 : 2011/10/08 22:38   >>

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日本でエンジン組み立ても=F35、開発参加国以外で初−次期戦闘機選定で・ロ社
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011100700064
*F35の主要部、国内企業も参加…米社提案
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111007-OYT1T01372.htm



LM(ロッキード・マーチン)社は今になってFX商戦に本気になっているという感じを受けます。
 ボーイング社やBAEシステムズ社がかなり前からPR活動に力を入れてきたのとは好対照です。
 
 まるで夏休みの最後の日に休み中の宿題を全部終わらせようとしている子供のようです。

 そのせいか、随分と危ういセールストークが目立ちます。まず日本での生産ですが、LM社は国内で生産できますと主張しています。
 前にも書いたと思いますが、イタリアですら重要部分は米国人が駐在してイタリア人が除外して行われます。我が国がレベル2のパートナーであるイタリアよりも好条件で生産できる可能性はまず無いでしょう。そんなことをしたら、米国はパートナー各国から突き上げを喰らいます。
 たかだか40〜50機のセールスのために米国がそこまで譲歩する理由はあまりないでしょう。

 またLM社は日本向けの機体は約50億円で販売できると日本メディアの取材に答えていましたが、オーストラリアでも同様なことを言っています。
 ところがこれはエンジン抜きの価格らしい。アビオ抜き、という可能性すらあるでしょう。実際のところフライ・アウェイでこの値段で販売したら、もっと高い値段を提示されているパートナー諸国、また他の採用国から不満がでるのは火を見るより明らかです。

 一連のLM社の主張を見ていると同社の焦りが感じられます。
 
 かつてぼくはLM社のセールス担当者からF-22の保守コストは既存のレガシー機の十分の一です」と説明されたことがあります。そのときの他の説明に関しても強い不信感を持ちました。

 無論FX候補を提示している他の社も自社に有利なセールストークはしますが、LM社の主張は取材対象者だけではなく、日本人を小馬鹿にしているように思えます。

 しかも米国当局もその尻馬にのっているように思えます。とても同盟国に対する真摯な態度には見えません。
 
 まあ、空自はF-35が本命と見ているし、採用されてしまえば「勝てば官軍」というところでしょう。こういうメーカーを信用して付き合っていいものか、疑問を感じます。

 ある意味、このよう傍若無人が許されると思っているのは日本の官界、政界、メディアが日米同盟は大事だからとひたすら米国のご機嫌を取り結ぶこと、米国の主張を忖度するというならい癖がついてしまっているからではないでしょうか。
 
 実際にF-35を我が国で組み立てた場合、多くの米国人関係者の駐在などを含めて多額の費用がかかるでしょう。
その割りには実際に我が国の企業に落ちるお金はほとんど無い、にもかかわらず調達単価はかなりの金額になるでしょう。
 プライム企業は多少なりとも潤って空自も天下りが確保できるからハッピーでしょうが、末端の戦闘機生産に関わってきた中小企業は「形だけの国内生産」から得るところはほどんどないでしょう。
 しかも現在の戦闘機のキモであるレーダー、アビオ、システム統合などはブラックボックスです。我が国にの航空業界が得られる技術移転は殆ど期待できません。

 つまりF-35を国際生産するというのはもっとも愚かな選択です。


 同盟関係は男女関係みたいなもので、相手の理不尽な要求さえ飲んでいればいいというわけじゃないでしょう。たまには口げんかをしたり、してそれぞれの主張をする方がより互に理解し合える関係になれるものです。
演歌に出てくる女のような態度では外国に尊敬されません。

 まあその手の女は演歌の中でも幸せになれないようですが、マゾヒストでない限りそのような立場に自らの身を置きたいと思う人はいないでしょう。そのマゾヒストでいようというのが、いわゆる現実派を自称する「親米路線派」のメンタリティです。



WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。

中国の空母建造の野望を歓迎する(上)――巨額の予算と低い能力 – 2011/10/05
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011100400009.html
中国の空母建造の野望を歓迎する(中)――米空母とはオトナと子供 – 2011/10/06
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011100500017.html
中国の空母建造の野望を歓迎する(下)――人民解放軍の弱体化へ – 2011/10/07
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011100600003.html

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F35、日本向けは50億円?
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清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所...
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 以前石破氏はFXにおいてF-35を選んだのは宜しくなかった、政権に返り咲いたらあれはキャンセルする、と仰っておりました。さて、どうなることでしょう。 ...続きを見る
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コメント(24件)

内 容 ニックネーム/日時
F-35の対抗馬たるユーロファイターにしても異様にコストが安いです。やはり安いなら性能もまた相応でしょうか。それにしても欧州各国では経済危機が進行中という事もあり軍事予算を削減されてユーロファイターの生産数が減りコストが上がりそうですね。イギリスでさえ当面空母全廃、QE級もどうなるか不透明です。ユーロファイターの先行きはいかに?
清谷氏にお聞きしたいのですがA400M改造の進捗状況と単価値上げはどうなっているのでしょうか?暫く前は予定重量12t越えとの事ですが、最近は情報が少なく・・・。
名無し
2011/10/09 00:03
その通りだと思います。空自は先生がおっしゃるようにF-35を手に入れることが目的になってしまって、冷静さを欠いていると思えてなりません。彼らはカタログやアドバイザーの話だけで自分の車やマンションを試乗や下見をせずに買うのですかね?自分の金じゃないから出来るんですよね。
誰か止められる人はいないのかな…
それでもF-35になりそうですね。
BAEトステムズ
2011/10/09 11:42
ネット界隈でまことしやかに語られている「空自はF−1支援戦闘機のアドーアエンジンの時以来欧州製に不信感・拒否感がある(からユーロファイターはありえない)」と言うネタはどこまで本当なのでしょうか?
an
2011/10/09 17:23
>アドーアエンジン

そんなことをいったら米国製の装備も「問題装備」は多数ありますし、米国のFMS制度自体非常に評判が悪いんですけど。
だから国産にしろといういう過去声は大きかったですね。結果採算やコストを度外視して国内生産を正当化してきたわけです。小銃が他国の5倍とか8倍しても、国内のサポートを得られるからと容認してきたわけです。ですから国産品のコストが中々下がらなかったという側面もあるかと思います。
キヨタニ
2011/10/09 23:01
現在数社の新聞社から出ている記事どおり機体の最終組み立てや部品の一部国産化・エンジンの国産化は可能となっても日本の担当会社ではやるけれど日本人は除外してアメリカ人が作業するということなんでしょうか?
それではFRPに第二に最重要視されている日本企業でのライセンス生産可能というのに引っかかるのにLMと空自の幹部たちはF35を日本へ導入しようとしてるのでしょうか?
本当にアメリカという国はよく卑猥な手を使ってきますね。
名無し
2011/10/10 00:52
だからこそ余計にその話がでるとおかしいと思う訳です
an
2011/10/10 02:03
>F-22の保守コストは
昨今のステルス性を重視した機体は機体表面の維持・管理にかなりの手間と費用がかかるらしいですね。あくまで現行の機体は、ですが。
最近NHKでやっていた番組で日本の原発の原子炉は初期のものはアメリカ企業に完全にお任せで建設されていたそうですが、維持・管理には相当苦労をさせられてきたみたいですね。その番組でも原発推進派の財界人がメディア操作までして非常に強引に原発容認の流れを作っていく、しかし原発そのものについての研究はしない、させないという態度にはすごく疑問を感じます。この人たちは日本をどういう国にしたかったんだろう。核武装の布石にしたかったのかな?
自衛隊の装備調達にしてもバンバン導入はすすめる、しかしその中身についてくわしく知ろうとはしないという部分は非常に似ているような気がします。
SNK22
2011/10/10 06:04
まだ実戦配備もされていない戦闘機なんか選定したら、
リアル不毛地帯・・・ 壹岐 正ブチ切れですよ。
あああ
2011/10/10 11:54
>あああ
トランシェ3って、もう配備してるのですか?

今日の新聞に欧州大手銀行破綻とかありましたが各国の軍事予算削減は更に進行するでしょうね。戦闘機やらは真っ先に削減されるでしょう。

>清谷氏
89式小銃のコストですが
生産数も増え一括大量調達によりだいぶ安くなってきてるのではないですか?
そういえば5〜8倍と書かれてますが『どれ』と『どれ』をどのような条件で比較されたのでしょうか?国内調達単価と輸出単価は違いますし、時期によっても単価は代わります。まさかAK47と比較されてはいないと思いますが・・・。
名無し
2011/10/10 16:22
>名無し
>トランシェ3って、もう配備してるのですか?
してないけど? だから?
あああ
2011/10/10 17:37

89式が高くない、というならばご自分がまず
ソースをだしたら如何でしょうか?


>戦闘機やらは真っ先に削減されるでしょう。
はあ。願望ですか。金融危機ならアメリカも
同じでしょうや。

>名無し
2011/10/10 19:52
書き足りなかったですね。誤解を招く書き方であれば謝罪いたします。
>あああ
氏は実戦配備されていないF35がFXに有力である事に苛立ちを感じているように思ったのですが。でF35でないならばユーロファイターと思ったのですよ。でもFX候補のトランシェ3は未開発じゃなかったかなと思ったのですよ。でももしかしたら、あああ氏はF35がFXに相応しいと思っているのかも?又は大量配備・実戦投入されているホーネットが相応しいのか?よくわからないですね。
名無し
2011/10/10 19:59
連投失礼
> >名無し
私にソースを求めるのですか?であれば最初に高いという事を書かれた清谷氏が先にソースを示すべきです。示したら私もソースを出す事を善処しましょう。

私の質問には理由があり、以前、90式戦車が国際相場よりもバカ高いというデマがあったのです。90式は一両12億円でM1は2.5億円という事でバカ高いと。でも実際同世代で比較したらルクレール10億円、チャレンジャー2が11億円でした、これは輸出単価ではありません。M1やレオ2は確かに安いですがサウジが購入したM1は15億円、スウェーデンのレオ2は8億円でした。
名無し
2011/10/10 20:58
オブジェクションがあるならその根拠を示すべきでしょう。清谷氏は著作に書いていますよ。

自分が労を惜しんですべてタダで専門家に聞こう、という態度は普通社会人なら慎むべきでしょう。皆が皆、あなた同様に暇だとは限りませんよ。

>、90式戦車が国際相場よりもバカ高いというデマ

第3世代の戦車と3.5世代の戦車の値段を比べてデマだと決める付けとこの方がデマでは。

>名無し
2011/10/10 22:24
> >名無し
第3世代とそれを改造した第3.5世代の戦車の国内調達価格と第3.5世代か第4世代とも言われる10式戦車の初期生産価格を比べて10式は高いとか、イロイロ性能が落ちていると邪推する方もおりますが>名無し氏はこれもデマだと思われるのですね。

清谷氏が著作に?
全ての本を読んで買ってませんのでタイトルを教えてもらえないでしょうか?
名無し
2011/10/11 00:00
Unit cost US$6.21 million (M1A2 / FY99)
大量生産によるコストダウンが有るとはいえ、ロクに通じない通信機しか積んでいない90式とIT化されたM1A2を比べた場合、やはり90式は割高なのでは?
ベトロニクスは億単位のコストがかかると聞いています。
あとサウジのM1の価格はメンテナンス関係も含めてのはずです。90式は車両単体だったかと。
ノマメ
2011/10/11 03:09
M1A2って米軍のは全部M1A1からの改造じゃないですか?
改造費用が$6.21億ドルですよね?
ああああ
2011/10/11 17:53
私の勝手な推測でFX採用予想をさせて頂きます

第1位 F/A−18
第2位 F−35
第3位 ユーロファイター台風

皆様のご意見は如何に
たまたま
2011/10/12 20:24
FX採用 大どんでん返しがあるかも

http://paper-wasp.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/95-452b.html
たまたま
2011/10/12 21:04
機動性に長けたユーロファイターがいいと思うのだが。

F-35は開発の難航による重量増加、価格の高騰によって碌な戦闘機じゃないそうだが。

最近になってF-35が1機50億円で国内生産していいというのもあからさま過ぎる罠なので避けた方がいい。

ロッキード社は謀略に長けている事で知られているし。
銘無し
2011/10/12 23:34
>銘無し
FX候補のユーロファイターは実機が無いんだが・・・。
既に低率生産開始しているF35や大量生産されているホーネットを跳ね退けて存在しないユーロファイターを選ぶんですね。
銘柄無し
2011/10/13 02:30
> 銘柄無し 氏
> ユーロファイターは実機が無い
…ん? ああ、T3 の話ね。
でもそれを言ったらF35もLRIP始まってるとはいえまだ開発テスト中。個人的にはLRIPが見切り発車的に始まっている感じがするのだがね。
T2以前とはいえ、曲がりなりにも実戦配備されているユーロファイターとは単純比較はできないでしょ。

まぁ、どの機体を選ぶにしても帯に短したすきに長し、的なところがあるからここまで紛糾しているわけで…
どの機体を選んでもおそらく不満は出ると思うんだけど、あとは日本側にいかに有利な契約を結べるか、ってところじゃないかな?
LM社がリップサービスを始めたのも契約が安泰だとは思えなくなってきたからだろうし。
あるいみ「買い手市場」な訳だから、日本側当局には上手いこと有利な条件を引き出して欲しいところ。
Null_Devices
2011/10/28 10:25
ユーロファイターのトランシェ2はどうでもよろしい。FXに提案しているのはトランシェ3(以下T3)なのだから。でT3は現状、ペーパープランみたいな物。さらに言えば購入予定な欧州各国は急いで戦闘機を整える必要性が薄く、軍事費の削減が今回の金融危機で加速する可能性が高くなっておりユーロファイターなどの調達予算が成立しなければ当然、単価は急上昇します。今後に期待しましょう。ああ、A400Mは例外ですね、価格固定ですから、なのでエアバスの家計簿は火の車になる予定です。
なし
2011/10/28 22:54
EADSのユーロファイターのライセンス生産に関して「ブラックボックスフリー」な発言があるんですけど、その値段については何も言ってませんよね?
つまりは「全部公開してはやるが、それは金しだいですよ。」と言うことではないですか?
コチラとしは、国際共同開発することによって開発予算が抑えられるどころか、参加国のエゴのぶつかり合いによって、無駄に開発費が高騰した、今現在ではなんて事のない技術しか使われてない戦闘機の開発費の分担金なんてバカらしくて払いたくはないんですが。
ガンヘッド
2011/10/29 21:43

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