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zoom RSS 中国のステルス戦闘機 情報に振り回されるな

<<   作成日時 : 2011/01/10 12:40   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 107 / トラックバック 1 / コメント 16

 先頃、中国のステルス戦闘機の映像が公開されました。

 ぼくが関わっている「漢和情報センター」のピンコフ(平可夫)こと、アンドレイ・チャンが日本のTVで多数登場し、コメントしていたようです。
 
 まあ、このニュースを受けて国内、特に空自内のF-35推進派たちは、中国がすぐにでもステルス戦闘機を戦力化するから、ステルス機たるF-35を導入すべきだと主張するのでしょう。


 ですが、冷静にこのニュースをとらえるべきです。


 中国がこの戦闘機の存在を明らかにしたとことには政治的な理由があるはずです。それが何であるのか。恐らく米国に対する牽制でしょう。その他複数の理由が考えられます。

 中国がステルス戦闘機を装備し、どうにか運用できるまであと15年はかかるでしょう。しかもそれが米空軍のF-22並の能力を発揮できることはないでしょう。

 現実問題として中国のステルス機開発の技術レベルは大きく遅れています。外見的に似たようなものをつくればOKというものではありません。
 緻密な基礎研究の積み上げが必要で、それは中国が一番苦手とするところです。エンジンの開発にしても、ウクライナからの技術支援を受けてのSu-27用のエンジンのコピーすらまともに出来ていない状況です。
 ステルス機用のまともなエンジンが開発できるか疑問です。
 
 西側やロシアからの技術移転が限られている現在、中国が頼りにしているのはイスラエルとウクライナです。
 特にウクライナからは空母の技術はもとより、空母建造のための熟練工員まで派遣してももらっています。またSu-33の実機やその資料もウクライナから入手しています。
 ですが、親露派の現ウクライナ政権が誕生しており、今後同国からの技術導入が極めて難しくなることが予想されます。
 またイスラエルにしてもあまり高度な技術、特に米国オリジンの技術を渡そうとすれば米国からお叱りを受けます。ですから渡せる技術は限られてきます。

 独自開発の戦闘機J-10にしてもF-16のA/B型レベルです。中国の戦闘機開発力は徐々に向上していることは確かです。それは間違いない。
 ですが、だからといって実戦的なステルス機の開発が可能というレベルではありません。

 ボーイングの重役は技術の差は圧倒的だと言っています。特にソフトウェアの技術の差はかなり大きいはずです。外見はなんとか真似できても、ソフトの真似はそう簡単にはいきません。
 先にも述べましたが恐らく人民解放軍が実戦的なステルス機が導入できるのは早くても10年以上、多分15年以上は先のことでしょう。しかもそれがF-22と同レベルの性能を確保できる可能性は殆どないでしょう。

 またここでも何度も書いていますが、ステルス機はそれ単体ではあまり役に立ちません。ネットワークのインフラが整ってこそ、その真価が発揮できます。そして人民解放軍空軍のネットワーク能力は米軍はもとより、空自に遙かに及びません。

 どこぞの島国の空軍や政治家の一部にはステルス機ならば、それが対地攻撃機であっても無敵の制空性能を有することができるなどと夢想しています。F-35さえあれば中国空軍のステルス機に勝てると。

 それは新しい玩具を欲しがる小学生と同じレベルの発想です。

 またステルス戦闘機はステルス性能の獲得のためにトレードオフで既存機よりも不利な部分も持っています。ステルス機は青い鳥でもシルバー・ブレッドでもありません。
 新しい技術が常に正しい技術である、あるいは常に次世代のデファクトスタンダードになるというわけではありません。

 敢えていえば戦闘機はシステムの一部に過ぎないわけです。プラットホームとしての戦闘機だけを揃えて空戦が勝てるならば誰も苦労はしません。TVゲームと現実を混同してはいけません。

 空自が行うべきは最小の投資で制空性能に優れたFXの早期導入と航空産業基盤の強化、既存戦闘機の近代化です。そこで浮いた予算を人工衛星を含めたネットワーク化・情報化につぎ込むことです。空中給油機や基地の抗甚性の強化も必要です。これらには非常に多くの予算が必要です。

 これを怠ってステルス機を導入しても、電気の通っていないことろにPC持ち込ようなものです。それから香港や上海などに技術のわかる防衛駐在官をおくべきです。
 また防衛省は仮想敵の情報収集にあまりに不熱心です。情報もないことろで、内輪の事情で観念的につくりたいものを装備化して、まともな兵器ができるはずはありません。

 駐在防衛官をもっと活用すべきです。ですが外務省は軍事情報収集にカネを使いたがらないですから、防衛駐在官は防衛省の所管に移すべきです。

 例えば香港や上海での本邦在外公館の軍事情報収集努力は諸外国と比べて極めて低調です。

 レセプションでシャンペン飲んで歓談したり、現地に現金をばらまいて歓心を買うことが外交官の仕事ではないでしょうに。

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アスヨミ!ニュースダイジェスト
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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
ユーロファイターも駄目ですね。
名無し
2011/01/10 15:51
 Fー35は最近、英国が海兵隊タイプ
から正規空母タイプに乗り換えるそう
ですが、海兵隊タイプは米国と伊国と
スペインのみになってしまいました、
海兵隊タイプはコストが高いのでは?
もちろん、英国は仏国との空母共同
運用するために仏国のような正規空母
タイプの艦載機でまとめる必要性は、
理解しています。
名無しK
2011/01/10 23:13
中国が最近某所の公園にお台場ガンダム(現・静岡ガンダム)の偽物を作って、それが余りにそっくりだったため日本側の抗議によって取り壊されることになったニュースを思い出しました。
外観はそっくりでもよく見ると予算の都合か安っぽさが目立ち、昼のテレビ番組のテロップで「認めたくないものだな…安さ故の過ちというものを…」
と書かれていて爆笑しました。まあ、ガンダムほどではないにしても、中国の戦闘機の水準もこの程度だと今は認識しておいていいんでしょうねえ。
SNK22
2011/01/11 05:48
>SNK22
外観が似ていたらとりあえずステルス機になるのでは?中国の既存機よりは遥かにステルスっぽい。
SSS
2011/01/11 06:39
ボーイング747でも同じ事をしていましたね。
さすが「メンツ」を重んじる国、唯我独尊ぶりには頭が下がります。
戯れ言といえど、警戒しないわけには行かないですし。ウザイ奴らです。
クマのプータロー
2011/01/11 06:54
自衛隊の次期主力戦闘機はF35とFA18E.Fとユーロフアイタータイフーンの3機種に絞られたみたいですので、本命はF35でF35が時間的に無理場合はFA18EかFでしょう。防衛省は日米関係を重視するのでタイフーンはまずないでしょうね。スーパーホーネットの場合はF15SEのようなホーネットインターナショナルの改良提案もあるみたいですが。
みつたか
2011/01/11 12:49
朝日新聞の報道だと防衛省も新たに新戦闘機の選定を始めるようですね。しかも、候補は「6機種(><)」何時の間にやら候補が増えています。本気で新型機を買う気があるのか?と疑いたくなります。こんな有様ではいつになっても税金が無駄に使われるだけで終わりそうですね。こういう時は共産中国が羨ましく思えます。
カッコ
2011/01/11 13:46
えー!
中国という国家は軍隊などを含めて全て党の所有物なんですが・・・。国民の生命、財産も当然、党の物。
とーりすがり
2011/01/11 15:30
〉とおりすがり様へ。いやいや、あくまでも決定のプロセスが単純か否か、くらいの話であって、必ずしも共産中国が素晴らしい、と言っているわけではありません。誤解なさらないでくださいね。
カッコ
2011/01/11 15:42
ステルスを作ったところでこの時代、統合作戦能力がなければ宝の持ち腐れ。
中国はどれほど作戦能力が進んでいるのでしょうか?
だが一歩前進したことに変わりはないですな。
とめ吉
2011/01/11 16:42
やっぱりそうですよね。まだまだ兵器の質では、米国が圧倒的優位に立っていますよね。
長田ドーム
2011/01/11 21:20
見せるからには、一定の品質でしょうね。
中国の急激な発展の秘訣は、資本や技術を貪欲に輸入したればこそです。
外国に在るからには、買えば良いとでも思っているのではないでしょうか。

一方で、アフターサービスまで揃えて売りたい企業もあるでしょうし。
歩兵
2011/01/11 21:24
>敢えていえば戦闘機はシステムの一部に過ぎないわけです。プラットホームとしての戦闘機だけを揃えて空戦が勝てるならば誰も苦労はしません。

逆に言えばシステムの一部として調達の段階から日々の維持・整備までひっくるめて無理なく運用出来る事が大事という事で。

ま、普通に様子見ですかね。ブログ主が言うような本気で踊る人間もそれ程多くないだろうし。騒ぐ人間は多いのだろうけれど。
J20ねえ……
2011/01/12 11:43
アメリカは、清谷氏とは違って高評価してますが。これいかに?まあ脅威を煽って予算Get狙いなんだろうけど。
打達直人
2011/01/14 15:31
別に絶対にF-35にしろとは言わないけど今回のF-Xだって2、30年後にゃ既存機なんですぜ
安易に旧型やマイナー機を買って何十年か後に戦力として2級になるどころか保守整備すらままならないなんて目も当てられない
布団が冷たい
2011/01/17 02:15
可愛い国だ。
仮に欧米は対中禁輸解禁しても10機位かうわ。
数百億$単位で戦闘買うなんで馬鹿馬鹿し。こんなことやるのは三流国インドやイラク位しか考えられない。戦闘機はガソリンを食う以外なんも産まれない。
しかも10年20年後は高級なゴミに過ぎない。
なんで紙くずさえも大事にしてるクリンな日本はあんなものにハマっての?
アメリカは戦争の慣習犯だから次々新兵器を求める。
しかも数百機も買うアホな国あるこそアメリカの開発欲望をひきだした。
米国経済は既に戦争中毒になってしまった。
症状は:経済不振→戦争→軍需好調→経済回復→平和→軍需低迷→経済不振
悪循環は加速一方だ。
アメリカは悪軸の国を4か国挙げたがホンマは一つしかない。
ト国
2011/02/06 16:08

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