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zoom RSS 空自広報室が公表しないUH-Xの初度費に関する疑問 その2

<<   作成日時 : 2010/12/28 10:07   >>

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 さて、12月25日に空自の次期救難ヘリ、UH-Xの価格の初度費やLCC(ライフサイクルコスト)に関する疑問を書きました。

 で、その続報です。
 
 前回書いたように、概算要求ではUH-X、3機分として169億円が要求されいています。その他初度費として270億円が計上されていました。

 これが政府案ではUH-Xの調達予算は約123億円(概算要求より46億円減)、つまり一機約41億円、初度費は67億円(概算より何と、223億円減)だそうです。
 
 無論空自広報室が発表しないので独自調査です。

 三菱重工案だと初度費が少なく済んだということでしょう。ですが、他の候補もそんな高い初度費を提示していると聞いたことはありませけどね。何しろ既存機ですから。もっとも三菱案は試作機も存在しないペーパープランですけど。それで決定しちゃってよかったんでしょうか?

 空幕は何を根拠に概算要求の初度費を出したのでしょうか。で、初度費もLCCに含まれるとのことです。

 で、仮に調達単価を41億円とすると、40機で1640億円。これに初度費67億円を加えると1707億円となります。で、残りは139億円。
 
 その中からIRAN(航空機定期修理)機体及び、エンジン、機体のオーバーホール、燃料代、パーツ代など含めた予算がまかなえるんでしょうか。
 
 無論調達期間中に習熟曲線が上がるでしょう。ですから、機体の値段は若干は安くなるでしょう。ですが、工学の常識でいえば価格を半額にするのは極めて難しいはずです。
 
 因みに一般にヘリは固定翼機よりも整備も燃料費もかかります。通常LCCの半分ほどを整備・維持費にあてるそうです。  

 これが概算要求の数字だともっとトンデモになります。
 1機あたりの調達単価は56.3億円ですから40機で2252億円、これに初度費270億円を加えると2522億円となり、1900億円を軽く越えてしまいます。無論維持・整備費、燃料費なんか出ません。

 空自の書類によるとLCCを達成出来ない場合、次期救難ヘリ調達のコンペに参加できないとの罰則が課せられる(可能性が)あるそうです。まあ、20年後関係者は殆ど会社に残っていないでしょうけどね。

 ゲスの勘ぐりかも知れませんが、調達コストと初度費を高めに設定しておいて、「努力してここまで下げさせました」とかいって点数を稼ぐつもりだったのではないでしょうか。北沢大臣ならコロッと引っかかるでしょう。
 
 空幕広報室が初度費を公開してれば、少なくともUH-Xの調達に関してもっと前向きな議論がおこったと思います。必要な情報を納税者から隠すのが広報の仕事ではないと思います。

 空幕広報室にとっては納税者や国会で議論にならない方が宜しいのでしょうけども。
 それは組織の論理です。北沢大臣はこのような広報のありかたが文民統制の観点から正しいと思っているのでしょうか。


空自官製談合、外薗航空幕僚長辞任のは納税者を謀る猿芝居 http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_10.html
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_10.html
空自地方調達の問題点
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_11.html
空自が公表しないUH-Xの初度費に関する疑問
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_12.html
空自 本当はもっと高いF-15Jの近代化改修費用
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_13.html
次期輸送機C-Xと戦闘機用偵ポッドの二重基準
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_14.html


WEBEONZに以下の記事を寄稿しております。
条例改正案から小説・映画を対象外とする東京都知事の見識
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010121300036.html

武器禁輸緩和(4)「オフセット」をなぜ導入できないのか http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010122000005.html?iref=webronza

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
確かにゲスの勘ぐりです。なぜ北沢大臣を馬鹿にしているのでしょうか?そこに記事の本質が見えてきそうです。
キタカゼ
2010/12/28 10:37
関係者の方でしょうか。
初度費を公開しない理由、LCCにどのように予算が納まるのか野具体的に納得のいくご説明を開陳できればありがたく思います。
キヨタニ
2010/12/28 10:47
初度費への問題提議を問題にしていません、どうぞ存分にやってください。ただし次の一点のみ納得できません。「コロっと引っかかるでしょう」という記述です。そこに本来無くても良い大臣を馬鹿にする記述を加わる理由が私には分かりません。何か理由があって加えたのですか?北沢大臣のやられている事への不満などがあるにしても全く根拠なく憶測を書かれるのはどうでしょうか?
キタカゼ
2010/12/28 13:19
キヨタニ様
年末のお忙しい中の更新、有難うございます。瑣末な事ではありますが、文中139億円とされているところ、193億円ではないでしょうか。いずれにしろ、予定されている調達数40機で割ると約5億円、少ない印象を受けます。機体価格が30億円程度まで落ちれば良いのですが。初度費に関しては、お知らせ頂いた67億円とすると、陸や海のUH-60J系への改修・導入可能な部分も含まれている事を期待しつつ、妥当性はあるのでは、と愚考致しておりますが、いかがでしょうか?
また、私としましては、無理とは承知しつつも、各装備に関するLCCの報告を、調達決定の前に知りたいと思っております。防衛大臣をはじめ予算委の方々も同じように感じて頂けていると良いのですが。お忙しいので中々難しいですかね。
来年も元気に御活躍される事を祈念しております。
関心
2010/12/29 09:56
>193億円

ご指摘の通りです。訂正いたします。
ご指摘ありがとうございました。
キヨタニ
2010/12/29 10:10

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