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zoom RSS 空自の救難ヘリ調達はUH-60Jの改良型で事実上決定?

<<   作成日時 : 2010/08/16 00:26   >>

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 空自の救難ヘリ調達はUH-60Jの改良型で事実上決定、らしいです。

 今後海自の救難ヘリ部隊と空自の救難ヘリ部隊が統合され、現用のUH-60に代わる、新たなヘリが調達されます。

 外国メーカーを含めいくつかの候補が挙がっていますが、三菱重工が提案するUH-60Jの改良型が本命、というかあとは当て馬らしいです。

 当初UH-60Kベース機体という話もあったのですが、エンジンが既存の機体と異なり運用コストが高くなるということと、速度が遅いというところが問題になったようです。キャビンの広さではKの方がよかったのですが。

 つまり既存のUH-60Jのアセットをそのまま引き継げるので、運用コストがが安いとうのがJベースの機体のセールスポイントだそうです。

 ですから基本的には現用のUH-60Jに準じた仕様が要求されている模様です。ただ、かなり長い航続距離が要求されているようで、空中給油装置が装備されるようです。価格は35億円程度とかなり安くなると予想されます。

 ユーロコプターは値段が高いNH90ではなく、スーパーピューマを押しているようです。またアグスタ・ウエストランドはAW―101を押していますが、これまた輸入でも50億円を越える機体なので、勝負はUH-60Jで見えており、既に諦め模様になっています。ただ空自の要求が現状維持に近いこと、また今までの整備インフラを使えるので、運用コストでは60Jに軍配があがるようです。
 もっとも要求仕様は空自ではなく某メーカーが書いており、公正な競争ではないと主張する意見もあります。

 さて、問題は仕様が概ねいままで通りでいいのか、ということです。
 ブラックホークの欠点はキャビンが狭いことです。キャビンに燃料タンクを搭載すると救助できるのは2名程度にすぎません。充分なメディカル用の装備も搭載できません。
 
 空自側は戦闘機のパイロットを救助すればそれでいい、という意識が強いようです。

 海自の部隊も本来P-3Cの乗員の救助があるのですが、これには目をつぶってきました。一応P―3Cの救助の際には複数のUH-60Jを送り込むことなっているからです。ですが、実際問題としてそれは極めて難しいでしょう。クルーの生存性のためとXP-1のエンジンを4発にしたわりには随分と冷たいです。
 

 また問題は戦時平時に限らず、自衛隊の艦艇は勿論、民間の船舶が遭難した、あるいは大規模災害の際の救助にも空自の救難ヘリは投入されることです。
 これらのケースではブラックホークベースの機体のペイロード、キャビン容積では極めて不十分といわざるを得ません。

 近年、救難ヘリのミッション用装備は増加する傾向にあります。
 しかも電力を喰う搭載装備も増えています。新たなヘリは今後30年ぐらい使うことになるでしょうが、現状でも手狭なキャビンで対応できるでしょうか。
 エンジン出力も問題です。エンジンから電力を供給するとその分出力が喰われて飛行性能が低下します。

 Jの改良型は今が安ければいいという選択に思えなくもないのですが。
 結局将来的に不満が出て、途中で調達中止、別な機体にを購入することになるのではないでしょうか。
 となれば二系列の整備・訓練が必要となります。

 個人的にはNH90が宜しいかと思います。ブラックホークと同規模の機体なのですが、キャビンが圧倒的に広い(UH-60の7.50uに対して、NH90は15.20u)うえ、高さもあります。更に高いハイキャビンもあります。
 ですからより多くの人員を救助できるし、機内の作業も楽です。また後方にはランプドアがありますから、救難ボートをひき寄せて収容するなどの手段も取れます。ランプドアの存在は非常に大きいと思います。
 
 フライ・バイ・ワイヤーを採用しており、ホバリング時の機体の保持が極めて楽です。機体はほぼコンボジットなので塩害に強いし、自己診断システムも搭載しているので運用コストも安いなどのメリットがあります。

 AW-101は輸入ならば現在ならば一機50億円くらいにはなるでしょう。既に海自が掃海ヘリとして導入していますので、これらと合わせて40機ほどになれば運用コストはある程度さげられるでしょう。

 ですが、3発のエンジンだとそれでもかなり運用コストがかかります。
 また、戦闘救難用としては大きすぎる嫌いがあります。特殊部隊用ヘリとしては面白いと思うのですが。
 
 今後陸自のUH-60の更新なども含めて、陸海空のヘリの調達を俯瞰的にみて、どれとどれを統一するか、またライセンスで行くのか、輸入にするのかなどを勘案した上で個々のヘリの調達を行うべきだと思います。



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コメント(11件)

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田母神さんが空幕長の頃はAW101になるんじゃないかなんて話がありましたが、結局UH-60Jの改良型ですか・・・・・・・。

今回の次期救難ヘリって本命までの「繋ぎ」とかじゃないですよね?
松本信二
2010/08/16 07:13
また、自衛隊お約束の「はじめに○○ありき」ってやつですか?毎回それで失敗しているという意識がゼロだからフツーに出来る芸当なんでしょうけども、あまりに納税者とメーカーを嘗めきっているとしか。ま、陸海空自が何を導入しようとも国会議員は無関心。会計検査院も無関心。国民の多くも(私らみたいな軍ヲタを除けば)無関心。そんな事で何十年もきたわけでありますから、自衛隊も後先考えずに好き勝手しますよね。だけどユーロコプターがスーパーピューマ(「EC725」でしょうか?)を押すとは考えもしませんでした。やはり、NH90だとアグスタ・ウエストランドと被るからでしょうか?
かつかつ
2010/08/16 11:39
もしNH90をライセンス生産するならば、かなりの先進的な技術を学べるかと思います。ですが、調達単価はかなり高くなるでしょう。その高価な「授業料」を払って、例えば民間市場で売れるヘリを開発するなど構想があればいいのですが、そのような構想も意欲もないわけです。
ならばUH−60J改良型は「現実的」ともいえます。
自衛隊はライセンス生産にこだわりますが、それは安定したサポートが受けられないというを理由としています。ですがユーロコプターは日本に整備工場もありますから、そのいいわけが通らない。いつまでもコスト削減の努力をしないでバカ高いライセンス生産を続けていれば日本のヘリメーカーは自滅すると思うのですが、あまりそのような危機意識は民にも官の側にもないようです。
キヨタニ
2010/08/16 13:20
追伸。そういえば、海自の掃海/輸送ヘリの座をAW101と争ったS-92は考慮外なのでしょうか?あれは確か、我が○菱重工や中国のメーカーも生産に加わっているのでしたっけ。中国メーカーが加わっているという時点で安全保障上、問題アリ、とされたのでしょうか?それとも単に、「シコルスキーだから」という理由で外されたのでしょうか。
かつかつ
2010/08/16 19:02
救難ヘリはデカいとダウンウォッシュがキツくてピックアップが難しくなるそうです。米空軍はいったんチヌークを選定しましたが、とてもじゃないけどホイストできないとか。
santa
2010/08/16 19:39
>S-92
情報があまり聞こえてこないのでなんとも。
ただ、米国勢は最近元気がないですね。

先日仏軍のCSARのパイロットに聞いた話では、CSARに関しては、あまり大型の機体だと、的になるというのもあまり歓迎されない理由です。単なるレスキューとは運用条件が異なるわけです。
カラカルのようにCSARの機体は特殊作戦にも適していますから、はじめから統合して調達すれば調達及び運用コストが随分下がると思います。


キヨタニ
2010/08/16 19:51
キヨタニ先生は米軍の次期救難ヘリはどの機体になると思いますか?
松本信二
2010/08/16 20:05
>>清谷様

少し話題とそれてしまう上に細かい話ですが,発言させていただきます.
P-3Cの救難用のツールはUS-1及びUS-2の救難飛行艇を用いる事になっています.理由は下記の通り
1.ご指摘のようにUH系列の救難ヘリでは乗員に限度がある事.
UH-60Jの救難ヘリが何故2名程度なのかはP-3Cの乗員を救助する想定がそもそも無いからです.仮に3機あったとしても11名を救助すると最低2往復必要になるのですが,その状況は救助活動としては異常です.
2.P-3Cの航続距離に匹敵するヘリは存在しない事.
近海なら複数ヘリによる救出活動を実施するかもしれませんが,P-3Cが遠隔海域で遭難した場合(領海から500海里以上の海域を想定),対応可能な機体はやはり存在しません.当該海域にたどり着く事は可能かもしれませんが十分な救助活動ができるかどうかの保証はありません.
3.遠距離での遭難者を"速やかに"救助するために必要な巡航速度を出せる機体が他に存在しない事.
救難は時間との勝負になります.巡航速度が2倍近く異なりますのでどちらが有効であるかは容易に理解できると思います.

これら条件をクリアできる可能性のある機体はV-22だけですが,この機体が救難用に使用可能かどうかは存じません.U.S.Navyが救難用として採用を検討している模様ですが,現時点で自衛隊には一機も同様の機種を保有していないため,救難飛行艇以外ツールが存在しない事実には変わりありません.

以上,長文失礼致しました.
気まぐれ定期読者
2010/08/17 00:49
>キャビンが圧倒的に広い(SH-60の7.50uに対して、NH90は15.20u)。高さもあります。

対潜用のSH-60のキャビンと比較する理由がよくわからないのですが? 高さに関しては同感ですけど。

スイフト
2010/08/17 08:59
>SH−60 

UH−60の誤りでした。
キヨタニ
2010/08/17 09:29
欧州機は現場でも評判悪いよ
最近のEH-101でも散々だし
にゃんた
2010/08/17 19:23

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