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zoom RSS 映画、ザ・ロードとザ・ウォーカーの宗教観

<<   作成日時 : 2010/07/05 17:36   >>

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 先日ヨルダンへの機内で映画ザ・ウォーカーを見、昨日ザ・ロードを見てきました。

 両作品とも人類文明崩壊後のすさんだ世界が舞台となっています。しかも両方の映画に人食が出てきます。

 ザ・ウォーカー
 http://movie.walkerplus.com/mv45988/
 ザ・ロード
 http://movie.walkerplus.com/mv46404/

 ここから先は若干のネタバレを覚悟で読んでください。







 さてネタバレOKの方はひき続いて如何に進んでください。











 ザ・ウォーカーはある男がとある「本」を持って、ひたすら海を目指して目的地に届けるお話です。その「本」は映画を見る前から想像はついていましたが、その通りでした。
 聖書です。

 ラストは文明の崩壊後に聖書が印刷され、世界が文明化される。

 非常にキリスト教の都合のいい内容でした。

  この映画の件の本が「コーラン」ならば全米で大問題になってでしょうに。

 ハッキリ言って我々のような多神教、他宗教を容認する人間とっては考え方によっては極めて不愉快な内容です。もっとも多くの日本人はそこまで考えないのでしょうが。

 まあ、考え方はオウム真理教とさほど差がない、ぼくはそう思いました。
 未だに、多くの欧米人がこのような思考回路、あるいはこのような結末を是とするメンタリティを持っていることを我々日本人は知っておく必要があります。彼らは我々ほど宗教という重力から自由な存在ではありません。

 世界は意識するしないに拘わらず、キリスト教的価値観こそが人類普遍の価値観という考え方です。

 
 さて、一方ザ・ロードです。こちらの主人公親子も海を目指します。が、宗教的な考え方は対照的と言えます。

 夫婦で親子心中するしないで葛藤があります。
 奥さん(子供の母親)は世をはかなんで失踪恐らくは自ら命を絶ったのでしょう。父親も、息子にもしものことがあれば、酷い目に遭う前に拳銃で自決しろと教え込みます。

 この映画では、心中や自殺、子殺しを辞さない主人公が描かれています。
 キリスト教文化圏では自殺や心中がタブーとされています。子殺し、親殺しは如何なる理由があろうとも、反宗教的な大罪という認識があります。

 我が国では自分が死ぬときに子供を残すのは不憫だと心中するケースは多いのですが、彼らには理解できない。
 
 以前米国で日本人の母親が心中をはかったものの、子供は死に自分は助かってしまうと事件が起こりました。裁判では母親を殺人で厳しき罰せよとの主張がありました。ところが現地の日本人や領事館が減刑を働きかけました。日本人は子供のことを考えるから心中をするのだ、文化が違うのだと。

 つまり米国などでは裁判といえども宗教的な規範にとらわれています。近代の法の精神からみると如何なものかと思います。司法は宗教から中立であるべきです。

 ところが彼らはイスラム教国がイスラムの規範で裁くことは「野蛮」、非人道的といって誹ります。これは二重基準です。


 ザ・ウォーカーはキリスト教原理主義的、ザ・ロードはキリスト教から距離を置いているといえるでしょう。ぼくはザ・ロードの方をご覧になることをお勧めします。

 
 捕鯨などでもそうですが欧米人達は自分たちの偏狭な宗教観に根ざした、偏狭なローカルルールが世界の標準の「コモンセンス」だと勘違いしています。

 昔英国人とコモンセンスについて議論したことがあるのですが、彼にはいくら君たちのいう「常識」とは所詮欧米人ローカルるな「常識」であって、世界古今東西に普遍的に通じる「コモンセンス」ではないと説明しても理解出来ませんでした。

 我々日本人は彼らの勘違いと常に直面し、戦わなくてはいけない場合が多いのですが、外交官や政治家にはそのような認識が欠けている人がおおように思えます。

 この件に関しては中国や、インド、イスラム教圏などと共闘べきところもあるのではないでしょうか。
 




 日下公人氏の新刊でも上の米国での一家心中の話が紹介されています。


デフレ不況の正体
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日下 公人

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
18禁のワクワクドキドキして以来、長いこと映画館なんぞ行ってませんな。テープを卒業してからは、ほとんど100円のレンタルDVDです。勇猛な盗撮イルカ漁も100円ならぜひ見たいです。お返しにベジタリアンの屠場のシーンを見せてやりたいと思っています。
中国は嫌いですが4千年の歴史があります。かたやアメリカはたかだか200年の新参者。「聖書がナンボのもんじゃい」と楯突く気持ちがわかるようになった今日この頃です。
だって聖書が正義だもんね
2010/07/05 20:49
その国の歴史の長さというのは、同一民族が築き上げた長さなのでしょうか? たまたまその国に住んでいる異民族ゴチャ混ぜ時々支配交代でも良いのでしょうか?後者なら中国は50を超える異民族たちが4千年の歴史を作ってきてまとまってないことになる。
元友店長
2010/07/06 00:11
かつて毛沢東は「宗教はアヘンである」といってダライ・ラマを不安に陥れたことがあったが、麻薬も宗教も多くの人々を従わせるにはもってこいの方法という点では同じなのかもしれない。
元友店長
2010/07/06 00:21
宗教は内なる規範であるべきで、他人に強要すべきものではない、とぼくは思うのですが。
キヨタニ
2010/07/06 10:04
現在の中国って、今年で建国61年じゃなかったっけ?
間違っていたら御免なさい。
おはぎ
2010/07/06 11:06
「おはぎ」さん指摘の通り、漁夫の利を得た毛沢東の中国は60年ぐらいですね。でも私の頭の中はエジプト6千年。中国4千年と刷り込まれていますのでどうしようもないです。
たぶん今の日本人は当時の大陸の争いごとから逃れてきた「戦争難民」だったんでしょうな。
70年代、仕事で(船員)で中国など行ってきました。当時は身なり等でかなり見下していましたが上海などは昔の面影などありません。
ほんで最近は向こうの方が先輩だということを認識しています。でも一党独裁で13倍の人口なので怖いですね。

話は変わってキヨタニさんが「宗教は内なる規範であるべきで、他人に強要すべきものではない」と言ってもキリスト系でもセールスは凄いでですよ。逆に「金は貰っているの」だとか質問しています。挙句の果ては「心の弱いものが宗教にすがる」ものだと説教しています。
だって聖書が正義だもんね
2010/07/06 21:32
>「宗教は内なる規範であるべきで、他人に強要すべきものではない」

それが出来ないのが一神教とか、新興宗教。
小さな親切、大きなお世話なんですがね。

自分が唯一正しく、反するものは徹底的に攻撃するというのはネット社会でもよく見る光景です。原理主義者に何いっても無駄。
織田信長は偉かった。
キヨタニ
2010/07/06 22:44
映画の中の文明の崩壊というのはどの程度人の心を破壊しているのか、それが問題だと思います。もちろん、映画ですからある意味都合良く作ってはあるでしょうが。宗教は最初多神教の自然崇拝・原始宗教から始まってゾロアスター教では善悪二元論が登場し、ユダヤ教のような一神教になり、そしてキリスト教のような世界宗教が登場するわけです。
キリスト教も聖書もその人達がある程度宗教・倫理・道徳を理解していて、それらより優れた「次世代の」商品だったからこそ「外資系多国籍企業」のメジャー商品が受け入れられたのだと思います。本当に人の心が崩壊していたら、「汝隣人を愛しなさい」「何言ってんだゴラァ」「右の頬を打たれたら左の頬も差し出してあげなさい」「ふざけたことぬかしてんじゃねえぞテメェ」
といった状態になってキリスト教なんぞの入る余地はないと思います。日本人なら「北斗の拳」の世界を想像する人も多いでしょう。
SNK22
2010/07/08 06:24
聖書の中で旧約聖書は、基礎となる部分ですが、
その舞台は、エジプトを含む中東であり、
欧米というよりはアジアです。
旧約聖書の背景は、アジアのセンスがあるので、
馴染みやすく、分かりやすいです。
旧約には いろいろな宗教が出てきますが、
人が作った神では ダメだったねという
回想的な歴史書でもあります。
共通点から話してみては。
2010/07/08 09:36
旧約聖書を読むと凄いですね。
他の民族は皆殺しか奴隷、それが正当化されている。
キヨタニ
2010/07/08 10:24
>旧約聖書

 クリスチャンとかユダヤ教徒といえば、性の問題には厳格、ポルノとかメディアの性表現や残虐描写にうるさい人々の代表、的なイメージがありますが、そんな彼らが聖典とする、旧約聖書は過激な性描写(ノゾキ、レイプ、不倫、近親相姦・・・etc)、残虐描写のオンパレードであるわけで。それこそ18禁にした方がよさそうな・・。

 彼らはこの聖書の旧約部分をどう考えているのか?非常に興味深いところですね。
レッド・バロン
2010/07/08 19:11
ザ・ウォーカーは母が観て、中盤まではありがちなアクションで、後半は清谷氏のコメントの様なキリスト教万歳な展開で呆れてました。

自分が興味深かったのは、母がアメリカ在住のクリスチャンであることです。
クリスチャンでもこの映画に批判的なのは、福音派ではなく、ルーテル派だからなのか?それとも、50年近く日本で暮らしたからなのか?
30親父
2010/07/09 09:13
キリスト教といっても色々ありますね。
クェーカー教徒やアーミッシュなど、君ら本当にキリスト教徒か?(笑)というほど平和的ですね。
米国のメガチャーチにいったり、テレビ伝導牧師の演説とか聞いている人たちにはザ・ウォーカーって受けるんでしょうね。
キヨタニ
2010/07/09 22:07

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