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zoom RSS 【映画】「第9地区」のリアリティ

<<   作成日時 : 2010/04/15 22:33   >>

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先日映画、「第9地区」を見てきました。

 ヨハネスブルグ上空に巨大な宇宙船が現れ、それが遭難船で、中にはエライ数の宇宙人いたわけです。で、彼らがヨハネスブルグ郊外で「難民」として難民キャンプで生活し、地元民と軋轢が生まれて…・なんて話です。

 この宇宙人達はその外見から「エビ」と呼ばれているんですが、これが他のアフリカから来た他部族でもまったく違和感がないシュチュエーションなわけです。実に生々しい。
実際、サブサハラの経済大国、南アにはジンバブエを始め、周辺諸国から多くの人間が流れ込んで、スラムで生活しています。
 
 ヨハネスブルグにしろケープタウンにしろ、郊外にはスラムが延々と続いています。 ぼくは概ね二年度に一度のペースで、南アに行っていますが、現地をよく知っているだけに、この映画を見て既視感を覚えました。

 アパルトヘイトを克服した南アで「エビ」に対する差別が起こる、それが何とも人間の人間たるところかな、という諦観を覚えたりもします。これが東京とかワシントンDCではこの映画の雰囲気はでなかったでしょう。


 また、ドキュメンタリー風の作りなので、妙にリアルです。このスタイルのせいがそれほどB級臭がしません。

 あまりあらすじを書くとなんですから、登場する武器に関して書きます。

 あまり他の映画で登場しない武器類が登場します。
 南ア国防軍で採用されたアサルトライフルが、CR21が白く塗られて傭兵らの主力装備として登場します。これはイスラエルのガリルをライセンス生産したR4ライフルをブルパップの最中に組み込んだものです。R4は結構バレルが重く、ぼくのような軟弱者」ものには辛いのですが、CR21はブルパック化されたためにバランスがよく、撃ちやすくなっていました。フラッシュハイダーのできが良く、暗いところでもフラッシュが目立ちません。

 それから対物ライフルNTW20も登場し、傭兵の狙撃手が使用していました。これは20ミリ、14.5ミリロシアン弾、12.7ミリ弾が使用できますが、最近のモデルは20ミリ、14.5ミリ・ロシアン弾に特化しています。映画ではどの口径のバレルかまではわかりませんでした。

 白く塗られた4×4耐地雷装甲車、キャスパーも多数出てきますが、後部にフラットベッドをもったタイプは地雷処理のメカム社が保有している車輛だと思います。
 それと、ラーテルも登場していましたが、これは6×6ではなく、8×8でした。これは見たことがない車輛です。恐らくは実証車輛ではないかと思います。予告編にも登場しています。以前メカム社ではラーテルをベースにした歩兵戦闘車、クロコダイルを開発していましたが、これとも異なり、車体前部に車輪を増設しています。砲塔もオリジナルとは異なるものを搭載しています。

 拳銃ではベレッタのコピーのZ−88などが登場していました。これは削りだしでつくられており、床井雅美氏によるとオリジナルのベレッタよりも品質が良いとのことです。
 
 因みにこれをつくっている工作機械は日本製が多く、アパルトヘイト時代に輸入されたものです。恐らくは台湾当たりを経由して入手したものでしょう。当時は南ア、イスラエル、台湾は同盟というか互助会的な関係にありました。
ぼくはこれをベースに開発されたSP−1が好きです。直線的なスライドで、ベレッタのようにバレルの背中が露出していません。グリップが細いので、ぼくのような手の小さな人間にも扱いやすい。過去撃った拳銃では一番相性がよく、高い命中を得られました。こちらは映画には出ていませんでした。

 ヘリはユーロコプター系のヘリが多数でてきます。中型のヘリはスーパーピューマではなく、南アのデネル・エビエーション(旧アトラス)がピューマを元に開発したオリックスだと思います。

 後半では結構アクションの見せ場もあったりします。

 と、まあ他の人があまり紹介しない観点から「第9地区」を紹介してみました。
 別に南アの兵器マニアという奇特な人だけではなく、広くお勧めできる映画です。人間性や異分化とのつきあい方など、深く考えるところもあるし、娯楽映画としての出来もいいです。

 人間で描くと生々しくなるところをSFとして「エビ」で描いているので成立しているような所もあります。かといって説教臭いところもありません。アイディアの勝利でしょう。いかにも小市民、小役人タイプの主人公、ヴィクスもいい味を出しています。

 アプローチは違いますが、ある意味「猿の惑星」と同じカテゴリーの映画と言えるかもしれません。
 
 是非ご覧になることをお勧めします。


オフィシャサイト
http://d-9.gaga.ne.jp/#/TrailerScene

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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
この映画を見て概視感を覚えました。

初めまして。ここの”概視感”は”既視感”のタイポではあるまいかと思います。
トラ
2010/04/16 08:21
あほ
キヨタニ
2010/04/16 09:10
無情
キヨタニ
2010/04/16 09:10
映画「ハートロッカー」にも砲塔を交換したラーテルが登場していました。映画の出来は・・・良かったです。
おはぎ
2010/04/16 10:09
IPアドレス
124.146.175.144の方、人の名前を騙るのはやめてください。

>”概視感”は”既視感”のタイポ
ご指摘のとおりです。訂正します。

>ハートロッカー
業者が買い取ってPMCなどに売ったりしたものではないかと思います。
この映画はまだ見ていないのでこれから言ってみようと思います。
キヨタニ
2010/04/16 11:19
登場人物中一番の常識人が人間ではなく子持ちエイリアンのクリスだった事がリアルでした。
子を持つとリスクを避けようとする大人らしさが養われるという物語なのです(たぶん違う)
昨日観てきました
2010/04/16 11:44
映画評論家の町山智浩さんが「第9地区」に関して2009年9月10日のブログでとりあげています。
NTW20ライフルの動画も貼ってあるので、もしよろしければどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/?of=147
矢野
2010/04/16 22:17
>NTW20ライフルの動画
情報提供ありがとうございます。
動画に出ていたオッサンはよく知っている人物です。日本に売れないかなあ、と言っております。
キヨタニ
2010/04/17 11:18
思うのですよね。アパルトヘイトって、実施方法が間違っていたので、実は正しかったのではないか?と。
デクラークは、「国内に民族国家をいくつも作り、小さな欧州にするのがアパルトヘイトの概念だった」と語っていますが、各民族を地域ごとに住み分けさせること自体は、間違っていなかったと思いますね。
どだい思考回路の異なる民族を一箇所に混住させるなど無理があったのですよ。
世界中の民族紛争を見るにつけ、なぜ人類は国境線引き、国という枠組みを作ったのか?という根源的な問いに行き着くわけです。
「良き垣根が、良き隣人を作る」「垣根が友情を長持ちさせる」。古い格言です。
シロ
2010/04/17 13:31
ぼくはアパルトヘイトの最後の頃は経験していたのですが、社会の秩序はあのころがありました。
平等な社会は無論あるべき姿ですが、急ぎすぎると60年代のブラックアフリカ諸国のようになります。
人間も動物ですから、自分たちと違うものを嫌う、あるいは恐れる性質があるわけです。それを理性でコントロールしなければいけないのですが、それがどこまで出来るかが問題です。

キヨタニ
2010/04/17 16:47
私は武器やヘリにまではさほど興味はありませんでしたがそのへんの詳しいことまで読ませていただきながらもう一度 第9地区 を観てみたくなりました。私なりのこの映画の見所というかキーワードは宇宙人が難民として人間と共存するという展開とやはり人間と宇宙人、家族、仲間、そんな愛が感じられる映画でした。見る人によっては駄作と思う人もいるかもしれませんが、きちんと見ればリアリティが感じられ、色々と考えさせられる映画だったと思います。なんとなくでも見始めたら、冒頭から・・え?何?何かあったの?ってな具合でうまく引き寄せられる感じで私からも皆さんにオススメです。それと同時期に見たハーフバンパイアの物語 ダレン・シャンも オススメしときます!
第34地区♀
2010/04/27 14:02

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