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zoom RSS 造船業の生き残りと経済メディアのあり方

<<   作成日時 : 2010/02/14 23:36   >>

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 本日のサンデー・プロジェクトは常石造船を取り上げていました。
多くの日本人は知らない名前ですが、竣工量は国内2位の造船会社です。一位もこれまた「無名」な今治造船です。
 同社は以前このブログでも紹介しました。

非上場企業を軽視するメディアの産業情報は当てになるか?
http://kiyotani.at.webry.info/200806/article_4.html



 番組では常石造船のフィリピンや中国に進出するも、日本の本社の雇用を守る生き残り戦略を紹介していました。
ちょっと前ならばこういう愚直な経営は評価されなかったわけです。

「製造業なんてもう古い、固定費用がかかる製造設備なんて手放して、販売と金融やっている米英を見習え」と主張していたアメリカ洗脳留学組のエコノミストのご託が幅を利かしていたわけです。

 ぼくは前から主張しておりますが、日本のような(米英もそうですが)図体の大きく、人口の多い国は金融だけじゃ食えません。そのような短期利益主義は破綻すると。
 
 このようなことをやっていると国内は中間層が没落し、金持ちと貧乏人だけという途上国型になります。となると国内で売れる製品が偏ります。自動車ならロールスロイスか、軽自動車や自転車しか売れなくなる。国内マーケットは不健全な形に歪みます。職もなくなるし犯罪も増えます。

 短期の利益さえ確保すればいい、5年先、10年先は知らねえよ、というのが米英の大企業の経営者のスタンスです。後は野となれ山となれ、です。

 ですから弁護士と組んで、ビジネスパートナーを罠にかける詐欺まがいの商売に手を染めても恥じることがない。そんな商売が続くわけがない。それは昨今の経済危機で明らかになったわけです。

 日本の企業がおバカなエコノミストの尻馬に乗っていたら大変なことになっていたでしょう。

 ところが一部の経済誌などは、そのようなことをいっていたエコノミストに未だに連載をさせたりしています。

 経済メディアの駄目なところは、情報が上場企業に偏重しているところです。上場企業のほうが情報を取りやすいからなのでしょう。また株式の売買に直接関係ないからなのでしょうが、造船業の場合非上場ではあるが、業界1、2位の今治造船、常石造船の情報無しには業界の構図や現状を正しく把握できません。造船と名がついていても今や造船業は片手間のような会社が多いのが現状ですから。

 これは他の産業でも同じで、むしろ上場企業よりも非公開企業の情報を熱心に報道すべきだと思います。

 また防衛産業に関しても無関心です。上場企業でも防衛関連の情報は出さないからでしょう。ですが、仮に売り上げの数パーセントだとしても、そこがまったく報道されなけばその企業の情報に関しては片手落ちになります。
 富士重工はアパッチの製造中止で、数百億円の損害と、今後数十年にわたって確保できるはずだった、数千億円の売り上げが消し飛んだわけです。
 大手メーカーの防衛部門がブラックボックスで合っていいわけはありません。仮に盲腸のようなもだから無視していいというのであれば、その企業がそんな役に立たない部門に人、もの、カネをつぎ込んでいること自体が問題でしょう。
 
 読者の株式の売買に直接関係ないから報道しない、というスタンスではまともな分析は出来ないと思います。株屋ならそれでもいいのでしょうが(ぼくは良くない思いますが)、経済メディアを自称するのであれば如何なものでしょうか。






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中央公論新社
清谷 信一

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>非上場企業を軽視するメディアの産業情報は当てになるか?
全国紙新聞社、生命保険会社とかも非上場が多いけど、メディアは結構注目してるような気がします。多分新聞や保険のようなBtoCの会社は購買者として一般人に馴染みがあるが、造船のようなBtoBの会社は購買者として一般人に馴染みがないのが大きいのかも。
>造船と名がついていても今や造船業は片手間のような会社が多いのが現状
今は船舶用エンジンくらいしか船と関係がない日立造船は少し前まで飲料水(杜仲茶)の製造や旅行予約サイト(旅の窓口)を運営していると聞いた時は「何でも屋かよ!」と笑ったなあ。

1980年代前半生まれの私には、造船はハドソンのゲーム「桃太郎電鉄」で佐世保で買える造船所が「収益率が基本的にマイナスだが、運がよければ莫大な臨時収益が得られる」という印象が強く残ってる。
へろ
2010/02/15 00:10
造船業は一見うまくやっているように見えますけど、その抱えている数年分の手持工事は、造船バブル崩壊前の受注残、すなわち「キャンセルされなかった(できなかった)船」ですから。
今世界はオイルショック以来の、空前の船余りです。
加えてこれら極めて大量の受注残の竣工と、高齢不経済船の淘汰の結果としての平均船齢の若返りによる新造需要のさらなる低下。
中国の国策による需給バランスを無視した造船能力の拡大による競争の激化。

数年後の造船業界は不安要素でいっぱいです。
果たして造船専業で、しかも中国でも造れるような船ばっかり造ってて、大丈夫なのかなという気もしますけどね。
  
2010/02/16 19:04

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