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zoom RSS 将来多用途ヘリコプターはOH−1ベースの新開発、でいいのか?

<<   作成日時 : 2009/10/02 23:05   >>

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 平成22年度の防衛省概算要求では「将来多用途ヘリコプターの研究」が挙げられています。

 ぼくの聞く限りではこれは川崎のOH−1をベースに開発されることが、既定となっているようです。その前提で話をします。

 OH−1と多くのコンポーネントが共用化されれば、その分兵站コストは下がり、という目論見でしょう。ですが、元々OH−1は極めて高価なヘリで調達数も少ないですから、さほど効果はないでしょう。

  新型国産ヘリは当然高コストになります。
 昨今の軍用汎用ヘリはナイトビジョンやネットワーク化されたナビゲーションシステム、自己防御装置など本体以外のコストもかかります。つまり機体本体以外の装備の調達コストがかなり高くなっています。
 ですから高い国産機だとコストはさらに高くなり、今まで以上に遅々として配備は進まないでしょう。結局は数が揃う前に旧式化です。しかもヘリコプターの数は足りないままです。

 また、高い国産ヘリを調達する予算があれば既存のヘリの近代化にその予算を振り向けるべきです。
 新規開発するならば、将来民間用に転用して国内外で販売する具体的な計画があればいいですが、それももないでしょうし。
 
 エンジンはどう技本が音頭を取っている国産でしょう。そんな実績もない、得たい知れないエンジンを民間は勿論、海保や警察だって使わないでしょう。
 そもそも川重がリスクを取って商売しないでしょう。

 
 新型機は型式証明を取るのにも莫大なコストがかかります。型式証明をとるのを優先するならば、コンポーネントは外国製を採用することになります。
 更にこれを海外で売りこむのは営業やサービスの拠点も必要です。

 ぼくはEC―145=BK117をベースにした機体がベストだと思います。
 EC−145はユーロコプターと川重のジョイントベンチャーの世界的なベストセラー機です。ですからコストの面ではかなり有利です。
 他の機種をライセンスするのであれば、初期投資がかなり必要ですが、その面でも有利です。初度費もゼロに近いか、きわめて低い金額で済むはずです。

 まずはどのような機体がいつまでに何機が必要であり、総予算はいくらかを設定すべきです。一定期間内に調達が完了しない装備は調達しないことです。

 そもそも防衛省にはヘリメーカーをどのように育成しようというビジョンがありません。
 天下りさえできればいいのですから。

 ですから3社もヘリメーカーがありならが、防衛省以外の国内市場は海保、警察含めて殆どゼロ。まったく自立できていないわけです。
 まるで年度末の公共事業に頼り切っている地方の土建屋と同じです。これは経産省の怠慢でもあります。

 ぼくはヘリメーカーは川重に集約すべきだと思います。その上で海外の有力メーカーと協力して国内外で増やす戦略を練るべきです。
 つまりメーカーとしての自立し、ビジネスの規模を拡大を目指するわけです。そうなれば国内の関連企業も仕事が増えます。

 どうしても新型ヘリが開発したいというのであれば、将来の輸出も見据えて外資と協力すべきです。
 今日日、ユーロコプターやアグスタ・ウエストランドなどの業界大手にしても新機種、特に民間市場用の機体は他社とのジョイントベンチャーを増やしています。それは開発費と販売リスクの低減のためです。

 また国産開発をどうしてもやるというのであれば、その機体と既存機をトライアルで評価し、性能、調達性、ライフサイクルコストなどの面から総合的に優れた候補を選べばいい。
 実機を使ったトライアルは是非行うべきです。それを行わなず、「はじめにアパッチあり」でよく考えもせずにアパッチの導入をきめたからあのような無様なことになったわけです。

 このまま防衛需要にに引きこもり、自慰行為のような国産ヘリを開発していれば遠からず国内のヘリメーカーは消滅します。現在の国内メーカーの実力を正しく評価する必要があります。
 

 また陸自はメデック用のヘリ部隊も編成すべきです。
 陸自ではメディク用のヘリ部隊がなく、汎用ヘリを使用することになっていますが、諸外国の例を見ればメデック用は後回しにされます。ですから専用の部隊が必要です。これらを平時はドクターヘリとして使用するということも検討すべきです。
 メデック用のヘリが「贅沢品」あつかいされるのは、国産ヘリが極めて高額であり、機数が揃わないのもその一因となっています。

 繰り返しますが、量を揃えるため調達性の優れた機体を採用し、調達コストを下げる必要があります。

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 来年度防衛予算では陸自の現用汎用ヘリ、UH-1Jに代わるUH-Xの開発予算が計上される見通しです。 ...続きを見る
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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
海自が練習機としてEC-135を導入するようですから、陸自もEC-145よりEC-135の方が良さそうな気がしますが、いかがでしょうか。

ところで多用途ヘリコプターというのはUH-1の代替という位置づけなのでしょうか。
成田の近くの住人
2009/10/03 08:49
川崎が担当するのであれば、当然OH-1とBK117を足した様な機体になるのでは?
外国メーカーと組んで輸出を目指すなら、現在のラインナップに無い機体となります。今からだと難しい。
海外メーカに対抗する覚悟があるのか、川崎次第。
K
2009/10/03 11:28
エンジンもOH−1のエンジンがベースですけど…
ANTO
2009/10/03 20:04
「量を揃えるため調達性の優れた機体を採用し、調達コストを下げる必要があります。」
とのコメントは正論だと思います。しかし、国内の技術(軍需&民間)を維持するためには、国産が高価という観点とは別に最先端の技術を保持し続けるために税金というコストを国民が負担する必要があると私は考えます。
蝦夷地より
2009/10/03 21:06
確かに国産機が作れるってのは重要なんでしょうけど、調達コストが異常に高価になるのが確定している機体に拘る必要があるのか、軍事オンチが多い国民の無知を利用して防衛省が好き勝手しているように思えてなりません。
それ(高価な国産機開発)に納得できる理由があれば国民はそれに理解を示してくれるでしょうが、あまりにジャブジャブやってると叩かれますよ?防衛省さん。
八王子の白豚
2009/10/04 18:48
ちと話題がズレますが。

航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)選定で、日本が有力候補に位置付けている次世代戦闘機F35の
性能に関する情報提供料として、米政府が約10億円を要求していることが3日、分かった。複数の
日米関係筋が明らかにした。レーダーに捕捉されにくいステルス性能については、購入が決まった
段階で提供する意向も伝達した。今月20日に来日するゲーツ国防長官と北沢俊美防衛相の会談で、
F35採用を軸に調整する見通しだ。

輸入する装備で、情報提供として高額な代金を求められるのは異例。F35が米国に英豪などを加えた
共同開発のためで、10億円を支払った場合、開発費の負担割合に応じて各国に配分されるとみられる。
この要求に日本側では「足元を見られている」(防衛省筋)との受け止めも出ている。

日本は当初、最新鋭ステルス戦闘機F22の導入を目指してきたが、米側はF22の輸出を禁じ、生産中止の
方針も表明。F22に次ぐ高性能機種はF35で、日本政府は次善の策として導入に傾いた。政府は情報提供料の
支払いに応じるとともに、2011年度予算案からF35の購入経費を計上する方向で本格的な検討に入る。

米側が約10億円の支払いを求めている情報は戦闘機の詳細な攻撃能力に加え、一定の時間にどれだけ
早く旋回できるかなど機動性に関する性能のデータとみられる。ステルス性能は高度の軍事機密のため、
米側は購入が確定した時点で開示する意向を伝えたという。

F35はことし5月の日米防衛相会談で、ゲーツ長官が日本に推奨し選定が本格化した。

共同通信(4日02:04)
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100301000790.html
シロ
2009/10/04 23:12
10億円払ってエビエーション・ウィークの切り抜きが送られてきたりして・・・


キヨタニ
2009/10/05 10:30
ttp://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100501001016.html
マンデルソン氏は日本の防衛分野への新規参入にも関心を表明。「米企業が市場を独占している状態では価格競争がなくなり、日本の納税者の利益にならない」と述べ、英国など欧州4カ国が開発した戦闘機ユーロファイターの売り込みに強い意欲を示した

意外とユーロファイターの欧州勢は売り込みに本気みたいですね
ANTO
2009/10/07 16:24
「汎用ヘリ」の開発はいいとして、それをOH-1ベースでやる、っていうのは素人目にも「?」と思ってしまいますね。
そもそもOH-1のエンジンって汎用ヘリに使えるほど馬力有りますかね? Wikipediaで調べた限りでは、OH-1のエンジン出力は、2基合わせてUH-1のエンジンと同等ですから、将来的なことを考えるとやはり少なすぎなきがします。

機体もエンジンも新しくするんだったら新規開発とあまりかわらんきが…
Null_Devices
2009/10/08 23:43
お隣韓国のF−15Kが部品の供給不足から共食い部品取りで稼働率がどうしようもなく低下しているとの話を聞くと、兵器を導入コストだけで論ずるのは大変危険だと思います。
OH−1は元々AH化を目指していたとの話もありますし、高機動性を持ち機体の信頼性も高く、エンジンを高出力化すれば十分可能ではないでしょうか。高価格が問題にされますが、調達数の少なさと各種センサーを含んでいることを考えれば納得できる範囲ではないでしょうか。
汎用ヘリコプターについては一本化せずに用途によって複数機種を使うのもありかと思います。
OH−1ファン
2009/10/18 08:40
そもそも防衛費は保険のようなもの、無駄を覚悟の出費、ではメリットは。このメリットとのコストパフォーマンスを議論すべきです。

有事には、防衛費を数倍に増やして必要な兵器、兵員を確保します。このときに兵器開発では間に合わない。状況によっては輸入も難しい。海外技術採用でも100%の国内ライセンス生産が基本でしょう。

有事に国内で調達出来ることを目指してほいいのだが。
兵器国産派
2011/08/14 09:43
日本には武器輸出三原則があり、ヘリであっても自衛隊ヘリは輸出は認められ飲ません。へりについては例外にして安くすべきと私は思いますが、社民党等は絶対反対する。
私も兵器国産派です。このままでは日本の兵器産業は衰退の一途です。
通りすがりの人
2012/03/15 10:36

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