清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 富士重工が防衛省に「反乱」 防衛産業再編の引き金を引くか

<<   作成日時 : 2009/09/02 17:06   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 41 / トラックバック 0 / コメント 12

戦闘ヘリ発注中止「500億円払え」 富士重工、請求へ2009年9月2日3時0分
http://www.asahi.com/politics/update/0902/TKY200909010460.html

10年度の概算要求でも防衛省がアパッチの予算計上を見送ったため、富士重は「今後の受注が復活することはない」と判断。未回収のライセンス料約400億円に加え、すでにボーイング社から購入した3機分の部品代金100億円弱も請求する。

 だ、そうです。


 陸幕は攻撃ヘリ、アパッチを62機調達するから、と富士重工にライセンス生産させておいて、気が変わったからと、10機で調達を打ち切ったわけです。
 で、本来残りの52機の価格に含まれるはずのラインの償却費やらライセンス料やらを払ってくれといったところ、「そんなの関係ねえ」と断られたわけです。

 そこで改めあたらめて防衛省に費用分を払え、払わないと訴訟を起こすぞと詰め寄っているわけです。
 
 もっとも昨年から富士重工が防衛省を訴えるという話は聞いていました。
 ところが他の国と違って機数、調達期間、予算総額を決めて契約しないので、裁判起こしても負けるだろうというので迷っていたらしいです。

 つまりこんなビッグビジネスを、官と業界は馴れ合いの口約束でやっていたことになります。

 ですが、このままラインを遊ばせておいてもそれには資産として課税の対象になりますし、経営者は株主から形成責任を追及されて訴訟を起こされかねません。

 ボーイングからも同様な訴訟を起こされる可能性もあるでしょう。

 「日本の閉鎖的かつ特殊な契約によって米国兵器メーカーが大打撃を受けた」わけですから、政府間の問題になるかも知れません。

 防衛省は自分たちにはまったく責任ないという態度です。
 責任を認めると関係各位を目に見える形で処分しないといけなくなるからです。

 ところがこの件とFXの戦略無き引き延ばしで、防衛省に対する産業界の信頼は地に落ちています。
 これが原因で今後装備品の生産開始に当たっては、最初に設備投資などの費用の一括支払いを求める方向に動いております。

 つまり調達初年度に装備品の調達価格に加えて、これらの費用がまとめて要求されることになります。となると、他の装備調達を圧迫することになります。
 これで、今までのような細々とした調達がやりずらくなるでしょう。

 何しろ防衛省相手の商売で富士重工の二の舞になれば、株主代表訴訟の標的になるのは間違いありません。誰もそんな貧乏くじを引きたくはないでしょう。
 またこのような防衛産業のリスク化によって、株主から防衛産業からの撤退を求められる企業も出てくるでしょう。

 巨額の初期費用が必要ない輸入品が有利にもなるでしょう。

 つまり、これによって業界再編に拍車がかかることになります。
 防衛省が自ら防衛産業基盤を切り崩しているようなものです。

 民間にも責任があります。

 同じ分野に何社もがあり、企業間の競争もなく、国内の防衛需要だけで喰っています。どんなに高くてもつくれば国が買ってくれます。天下りさえ受け入れていれば仕事はもらえます。
 しかも防衛産業で基礎をつくって、世界の民間市場に打って出るつもりは更々無い。年度末の公共工事で喰ってきた田舎の土建屋と同じです。ヘリ業界はその典型です。
 
 世界市場どころか、防衛省を除いた国内市場ですら殆ど売り上げはゼロです。
 
 米国がアパッチを製造終了した後も延々と旧式のAH−1Sの製造を米国の調達価格の8倍で行うような商売に疑問を感じてこなかったわけです。

 そういう、国にたかる、志のない商売をしてきた結果がこのアパッチの件です。

 富士重工の航空宇宙カンパニーの現在のトップはこの事業の生え抜きではなく、自動車屋さんだそうです。恐らくこの人事は航空産業からの撤退戦のため、とみれなくもありません。


 

 いつもいっていることですが、装備調達は調達期間、調達数、予算総額を出し、国会で承認をうけるべきです。
 現状は国会が予算を管理していない、つまりシビリアンコントロールが機能していない状態です。


 さて、民主党初の防衛大臣がこの問題と、防衛産業のあり方についてどのような手腕を振るうのでしょうか。


  防衛産業は、再編はヘリから始まる?
 http://kiyotani.at.webry.info/200908/article_3.html

 −国内ヘリメーカー統合の序曲になるか−全日空のヘリ整備部門、ユーロコプターが買収
 http://kiyotani.at.webry.info/200906/article_5.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 41
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
ナイス ナイス ナイス ナイス
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
政権交代と言うのも富士重が訴訟に踏み切った1つのファクターでしょうね。民主政権なら「自公政権下における無責任な装備調達の結果」として積極的に情報公開&責任追及する可能性もある。そうなれば富士重にとっては追い風になりますしね。ただ、選挙に国が負ければ支払われるのは、我々の血税な訳ですけど・・・。
ドラゴン山崎
2009/09/02 17:54
キヨタニさん
防衛省と富士との取引きで
口約束だけで調達機数等を決めているのは
本当ですか?
信じられません。民間で有れば
ちゃんと正式に契約書面に
生産期間、納期、コスト、機数等を
明記して契約します。(世間の常識です.)
自衛隊の取引きは、そんなどんぶり勘定なのですか?信じられません。
いくら予算があってもそれじゃ足りません。
紫電改
2009/09/02 23:47
外国製風車が動かずに困っているとの記事がありました。
過去の輸入品の稼働状況と比較して、どの程度までの価格上乗せまでなら、コスト優位性があるのか検討して公表すべきでしょう。
ライセンス生産価格があまりにも高いなら、輸入品を多めに購入するという対策もありえる。
K
2009/09/03 00:33
ミンスでは、まともな長島さんが防衛大臣になれば何とかしてくれると思いますよ。厚労省は長妻で決まり。消えた年金は共産の辞退する政党助成金で穴埋め汁。
パクはシンクン
2009/09/03 08:06
日本の調達はかなり諸外国と異なります。
開発費も込みである程度の計画をたてて、
調達費の総額を出すとコスト管理が容易になります。つまり外国並みにするだけで随分調達コストが下がります。
キヨタニ
2009/09/03 09:41
F2戦闘機の開発コストは3300億円の見積もりでしたが、最終的には6600億円に膨らんだ、と読んだ事があります。輸入品の価格にはこの開発コストが上乗せになるのでしょうが。
おはぎ
2009/09/03 10:07
>厚労省は長妻で決まり。

 他人の揚げ足を取る能力と、組織を前向きに機能させる能力は、全く違います。前者は、社民の税金ドロボーや、民主のヤク中にだってできることです。
土門見人
2009/09/03 20:57
Apache調達打ち切りについては、調達システムに疎い私でも「ヒデェ」と思いましたからねぇ。FHIの訴訟に訴えるのも無理はないかと。

だいたい、自衛隊は装備を買うのに時間をかけすぎな気がします。メーカーのラインを維持する、という目的もあるんでしょうが、それならそれで複数年契約で計画性を持ってやるべきでしょう。まさしく清谷さんが普段指摘されていることですが。

今回の件、防衛省側に非があるのは明白と思えるのですが、内局の方々に責任をとってもらえるんでしょうか?
Null_Devices
2009/09/05 15:11
アパッチの操縦士や整備士も機種限定がつくんですよね?たった10機のために人事も縛られるのでは、運用する側もやってられないのでは?
とーりすがり
2009/09/05 19:20
>富士重工の航空宇宙カンパニーの現在のトップはこの事業の生え抜きではなく、自動車屋さんだそうです

航空生え抜きの方ですよ。
キャットウーマン
2010/01/17 13:24
>>富士重工の航空宇宙カンパニーの現在のトップ

ぼくの勘違いかもしれません。調査してみます。
キヨタニ
2010/01/17 21:28
細部も知らない者たちの遣り取りを見て、情けなくなります。62機を防衛上必要と考え、準備させておいて、10機で打ち切るから、後は知らないでは、今後、防衛を支える企業は無くなる。即ち、国の安全保障は他国任せにならざるを得ない。これが世界のすうような地位にある日本の有り様か?
トップは、航空の専門家ですよ。
itirou
2010/09/22 15:12

コメントする help

ニックネーム
本 文
富士重工が防衛省に「反乱」 防衛産業再編の引き金を引くか 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる