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zoom RSS 航空自衛隊は子供か その2

<<   作成日時 : 2009/04/10 13:44   >>

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 F−22を選択するということは今後、我が国での戦闘機の生産と開発を止める、ということとほぼ同義語です。

 F2の生産が終わり、引き続いてFXのライセンス国産がなければ我が国の戦闘機生産はなくなります。それがとぎれてしまうと、人材や機材も四散してしまいます。

 2009年4月8日付けの日本経済新聞朝刊には「次期主力機 選定振り出し」という記事が掲載されています。この記事はF−35が比較的楽にライセンス生産できるし、FXの本命であるとしています。

 ですが、それはどうでしょうか。
 F−35は未だ開発も終わっていません。開発が終わり、米英その他の諸国に行き渡るまで、ライセンス生産どころではないでしょう。
 
 またライセンスにするにしてもパートナー諸国がそれぞれ分担していますから、意見と利権の調整が必要となります。どの国も自国の生産分担を手放すのは良しとしないでしょう。

 いずれにしても、我が国でライセンス生産が開始できるのは7、8年は先になるのではないでしょうか。
 その頃には我が国の戦闘機の生産能力は無くなっています。そのときにライセンス生産が不可能とはいいませんが、一旦人材が霧散した後ですから、その再建には膨大な時間と予算がかかるでしょう。

 ぼくが入手した航空産業の業界団体の資料のアンケートによると、FXがライセンス国産されなければ戦闘機ビジネスから撤退するというメーカーも少なからずおります。
 撤退しないにしても、事業規模を縮小する、となると既存機のメンテのコストが上がりますよ、ようございますかと主張しているメーカーも多いです。

 空自の首脳は「FX調達では航空産業の振興など考慮する必要はない、それは経産省のマターだ」とと主張してF−22を推しているわけですが、戦闘機の生産、開発をやめるとなるとこれまでの政策を一大転換することになります。それを空自が目先の玩具が欲しいという欲望だけで決定していいものか。


 今後戦闘機の生産、開発を行わないという選択をとるのか。
 また、空自にその覚悟があるのか。

 ならば「心神」の開発も見直す必要があります。製造手段もないのに新型機を開発する必要もないでしょう。

 F−22を欲するのならば、その辺りを明確にして欲しいものです。

 そもそも産業政策は空自に関係ないのなら、何でエライ人達が航空産業に天下っているのでしょうか。航空産業の育成は中長期にわたる我が国の防衛産業に大きく影響します。

 「そんなの関係ねえ」という空自幹部の態度は如何なものでしょうか。


 もっとも戦闘機の開発をやめるのも選択の一つです。

 無理やり、ライセンス生産で高い戦闘機を買ったり、自国開発するのはやめて、浮いたカネを電子戦機や空中給油機、無人機の調達に当てたり、旅客機など輸出可能な民間機開発につぎ込む方が、航空産業の育成にはなるでしょう。軍用機としては練習機や輸送機などはつくるとして。
 またイスラエルのように戦闘機のアビオニクスや搭載兵器に特化するという「第三の道」もあるでしょう。

 無論戦闘機の開発や生産を通して得られるノウハウや新技術のスピンオフなどのメリットは得られなくなりますが、どちらが国益に沿っているかは、それぞれのメリット、デメリットを勘案して比較検討する価値はあると思います。

 ただ、ライセンス生産にしても、F−22以外の米国の機体は設計が古いですし、キモのレーダーやFCSなど主要部分は殆どブラックボックスです。つまり、新規に収得できる技術はあまり期待できないわけです。
 単に航空業界に対する仕事量の確保で、補助金的な意味合いが強くなると思います。つまり業界の延命策にしかならない。それで輸入の場合の二倍もカネをかけてライセンス生産するメリットがあるのか。

 予算の裏付けと今後の航空機産業の振興のビジョンのないFX調達は無責任です。 

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
F−15サイレントイーグルなんてのが出てきましたが・・・・。
どちらにしろ高いオモチャです。
ねこのひげ
2009/04/10 16:56
確かに技術やノウハウはは、一度失われると、二度と取り戻すことができないと言われています。
開発費やら、他にも色々と事情があるのでしょうが、国防に関する重要な部分を他国に握られるのは問題があると思います。
KKMM
2009/04/10 22:41
自国の防衛産業を育成するのも重要でしょうしね。
長田ドーム
2009/04/11 21:35
航空機産業向けに
練習機でも開発すればいいのにね
輸出できる奴を
素人
2009/04/12 11:53
自衛隊を早く憲法で認められる存在にしなければね。憲法違反の存在とされ(少なくとも文章上は明確)、政治には口を出すなと言われつつ配慮は求められる。自衛隊員に対しては、大人になれという前に憲法で認められる存在にしなければね。
ROM男
2009/04/12 15:23
 空幕といえど、お役所です。これまで空自は一貫して米国製主力戦闘機をそのまま主力戦闘機として採用することで、ともかくも防空能力は世界有数の地位を維持してきました。その歴史を切り替えるには、相当の勇気が必要なはずです。お役所に住むお役人には、簡単にできることじゃありません。
土門見人
2009/04/12 22:07
田母神氏は、「アメリカ製の戦闘機を買っても、お古ばかり押し付けられる」と不満を述べています。また、氏は「欧州製の戦闘機を採用しても、日米関係に変化はない」という発言もしておりますが、タイフーンを推したのが更迭の真の理由ではなくても、煙たがられた可能性は高いのではないのでしょうか?
シロ
2009/04/13 22:40
ボーイングも受注競争に負けて困っているようですから、
F-35に負けた、水平尾翼のないカッコ悪い戦闘機を実用化するのが良いんじゃないでしょうか。
ころころ
2009/04/14 05:57
確かにもっとどうするのか明確化すべきだと思う 心神など開発するならするで…ただ日本の周辺国の軍拡が凄いので もっとしっかりそれに応じて対応すべきだと思う。
カナリア
2009/04/25 04:57

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