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zoom RSS 国際航空宇宙展2008その1 MRJは市場で戦えるか

<<   作成日時 : 2008/10/05 21:44   >>

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 先週は金曜日までパシフィコ横浜で行われた国際航空宇宙展の取材でした。
 その前日の火曜日には英国大使館主催のセミナーがあり、連日大使館やらメーカーのレセプションが続いたので疲労困憊です。ただ海外の大メーカーのトップとざっくばらんにお話する機会もあり、非常に有益な取材ができました。

 今回気になったのが国内メーカーの動向でした。三菱重工&飛行機はMRJ(三菱リージョナルジェット)のモックアップを展示。以前ファンボローで見たものよりかなり進化していました。革張りで高級感もあり、窓側の席は座席の肘掛けを廃して、機体に窪みをつけて肘掛けにするなどゆったり感を出すことに成功しています。
 競合他社の製品より機内のスペースは広く、乗りごごちもいいのではないでしょうか。

 ただ前からぼくが言っているように内装も重要ですが、機体の稼働率、整備性などがエアラインにとっては重要です。稼げる機体こそがいい機体なのです。
 まあ、これは何の商品でも同じですが。
 天下りさえ受けれてていれば、不具合があっても黙って買ってくれるお客を長年相手にしたいたわけですから、意識を変えていかないと民間市場で飛行機は売れません。

 担当の営業氏は国内市場は重要だが決戦場は最大市場である米国市場という認識でした。昨年のパリの航空ショーの折、日本大使公邸で行われたレセプションで身内の日本人ばかりを招待して飲み食いしていた件に関しては、社内でも批判や反省の声があったそうです。

 ぼくも決してMRJが失敗して欲しいわけではありません。むしろ熱烈に成功を願っているわけなのですが、官需に依存してきた三菱の体質改善を行わないかぎりプロジェクトの成功はおぼつかないでしょう。
 また旅客機は政治的な商品でもあり、政府の関与も必要です。首相がトップセールスをするとかも必要でしょう。  更にプロジェクトが軌道にのるまで国が関与を続ける(即ち税金を投入し続ける)ことも必要でしょう。現在のところ試作の費用を出したあとのことは不明です。
 官民共に真剣にとりくまないと単に高い授業料を払っただけ、という結果に終わります。

 問題なのは業界の内向きの体質です。
 会場で前間孝則氏ともお話したのですが、前間氏が「日本は何故旅客機を作れないのか」や「国産旅客機MRJ」といった業界に耳の痛い話を書くと、メーカーのトップからも嫌がらせをいわれるそうです。
 前間氏は以前はメーカーにいたこともあるために、これまで過去の話を中心に執筆をおこなってきたそうです。昨今の著作で現在の航空業界の話を書いているのは、現状を憂いているからだそうです。

 自分たちの聞きたくない話は聞きたくないのでしょう。ですが、現状から目を逸らしても事実が好転するわけではありません。むしろ自分の都合いいように現実を解釈すればむしろ悪い方にいきます。
 まるで憲法九条があれば世界は平和といっている平和団体と同じメンタリティです。
 
 危ない業界ほど危機感がありませんが、航空宇宙業界はその典型例かも知れません。その意識を変えていかないと世界の市場で戦えません。

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MRJのシート後方から

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MRJ窓際席の機体に設けられたアームレスト




国産旅客機MRJ飛翔
大和書房
前間 孝則

ユーザレビュー:
熱い思いが伝わらない ...
MRJは、金のかかる ...
空飛ぶメイドインJA ...
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 「日本は何故旅客機を作れないのか」に加筆した文庫版です。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
三菱重工の官需比率って、すでに低くなっていると理解していますが。
それこそ、企業がイメージを気にするのは当然ですし、古いイメージ(官需中心)で非難していませんか?
K
2008/10/06 02:06
民需が増えているというのは事実ですが、ボーイングなどの下請けが中心で、自律的な商売はすくないわけです。それと企業の体質はそう変わりません。因みにぼくの父親も三菱系の企業に勤めていました。
キヨタニ
2008/10/06 10:08
非難も中傷もあるでしょう。でも、はやく官需を離れて独り立ちしてください。新たな産業としてうまく回転しだすことこそ、官もそう望んでいることでしょう。
Nanda
2008/10/07 01:15
一部のマスコミでは、MRJを政府戦況機として10機程度購入する方針と伝えられています。

キヨタニ様は、どのようにお考えでしょうか。
フェリ
2008/10/17 11:26

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