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zoom RSS 防衛産業の明日はあるか

<<   作成日時 : 2008/08/16 17:29   >>

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 最近夏休みを利用してあれこれ防衛関係者に取材をしております。まあ休みが休みになっていないのですが。ただ先方もこの時期出社している人も普段よりは忙しくないのでゆっくりお話もできるわけです。さすがぼくも今週週末はお休みです。
 普段は記事に直結する取材が多いのですがこういう時はあまり記事に関係ないテーブルトーク的な取材をしているわけです。本当は普段からもっとこういう取材をする余裕が必要ないんですが。

 最近の取材で感じたことは防衛産業の縮小と閉塞感が強いことです。我が国では商社も含めて防衛産業といっても企業の小規模な一部門です。昨今売り上げが落ちており、他の部門から白眼視されたりもしています。
 実際防衛産業から撤退を考えている企業も増えているようです。商社でも取扱品を絞り始めています。これ以上仕事が減るとウチは手を引くからな、と露骨に当局を恫喝している●●●のようなメーカーもあります。

 逆にフィンメカニカやBAEシステムズなどは日本市場でのプレゼンス拡大を画策しています。実際の所業界再編なくして日本の防衛産業の基盤維持は難しいところに来ていますが、官民ともにそんな気は更々無いようです。アブナイところほど危機感がない、当事者意識がないものですが。

 こんなことをいうとそんな必要はないと強弁する人もいます。特に官の主導での業界再編に反対する人は意外に多く、ホンダの四輪車参入の例を出したりします。かつて通産省はホンダが四輪に参入するのを自動車メーカーが共倒れになるからと防止しようとしました。ところがホンダは世界有数の四輪メーカーになったではないかと。

 ですが、これは根本的に間違っています。まず自動車メーカーの場合、国内国外ともに熾烈な市場競争に晒されています。ところが防衛産業の場合は同じ分野でも縄張りがあり、概ね互いに不可侵となっています。これはまるで国営企業みたいなもんで、ここに競争はありません。つまり前提条件がまったく違います。

 加えて世界では巨大な企業がドンドン巨大化しています。これは高騰する研究開発費を捻出するためです。対して国内の研究開発費は少なくしかも、何社もダブって同じような研究開発をしていたりして無駄使いしていたりします。市場で揉まれるともなく、他国よりも圧倒的に少ない研究開発費で、他国並みあるいは他国以上の性能の装備を開発生産できると信じるのは非常に楽観的はあるいは偏狭な「愛国心」に目が眩んでいるとしかいえません。

 業界も官の側も防衛産業の維持とはいっていますが、それは目先の天下り先の維持であり、長期的に我が国の防衛産業の維持・振興を考えているとは思えません。
 本来この問題はもっと政治が主導権をとって進めるべきだろうと思います。もっとも野党の防衛問題の有力議員が「戦車工場で仕事がない?そんならトラクターつくればいいじゃない」とか仰るわけです。ロシアをそれをやってもダメだったのですがご存じないようでした。
 そろそろ予算案も出てくることですし、野党のセンセイ方にはもっと頑張っていただきたいと思います。




今月発売の「月刊VOICE」でGTL燃料に関する記事を寄稿しております。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
外国企業との取引が増えるとなると、武器輸出するなとまで言わずとも、新たな取引先の倫理基準が必要となるでしょうね。
武器輸出はさせない、その代わりの国内独占だったのだろうし、国内企業は逆に緩和を許すのか。
K
2008/08/16 19:19
 防衛産業についてはあまりいきすぎると、アメリカの軍産複合体のように、在庫処理をしてお金儲けをするための戦争をロビー運動として政治に深く結びつくことに懸念しますよ。
ななし
2008/08/17 14:21
ななしさんへ
それは大丈夫と思いますよ。
しばらくしたら新しいのに代える必要がある(戦争しようがしまいが)。
ロビー運動として政治に深く結びついてる所は戦争によって(戦争に勝っても)不利益になることが多い(燃料や弾の方が優先されるから)。
巫女の竜
2008/08/17 22:58
もしも、国家や軍事の命運を担うものが半導体部品であるならば、今日は母国で兵器を作り、明日は越境奴隷となりて、敵国で兵器を作る越境越後屋経済学(産業のボーダレス化)に変化した状況下でどのように幕藩防衛に対して、大和新世代を協力させようと言う言うのでしょうか?地球規模の防衛力とは何かの戦略が新世代は欲しいのです。もう有人兵器至上主義の形骸化を防衛族は気付くべきなのです。バカバカしくて、予算消化の有人兵器部品なんかもう民間は作れないと、政治家は気付いて欲しい。
guest
2008/08/18 07:57

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