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zoom RSS 【市場経済は辛いよ】武器に戦闘機、潜水艦…後進国から返品相次ぐ ロシアの軍事産業

<<   作成日時 : 2008/03/08 22:58   >>

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 http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080306/erp0803062253006-n1.htm
 
 90年代の初頭、軍事見本市に参加し始めた頃のロシア企業は平気で英語のカタログもなく粗末なロシア語のカタログだけを並べていました。英語の話せる人間はいないし、というのが当たり前でした。
 現在は当時と比べると随分と商売気ができてはいますが、まだショーの最中にウオッカ呑んで酔っぱらっている、ロシア語しかしゃべれないオヤジもいたりします。また記者会見のあとのパーティーでは昼間にもかかわらずコップ酒煽ったりしております。まあロシア人だから仕方ないかという気もしますが。

 まあ、未だ国営企業は多いし、民営化したところで国営みたいな企業は多いから仕方ないのかもしれません。

 買い手の側は例えばリビアも西側と関係改善し、しかも原油高でカネもあるからフランスから大量に調達を行ったりしています。特に中東、南米、アフリカどこも資源国は景気がいいから敢えて安いロシア製を買わなくともいいという所もあるでしょう。
 パキスタンやインドも西側からまた兵器が買えるようになったから同様です。

 優秀なビジネスマンは兵器ではなく、資源や金融にいっているだろうし。

 ただ、そうはいってもロシアの兵器には見るべき点も多いし、個別に見れば優れた製品も少なくないわけです。外国企業とアライアンス組むなり、経営改善をすれば盛り返す余地は決して少なくないでしょう。ミルはアフリカでの同社のメンテや近代化は南アのATEと組んでやったりしてましすが、全体的にマーケティングは特に改善の余地ありです。
 品質やデリバリーの改善の一番の薬はキャンセルされたり、コンペで負けることです。損をすることが一番の薬です。なんですが、今のところあまりわかっていないようです。一所懸命やっている企業もあるのですが。
 プーチン大統領の国有化政策は長期的に見ればかえって業界を弱体化させると思います。

 
 キャンセルといえばシュタイアーのパンドール装甲車がチェコからキャンセルされました。デリバリー関連の不都合が合ったらしいです。リモート・ステーションにはイスラエルのラファール 社のものを採用していましたが、これらサブ・コントラクターとの補償の調整も大変でしょうに。まあ、市場経済は辛いよ、というところでしょう。
 

 さて、翻って我が国の防衛産業はどうでしょう。同じ分野で同じような企業複数存在し、しかもその間で競争がない。輸出先からクレームが来るわけでもない。社会主義国の国営企業みたいなものです。
 
 以前元自衛隊幹部に聞いたことがあるのですが、彼の担当の開発プロジェクトで企業から5名の技術者が派遣されてきた。ところが使いもになるのが甘く見ても3名、あとの二人はいらない、といったら会社から「彼らにも妻子がいるんです」と泣きつかれたそうです。そういう「妻子を養うコスト」も防衛装備には含まれているわけです。

 企業は競争の激しい民間部門で使い物ならない技術者を防衛部門に回す傾向があるそうです(優秀な方も多いでしょうが)。
 ぼくがその企業の経営者でもそうします。エース級の人材は成長分野や競争が激しい分野に投入し、競争がなくて売り上げが立つならそれなりの人間を回すでしょう。しかも天下りさえ受け入れておけば「客」からクレームは来ません。

 ロシア軍事産業と日本の防衛産業どちらがより社会主義的でしょうか。我々納税者はこういうところにもっと関心を持つべきです。

 
 
画像

自衛隊2500日失望記 Days of Truth and Falsehood (Kobunsha Paperbacks 117) (Kobunsha Paperbacks 117)

 自衛隊の内幕ものでは出色です。一部装備関連記述には?、なところもないではないですが、個人的な体験の基づく裏金やら、天下りのやり口などは非常に興味深いです。



自衛隊2500日失望記 Days of Truth and Falsehood (Kobunsha Paperbacks 117) (光文社ペーパーバックス)

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コメント(11件)

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イラク戦争をみると、ハイテク兵器の前に、ロシアの安価な兵器は、無力のような印象がぬぐえなくなってしまいますね。お金があるとハイテク兵器のほうへ行ってしまうのかもしれません。
長田ドーム
2008/03/09 15:35
日ソの兵器産業の特色は、遠隔越境制御技術の付加重要性を軍が認識できないところにある。 だから、民間側エンジニアの開発意欲を刺激ができない。 コストパフォーマンスに優れたシステム兵器の開発概念も皆無であり、なによりも納税者負担の軽減を図りながら、防衛力の強化策なんか、考えている防衛族に出会ったことが無い。 天下り先の確保と、献金要請で、汲々しているのを見ている民間側エンジニアがなんで、彼ら政官軍学共同体を尊敬できようや! 兵器の製造に関係無い民間が地球規模の防衛策と
防衛の一部民営化を主張する所以である。 残念ながら、石破大臣以下、現在の防衛省の内部自己改革は不可能だと観測す。元神戸大学出身者であり、現在の防衛大学学長のジレンマがある部分と看破す。
guest
2008/03/10 07:20
京大卒(同院修了)の元神戸大教授(現名誉教授)ですよ、五百旗頭さんは。
七誌
2008/03/10 15:11
七誌先生へ:付加情報をアリガトウね。
>元神戸大学教授であり、今は防衛大学学長....の言葉が足りなんだ。
guest
2008/03/10 18:45
 カラシニコフだけは、永遠のベストセラーでしょうな、小火器の在り方が根底から覆されない限り。
 それにしても、設計者が今でも現役の兵器技術者でロシア地上軍中将というのは、驚き。(他の国ならともかく、ロシアでだからねぇ。生涯現役、少子高齢化時代の輝ける星ですな。カラシニコフじいさん)
土門見人
2008/03/11 23:44
土門見人先生へ、軍事には全く疎いのですが、純粋に技術的に見て、カラシニコフが他の銃と比較し、優れているところは、どんなところなんでしょうか? 
guest
2008/03/13 07:07
横から失礼します。
いかなる状況でも弾が出ること、です。
ロシアの兵器設計思想では部品点数を可能な限り少なく、部品間のクリアランスと衝撃への耐性に余裕を持たせる、というのがナガンライフル以来の伝統です。
結果としてカラシニコフは重く、その命中精度は必ずしも良くありません。
しかし、砂塵や豪雨で視界が50m切ろうが、引き金をひけば確実に弾が出る。実戦で引き金をひく、と言う事は目の前に敵がいるということです。命中精度だの集弾性だのは弾が出てからの話です。
カラシニコフは確実に作動する。それが一線の兵士にはなにより有りがたいのです。だから軍用小銃として傑作なのです。
Tammy
2008/03/13 12:18
Tammy先生へ:まことに貴重な分析をありがとうございます。  そんでもって、この>部品点数を可能な限り少なく=銃の清掃や、部品の補給容易性確保かもしれませんね。  民生部品の作り方にも、共通する考え方かも知れない。
なんで、日本の陸軍は、カラシニコフの
設計思想を取り入れた銃を作らないないんでしょうか? 日本人の兵士の体系では、重い銃は戦いに不利なんでしょうか? 今は、巡航ミサイルを撃ち合い、適当なところで、手打ち式とする時代だから、銃の重要性は薄れているかも知れない。 テロリスト側がカラシニコフ製を使う理由は、コストパフォーマンス上でも選択したのだと思う。
guest
2008/03/15 09:17
清谷先生のブログを久々に眺めていたら、拙著をご紹介していただき、驚くとともに心から感謝申し上げます。
この本は1年以上前にほとんど仕上がっていたので、参考文献には書けませんでしたが、先生の本は4冊ほど購入して勉強させていただきました。特に装備品調達関係は目からウロコが幾つもありました。拙著185ページの「南アメリカ、イスラエル製の無印良品〜」の記述は、先生が軍事研究に投稿された南アなどの武器の優秀性などについての原稿に触発されて書いたものです。
3/14放送の「太田総理」という番組に出て天下り利権のおぞましさと如何に日本の防衛力を制約しているかを主張しましたが、結構カットされていました。本当の私は、もう少し国防費を負担するべきという立場ですが、いまのままでは、たとえ増額したところで天下り利権に吸収されて防衛に役立ちません。まずは天下り利権を締め上げるために防衛予算半分の側に立ちました。
天下り防衛利権を指摘する軍事評論家は非常に少数派です。特にOBは知っていても指摘しません。少数派の第一人者たる清谷先生の御活躍を心からお祈り申し上げます。


須賀雅則「自衛隊2500日失望記」著者
2008/03/16 14:03
わざわざご連絡ありがとうございます。
現場の人の告発が防衛省を替えていくためには必要不可欠です。
キヨタニ
2008/03/16 14:59
随分国に不満があるようで^^
また、随分我が強いですね^^
私は!私が!といった印象しか受けませんなf^_^;
・・・
2008/03/20 23:43

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