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zoom RSS 【杜撰な調達】陸自AH−64D、一機216億円 『世界一高い戦闘機』の倍近く 来年度概算要求

<<   作成日時 : 2007/11/29 00:16   >>

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007112790071114.html

 本当はこのネタは昨日書こうと思っていたのですが、風邪をこじらせてしまって今日に回しました。皆さんも風邪には気をつけてください。

 さて、一機216億円と言う数字は生産施設の償却を含めての値段です。機体本体の調達コストは83億円、生産設備の償却が133億円です。生産設備は総額が約400億円ですからこれを調達機数で割って、機体のコストに載せないとフェアでないでしょう。
ざっと116億円ぐらいですか。それでもかなりの高額ですが。

「1機、216億円」というこの東京新聞の見出しはトリッキーです。スポーツ新聞じゃあるまいし。これは悪意ある世論操作といわれて仕方がないでしょう。新聞のやることでありません。こんな安っぽいインチキをやるから新聞は読者を減らすんです。

 前からぼくが言っているように、他国のように事前に調達機数を決定し、調達期間決め、総額を決定して契約を結んでおけばこんな無様な結果にはならなかったわけです。

 因みに英国防省は空軍用に67機の調達を決定、約6年間で調達を完了、調達単価は約60億円ほどです。先日TVタックルで米軍調達価格が約60億といっていましたが、英軍調達価格の間違いでしょう。しかも英国防省は量産中から既に完成した機体に近代化を施しています。

 たった13機、一個飛行隊だと当然1機当たりの運用・兵站コストがかなり高くなります。タダでさえアパッチは運用コストが高いですから、むしろアメリカに引き取ってもらった方が宜しいでしょう。

 完成したものは日本仕様でですから転売するには改装が必要ですが、それなりの値段で売れるでしょう。かつてその手で三菱重工製のF−104Jを台湾に売却したこともあることですし、台湾あたりに格安提供しては如何でしょうか。
 
 13機で調達をやめた理由を防衛省防衛計画課は「米ボーイング社が陸自の使用する現行のAH64Dの生産をやめ、モデルチェンジすると決定したことが大きい。現行機の米国製部品の値段が跳ね上がる。新型式機を採用するにしても、旧型式機を改造する手間が必要で現実的ではない」といっているそうです。

 これは嘘でしょう。
 米陸軍が新型のブロック3に移行することは自衛隊は導入前からわかって既に分かっていたはずです。現在更に先のブロック4への移行の時期も既に発表されています。ブロック3への移行が読めなかったというのであれば、自分たちはシロウト以下の無能であると言っているようなものです。

「ボ社は二十年にわたり、現行機を製造すると約束していたが、米軍再編によって米政府が装備を見直したことを受け、製造中止を決めた」
 
 約束はしたが、契約はしなかったというのでしょうか。それとも契約していてそれを米国側が反故にしたというのであれば契約違反です。
 そのもいいわけが本当ならばタダの口約束か、余程間抜けな契約をしていたことになります。いい歳したオトナのやる仕事ではありません。

 またそれが事実ならば、オランダやイスラエル、シンガポールなど他のユーザーはすべて近い将来運用が不可能になるかブロック3への移行を行わなくてはなりません。少なくともぼくはすべてのユーザーはブロック3に移行するなどという話は聞いたことがありません。
 普通は導入するときに、そんなことにならないように長期間でパッケージで契約を結んでいるわけです。

 米軍がブロック3になっても、陸自は今の仕様の機体を今後何十年も旧型を使うつもりだったのでしょうか。それはそれでインターオペラビリティの面からも問題でしょう。
 
 嘘をつくならもっと上手い嘘をつきましょう。

 別に「戦犯」を差し出せとはいいませんが、おためごかしはやめて、何故このような無様な結末になったか失敗のプロセスを解明して後の教訓とすべきです。

 高い授業料を払ったと思って、今後調達システムを改めて欲しいものです。これで何も学ばなかったらタダのバカです。

 OH−1の改良というのに陸幕の一部と川重が意欲を燃やしているとそうですが、どうなるでしょう。
 また既存のAH−1Sの近代化も気になります。個人的には他の機種を採用するよりも、イスラエルあたりにAH−1Sを改良させた方が一番費用対効果がいいと思います。その情報は中国に筒抜けでしょうが。

 変に攻撃ヘリに金をかけるよりも装甲車を増やすとか、通信関係のインフラを整備するとか、通信機の定数をキチンと満たすとか、やることは山のようにあると思います。

 中国と云えばその攻撃ヘリの写真が最近のJDWで公開されていました。これがけっこいうかっこいい。さすがアグスタ・ウエストランドユーロコプターが全面協力していることはあります。これに関してはまたの別の機会に紹介しましょう。



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内 容 ニックネーム/日時
The All:東京新聞の記事粗雑はご指摘通りながら、大本営的有人モニタリング防衛機&有人兵器至上主義の形骸化を暗に指摘していることに気付くべし! どころか、民間側とか趣味側で、シミュレーション段階ながら、遠隔越境制御技術を援用し、コストパフォーマンスに優れた自律+遠隔手動操縦型UAV(無人機)の飛行可能概念やデバイスの試作が長年行われ、防衛省に限らず、国防総省や、各国防省との間で、現職側が追い付けないほどの技術格差が発生してしまっていることに気付かず、従来の大本営を続けているのが現状だと思う。守屋問題とは、チンケなゴルフや収賄問題では
無く、納税者負担の軽減を図りながら防衛の近代化をどの様に推進するかを企画できない現職側(組織)の無能をさらけ出した構図なのです。
guest
2007/11/29 06:54
>前からぼくが言っているように、他国のように事前に調達機数を決定し、調達期間決め、総額を決定して契約を結んでおけばこんな無様な結果にはならなかったわけです。

キヨタニさんの提案には激しく同意しますが、数年にわたる整備計画を立てたとしても単年度予算のため毎年度、当該年度分の予算査定がされるようになっている。
取れるかわからない予算では複数年の契約はできないとおもいます。
通りすがり
2007/11/29 21:33
はじめまして、いつも拝見させていただいて良い勉強させていただいています。
いつも思うのですがここの記事をもっと多くの方に知っていただきその問題点を考えていただきたいと感じます。
清谷先生の指摘は的を射ていますので。
余計なおせっかいと思いますが・・
お体お大事にしてくださいませ
月野 和樹
2007/11/29 23:01
現在の単年度予算では多年度にわたる予算組みは難しいです。ですが、現状でも一応4年までならできるそうです。実際本年度から防衛省はまとめ買いをしています。
逆にいれば4年分のまとめ買いはできるわけですから、その枠内でまとめ買いを増やせば大幅なコストの削減が可能です。
まずはできることから。

キヨタニ
2007/11/30 00:36
単年度の弊害だろうが、多年度通算予算革新であろが、平成大本営的、有人兵器至上主義を改めないかぎり、世界の軍事革新方向へは結び付かない。 最大の問題は、コストパフォーマンスに優れた無人&遠隔制御防衛システムを構築できない軍事官僚側の無能にあると、民間研究開発側から指摘す。軍事の一部民営化(遠隔越境制御技術の防衛兵器への援用)重要性を防衛族が認識できないどころか、趣味側が、国家や大企業技術を追い抜いてしまっている現実を認めない軍事革新推進当事者(日本に居るか、どうか疑わしいが)が認識できない問題こそが、巨額納税者側の不満と認識す。
guest
2007/11/30 08:11
入っては来たけど、
余程使い物にならなかったんでしょうね…アパッチさん。
イニシャルコストもさることながら、時間あたりのランニングコストが某主力戦闘機とほぼ同額、という背筋の寒くなる様な噂を聞くに、よくここで思いとどまったな、とは思います。
陸さんは「これで装備予算がどれだけ吹っ飛んだんだろう」と思いながら、ふかくふかーく反省して欲しいものです。
OH-1改めAOH-1とか、大臣様が欧州の機体の調査を命じたとか聞こえてきますが、設備費をふんだくる事は出来た富士重がどう出るか。
彩葉
2007/12/03 23:55
>高い授業料を払ったと思って、今後調達システムを改めて欲しいものです。これで何も学ばなかったらタダのバカです。

改めませんよ。馬鹿ではなくただの確信犯ですから。
シロ
2007/12/04 12:05

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