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zoom RSS モーツァルトは身体にいいか?

<<   作成日時 : 2007/03/20 14:25   >>

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 モーツァルトを聴くと身体にいいとか、精神的に宜しいとかいう話があります。

 あたしゃ、あれは嘘だろうと思います。

 好きな人はいいのでしょうが、モーツァルト嫌いな人間が無理矢理聴いても身体にいいはずないでしょう。

 ぼくは殆どクラッシックを聴かない人間なのですが、モーツァルトの曲は大抵、ピンコピンコして気に障ることが多いのです。つまり嫌い。やはり、人の好みにもよると思います。
 
 少なくともぼくは心安らかにはなりません。トルコの軍楽隊のマーチやエンニオ・モリコーネを聴いている方が落ち着きます。

 それから今のピアノやオーケストラでモーツァルトを演奏するのはおかしいのではないかと、昔から思っておりました。
 それはモーツアルトが生きていた時代の演奏とは別物だからです。それをクラッシック=古典と称して聴かせるのは詐欺だろうと。

 当時のピアノは現代のピアノとは別物で、音もこれほどでかいものじゃありませんでした。単にピアノ線の製造技術をみても、それはあきらかです。
 もっとも当時は大ホールで演奏することがなかったらそれでよかったわけです。

 またオーケストラでも編成は極めて小さかったわけです。それはあくまで貴族のサロンなど用の編成だったからです。
 つまりクラッシック音楽と称するものは貴族のサロンミュージックだったわけです。乱暴に言えば。

 つまり、いまのような大規模ホールでやる音楽じゃなかった。フランス革命以降楽士達が失業して、で街場のホールで演奏するようになった、貴族というパトロンがいなくなり、ブルジョア階級を相手に商売しだしたわけです。即ち大衆化したのが現在のオーケストラになってきたわけです。

 これはフランス料理の街場のレストランが出現したのと同じ理由です。

 で、ホールが大きくなり、それに見合った楽器やら楽団の編成になったわけです。今の楽器や編成でモーツァルトを弾くのは、フラメンコをエレキギターでやるようなものです。
 またあの時代の音楽をでかいホールで、でかい編成のオーケストラで演奏すること自体、クラシックじゃない、「伝統破壊」なわけです。

 そのくせ、クラッシックの世界では作曲者の意志を尊重するためだとかで、楽譜をかってに変えるなとか小うるさい作法があったりします。それほど伝統やオリジナルにこだわるなら、大ホールでモーツァルトなんぞやるなよ、とクラッシック音痴はヒガミついでに思うのですが。
 

 モーツァルトの当時、そんな楽譜通りみんな演奏してはいなかってでしょう。そもそも多くの作曲家の作品だって全部が残っているわけじゃないし、本人だってその曲にアドリブを入れて弾いたことだってあるでしょう。何しろ録音が残っているわけじゃありません。また譜面だって現存しているものが最終稿だったか怪しいものです。

 楽器が「進化」して変わっているのに、譜面だけを「保守的」に墨守して「これぞ伝統の古典」と演奏するの常識威張るのは、なんだか滑稽です。
 モーツァルトは現代のピアノやオーケストラを想定して曲を書いていたわけでありません。

 かつてダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は薄暗い絵でありました。で、とことが徹底的に補修して汚れを落としてみると実は明るい絵だったわけです。
 ということは暗い絵である、として評論していた美術のセンセイ方の見方は暗い絵であると、として、あれこれ蘊蓄をたれておったわけで、それは全部間違っていた、あるいは先生方の審美眼があまりなかったということにもなります。

 専門家の業界という「村社会」では、変化があってもそれに気がつかず、昔の常識を「定理」として信奉してしまう傾向があります。
 第一大戦で「戦争の専門家」たる英仏の将軍たちが塹壕戦で、バカの一つ覚えの突撃をやらせて、味方の死体の山を築きました。歩兵の本領は白兵戦であるとの「業界の常識」にしたがったからです。専門家の常識は意外に当てにならないものです。


 ウチの弟によると、近年は音楽界でのそのような反省があり、当時の楽器を使ってその時代の演奏を再現しようとする動きが増えているそうです。ある種考古学みたいなもんですね。

 確かにそうした演奏のモーツァルトはそれほど違和感なく聴けます。それでもあたしゃ余りモーツァルトは好きではありませんが。

 何をもって古典、あるいは正統というのかは非常に難しいと思います。では古い楽器の方が優れているかといえばそれはそうともいえず…・・

 ただ、専門家の蘊蓄、あるいは常識を疑ってみることもたまには必要でしょう。

 で、身体にいいのは昔の演奏のモーツァルトなんでしょうか、今の演奏のモーツァルトなんでしょうか。
 専門家の意見を聞いてみたいものです。

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確かに嫌い、もしくは興味関心のない方に、半ば強制的に聴いていただいても、何の効果もないと思います(専門家ではありませんが)。

ただ、動物や植物に聴かせると成長によいとかいう実験をしている人はいますが、科学的な根拠は不明です。

実際、学校で、無理矢理聞かされたために、「いわゆるクラシック音楽が嫌い」になってしまった方も多いようです。
音楽ではなく、音学になっちゃうんですね。

また、オーケストラだけではなく、オペラの世界はもっとすさまじく、いわゆる古典的な演出は流行らなくなっています。

時代設定も「現代」にしてしまって、皆、普通の洋服を着ているケースも多々あります。さすがに楽曲は、オリジナルのメロディーですが(演奏方法は、キヨタニさまがおっしゃるように、当時とは違う部分はあるでしょうが、誰も知りません)、クラシック音楽ファンの間でも、賛否両論があるようです。
ウィーン人
2007/03/20 18:02
 元のクラシック音楽がミラノのカツレツなら、現代のクラシック音楽はカツ丼といったところでしょうか。
 カツ丼にはカツ丼の良さがあるけど、料理を語ろうと思ったら、やはりカツレツの原形を食わないと。もちろん、私のようなパンピーは、カツ丼で沢山です。
土門見人
2007/03/20 21:30
古典だから聴いているとか、モーツアルトだから聴いているのではありません。聴いている音楽で好ましく思った曲が古典であり、モーツアルトだ、という人が多いだけです。
作曲時の楽器であろうと、今日の楽器であろうと、自分の耳で聴いていいものはいい、いやなものはいやで、よいと思います。モーツアルトは、国を超えて200年以上も演奏され続けています。その実績を評価してよいと思います。理屈をいう前に素直に聴く心が必要です。
音楽好き人
2007/03/21 00:03
小学校の頃、いわゆる学研の偉人マンガのモーツァルトの本で、彼は頑張って作曲しオペラを開いたが、暮らしはいつまで経っても貧しいままだった、というような記述がありましたが、後々彼がギャンブル好きで経済観念に乏しいことを知ったとき、何だか騙されたような気分でした。
偉人、偉人と書いてある本を鵜呑みにしてはいけないなと感じました。
(ちょっと話がズレてしまいごめんなさい)
ZHU
2007/03/21 01:16
なるほど。
自分はモーツァルトが好きでよく聞いているのでちょっと意表をつかれた感じがしました。

まあ、しかし好きな人間からすれば彼の音楽は耳に心地よいし素直に聞いていればいいのかなと。

体にいいとか頭にいいとかは聞くきっかけになればいいと思いますよ。

しかし当時の雰囲気で再現されたモーツァルトはどんなものか聞いてみたいですね。
あーちゃん
2007/03/21 04:52
私もモーツァルトは身体にいいってのはウソだと思っていました。ワーグナーやショパンを聴くと憂鬱になりますとぬかしている学者がいますが、私はワグネリアンなのでワーグナーを聴くと元気が出ます。憂鬱になんか絶対になりません。
 先日芸術選奨文部大臣省をもらった著名指揮者がTVで欧州ではクラシックを聞く人が激減している、あと数十年もしたらクラシックを聴く人が死に絶えてしまうかもしれないと語っていました。
 2chクラシック版ではクラシックは欧州では忘れ去られて、日本・中国・韓国・台湾などで生き残るのではないかと言っている人がいました。「クラシックの栄光を後世に伝えた国」として日本が歴史に名を残すというのも悪くないですね(笑)。
きるすてん
2007/03/21 08:44
モーツァルト生存当時の楽器や編成で演奏したと称しているCDは、恐ろしくテンポの速い演奏が多いんです。モダン楽器・大編成オーケストラの演奏に親しんできた人が目を回してしまうような超特急演奏がよくあります。
 作曲家で音楽学者の故・柴田南雄先生は、当時は社会の動きが今よりもずっと
ゆっくりしてただろうからさ、もっと遅いテンポでノンビリ演奏してたんじゃないかと仰っていました。
 でも当時の演奏の録音なんてないですから真相は結局分からずじまいなのかも・・・
きるすてん
2007/03/21 09:34
まさにぼくは自分の耳に従っておるわけです。だからモーツアルトが嫌い。
もちろん、好きな音楽を各自聴けば宜しい。問題は権威ある筋が「これが本物」「これぞ古典」と権威を押しつけることにあります。あたしゃ天の邪鬼ですから、こういう権威をうたがってみたくなるわけです。
キヨタニ
2007/03/22 13:46
「これが本物」「これぞ古典」とまで言っている専門家はいないのでは…
みんな「古典」という権威が好きで音楽を聴いているわけではないと思います。生誕250年に便乗しているマスコミや広告は「これぞ…」という態度ですが。

あと、古楽器で演奏されるモーツァルトは音が薄くて、やっぱり違和感がありますね。
音楽好き
2007/03/23 02:42
当時の頃から色々変わってきているのに、今自分たちのやっているのが「古典」と無意識の内に信じている人は多いわけです。
当時の演奏のテンポはもっと速かったという説もあります。こいうことを検証していうく必要があるでしょう。

キヨタニ
2007/04/01 10:47

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